M&A代金や役員退職慰労金の一部を払ってくれない!
M&A代金を払わないのであれば、M&Aトラブルに繋がる可能性が高いにもかかわらず、なぜ、M&A買主はM&A代金や役員退職慰労金を払ってくれないのでしょうか。
それは、M&A買主が、M&A実行後に買収対象会社を経営し始めてみたら、想定外の事実(「対象会社の収益力が非常に低い!」 「対象会社の業績が非常に悪化している!」「対象会社があまり儲かっていない!」「粉飾決算だ!」など)が判明したり、 対象会社に、未払い残業代債務や訴訟紛争債務その他の潜在債務が潜んでいることが判明し、 買主としては、改めて、「M&A代金が高すぎた!」「M&A売主に騙された!」とM&A売主に対する憎悪を覚えるということが多いからなのです。
M&A売主が、M&A買主に対して、本当に、虚偽の説明などをしていた場合、それは「表明保証違反」となり、 M&A買主は、M&A代金や役員退職慰労金の支払いを拒否することができることがあるのです。
しかし、実際のところ、M&A売主が「表明保証違反」をした!とまで言えないケースも多く、 そもそも、株式譲渡契約書に記載されている「表明保証違反」に該当しないケースも多く、 実際は「表明保証違反」と言えない場合であっても、M&A買主としては、「多額の損失を被った!」「M&A売主に騙された!」という憎悪の感情が先行し、 M&A代金や役員退職慰労金の支払いをしないことが多くなるのです。