M&A後の業務の引き継ぎについて
M&A後の業務の引き継ぎについて
オーナー経営者は、会社をM&A売却した場合、それで晴れてリタイアし、第二の人生を開始することができるのでしょうか。
買主候補企業としては、対象会社をM&A買収したとしても、直ちにスムーズに経営をできないかもしれません。対象会社が独特のノウハウを保有している場合はそうですが、そうでない場合でも、対象会社の組織がシステム化されていない場合や、対象会社の従業員や組織文化が異なっている場合も、買主は対象会社をM&A後直ちにスムーズに経営することができません。
また、対象会社からオーナー経営者がいなくなることによる従業員の動揺が激しかったり、オーナー経営者が突然いなくなることにより、従業員は自分の労働条件が悪化したり、会社の将来に不安を抱いたりして、退職してしまったりする可能性もあります。
そこで、今日的には、M&A後一定期間、オーナー経営者や従前の社長がひきつづき対象会社に在任することが多くなっています。
すなわち、オーナー経営者や従前の社長が、M&A後一定期間、対象会社の顧問などの地位に在任し、対象会社の業務を買主に引き継ぎを行うこととなります。
この「M&A後一定期間」が、1年なのか、2年なのか、半年なのか、については、対象会社の業務の引き継ぎに必要な時間や、買主の希望、売主の希望(M&A売却後直ちに退職されたい方や、引き続き仕事をされたいという方もいると思います)などを踏まえて、決定されることとなります。
なお、ここで留意しなければならないことは、オーナー経営者や従前の社長が退任して、退職慰労金を受領したにも係わらず、M&A会社売却前と同様の時間又は内容で勤務するような場合は、その退職慰労金が、税務上「退職金」として取り扱われなくなる可能性もありますので、M&A会社売却後は、オーナー経営者や従前の社長の顧問としての勤務条件は、かなり緩和する必要があります。