M&Aの成功のために表明保証について知りたい!

M&Aと表明保証

アメリカでは、不動産取引、またはM&Aの契約においても今回ご説明する「表明保証」が行われていました。

不動産売買、事業承継(M&Aで第三者へ事業を譲渡する場合)などが契約通りに履行できることを目的にしています。

日本ではまだこの「表明保証」は契約実務において日常的に行われているものではないのです。

しかしながら昨今のM&Aでの契約において、この表明保証は無縁ものではありません。

中小企業間のM&A契約においても表明保証は必要なものになっていくことが想定されます。

言葉は聞いたことあるけど、今さら聞けない、この表明保証について徹底的に解説していきます。

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M&Aにおいて表明保証とは何か?

M&Aは、買い手側にも、売り手側にとっても会社の今後を左右する一世一代の取引といえます。

その上、M&Aアドバイザーを選定せずに敢行すると、多大な時間と専門知識を必要とし、相当な労力が必要となってきます。株式譲渡にも契約がありますし、事業譲渡となると事業に含まれるノウハウ、従業員、取引先、販売網、所有不動産など一つ一つについて契約更改して見直していく必要も出てきます。

そのほかにはM&Aアドバイザリーとの提携仲介契約や、秘密保持契約があります。またM&Aの相手企業とは、株式譲渡、事業譲渡に対する基本合意契約や最終契約を締結します。

特に最終契約は、M&Aの締めくくりとして非常に重要です。

そんな最終契約では、いくつかの取り決めを行います。

その中の一つに、「表明保証条項」と呼ばれるものがあります。

表明保証条項は、M&Aによる利益を得る上で非常に重要です。

M&Aに携わった経験がない方は、表明保証条項についてはあまり知識がないという方も多いでしょう。

冒頭でも申し上げた通り、アメリカでは行われてきた表明保証ですが、日本では、表明保証条項は、最近になって普及し始めたものです。

M&A契約書に表明保証を設定する上で気を付けるポイント

もう少し平たくご説明するならば、表明保証とは、契約当事者が、契約当事者自身または対象会社もしくはその事業に関する内容で、過去から現在また将来までその内容が事実であることを表明して、そして保証するということです。

例えば、株式譲渡では、株式譲渡契約書の内容において設定するなら、

  1. 表明保証条項違反がないことをクロージング(株式譲渡を完了すること)の前提条件にする
    (こうすることで、相手方に表明保証条項違反があった場合には、他の当事者は、クロージングする義務を負わないということです。そして契約解除できるようにするのです)
  2. 表明保証した内容と全く違う事実が判明した場合、他方当事者は、相手方に対して損害賠償を行うことができることとする。

この2点については、きっちり設定しておく必要があります。

M&A売り手企業と買い手企業では表明保証についての考え方が全く違う

表明保証条項では、M&A契約で定めた内容を事実であると証明します。

買い手企業側は、M&Aの過程でほぼ必ずデューデリジェンスを実施します。

しかし、デューデリジェンスによって、全てのリスクを発見できるとは限らないという事実もあります。

そこで買い手側と売り手側に分けて考え方の相違をご説明しましょう。

買い手側

表明保証条項を極力多く設定したいと考えます。なぜなら多く設定する程、リスク回避に繋がることになります。

売り手側

表明保証条項違反が万が一発生した場合、ペナルティが発生します。その為、表明保証条項の盛り込み数を極力減らしたいと考えます。

このように、一つでも多く条項を設定した買い手側と、一つでも少なくしたい売り手側と全く正反対の考え方を持っていることがわかります。

M&A契約書の表明保証条項で記載される内容

表明保証条項の内容は、M&Aで締結する契約によって様々です。

ところが、基本的な記載内容はほぼ変わりません。

一般的には、下記内容が盛り込まれます。

☆簿外債務や偶発債務の存在を明確にすること

☆第三者の特許権等を侵害していない

☆あらゆる訴訟も存在しない

☆財務諸表や事業内容に虚偽がない、粉飾決算など皆無である

各M&A契約によっては、上記以外に内容を付け加える場合があります。

つまり、「全ての情報を虚偽なく開示した」旨を約束する条項です。

後々違反が発覚した際には、損害賠償等を請求される可能性が大ですから、売り手側は、表明保証条項には事実を記載しなくてはいけないということになります。

この件に関しては、6で実際に起こった事例をご紹介して、8の項目でもっと詳しくご説明していきます。

M&A契約書における表明保証の機能

表明保証とは何かについてご理解いただいた後は、その機能についてご説明します。

契約書に表明保証条項を設ける場合において、

①クロージングの前提条件の一つとして解除権の発動要件となる、

②契約の一方当事者に対して一定の補償を提供する役割を有する

③売主をして対象会社に関する事実を開示させる

④契約当事者間で不知の事実に関するリスクを分配する

このような4つの条項を設けておくことで、表明保証条項違反があった場合に契約解除できる機能を保持することになります

この機能を見ると、M&Aの契約する際、表明保証が必要不可欠であるということをお分かりいただけると思います。

M&A契約書における表明保証の目的

表明保証の目的をご説明していきます。

まず、表明保証条項の効果はリスク回避ができるところです。

M&Aにおいて、安全に売却、買収が行われるために。表明保証をする必要があります。

これは、売り手、買い手と両方に必要だということです。

M&Aでは必ずデューデリジェンス(買収監査)を行う必要があります。

しかし、正確に行われていればいいのですが、後になって「ボロ」が出てくることはあります。

簿外負債など今のところは帳簿上にあがってきていないけれど、将来において出てくる負債です。

例えば、退職金、売掛金の中でも不良債権にあたるものなどです。

そのことがデューデリジェンス(買収監査)の中で見つけることができればいいのですが、簿外負債が見つかってしまうと売却価格が下がってしまいます。やはり受け取る金額が下がることは避けたいですから、

デューデリジェンス(買収監査)では、そのことが判明しないように、虚偽の財務データを作成されていることも実際にはあります。そしてそれを見ぬくことができないことが多くあるのです。

このことからデューデリジェンス(買収監査)の効果は絶対ではないということが言えます。

どれだけデューデリジェンス(買収監査)を徹底的に実行しても、全てのリスクは発見出来ません。

調査には多大な費用や時間がかかる為、最低限の範囲しか調べられないのが現実です。

それは、買い手も売り手も、経営者は企業の経営を行いながらM&Aを進める必要があります。

どうしてもデューデリジェンス(買収監査)が手薄になることがあるのです。

このように嘘の情報提供をされた場合や、不都合な情報を隠されてしまうと、買い手側はもはやリスク回避は不可能となります。

また、間に入ったM&Aアドバイザーによってもこの問題は起こってきます。

最近、話題になっているM&A仲介会社にデューデリジェンス(買収監査)を任せてしまって、おざなりな上辺だけの調査を行ってしまい膨大な負債を抱えている企業を買ってしまったという報告も寄せられています。

M&Aにおける表明保証の効果

表明保証の目的の項目でお話していますが、表明保証条項を設定することでリスク回避できるという効果があります。表明保証条項違反があれば契約解除できるということにしておけば、後々になってばれてしまう嘘をつかれる心配もないということです。

このことから今後M&A契約をされる場合は、必ず表明保証が必要だということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

付け加えて説明させていただきますと、表明保証というのは、嘘をつくに決まっていると疑ってかかるということではなく、お互いに誠意持ってM&Aを完了させましょうという意思表示なのです。

売り手も買い手も、経営者同士が相互に敬意をもって接するためにも表明保証は必要です。

また、それだけ経営方針、事業内容に自信があるということを知ってもらう効果もあります。

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M&Aにおいて表明保証はなぜ必要なのか?

効果、目的とお話してきて契約締結の際には表明保証は、不可欠なものであるとお話ししてきたのですが、

売り手企業のことはもともと知り合いなので、嘘をつく人でもないし、事業内容のことも従業員のこともよく知っているから、自分たちの間柄で堅苦しい表明保証などは必要ないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、この知り合いというのが意外な曲者なのです。

お互いのことをよく知っていても、会社の内情については、詳しく知らないことが実に多いのです。

知り合いだからこそ聞けないことや、知らずにいたことが必ずあります。

それがM&Aの場では、厄介なことになります。

知り合いだからこそ生まれる「遠慮」「気遣い」というものです。

知り合いの会社を買収する、または知り合いに会社を売却するというときこそ、M&Aアドバイザーが必要であり、そのアドバイザーのサポートにより表明保証をすべきなのです。

もし、アドバイザーを入れずに、自分たちでM&Aを行った場合、必ずと言っていいほどトラブルが発生します。会社を失い、仕事関係、または親戚関係といった大切な人間関係まで失ってしまいます。

相手先が決まっている場合は、後は契約だけです。

しかしこの契約が非常に大切なのです。法律を知り尽くしたM&Aプロといえば弁護士ということになります。

法律に強いアドバイザー、弁護士にM&Aについてまず相談してみてください。

M&Aにおける表明保証の事例を紹介

この事例は、実際のM&A取引(M&Aスキームは株式譲渡)に関するものです。

その契約書には、売主が概ね以下のことを「表明保証する」条項があり、この表明保証違反があった場合は買主が被った損害、損失を補償するという条項がありました。

  1. 財務諸表が一般に承認された会計原則に従って作成されたこと
  2. 財務内容が貸借対照表のとおりであり、簿外債務等が存在しないこと
  3. 金融機関からの融資残高が帳簿に正確に反映されていること
  4. ほかの勘定科目に関しても帳簿等の記録がすべての重要な点において完全かつ正確であり、状況を正確に反映していること
  5. 役員、従業員において業務の遂行、資産の保有につき法令、定款等により必要とされる手続をすべて完了していること(たとえば役員登記、従業員との雇用契約がきっちり行われている、コンプライアンス違反もない状態であるなど)
  6. 本契約に至る前提として行われた財務内容、業務内容その他の経営、財務に関する事前監査において、通常の株式譲渡契約において信義則上開示されるべき資料および情報が漏れなく開示されたこと、およびそれらの資料および情報は真実かつ正確なものであること

ここまできっちりと表明、保証があったにも関わらず、この譲渡の対象となった売り手側企業は、赤字決算を回避するために、長年入金のない取引先の売掛金について、同額の元本についての貸倒引当金の計上をしなかったことがわかりました。

【結果】

買主が、株式の譲渡価格が不正に水増しされ、また発覚後に会計上の処理をするのに経費を要したとして損害賠償の請求をすることとなりました。

M&Aにおける表明保証の事例分かることこと

上記の発覚した債権(こげついた売掛金にたいして貸倒引当金として未計上だったこと)の会計処理については表明、保証に違反していると事実認定(判決内容)をしました。

そして、損害賠償請求については、買主が悪意のとき、つまりその事実を知っていた場合は認められないが、本件で買主がその事実を知っていたとはいえないと認定しました。

判決内容をもう少し詳しくご説明しますと、「本件株式譲渡契約締結時において、わずかの注意を払いさえすれば、本件和解債権処理を発見し、本件表明保証を行った事項に関して違反していることを知り得たにも関わらず、漫然これに気づかないままに本件株式譲渡契約を締結した場合、すなわち、買主、売主が本件表明保証を行った事項に関して違反していることについて善意であることが買主の重大な過失に基づくと認められる場合には、公平の見地に照らし、悪意の場合と同視し、売主は表明保証責任を免れる」という理論を示したのです。

どういうことかと言いますと、この判例はかなり重要なことを示唆しております。

「買主がきっちり注意を払って、しっかりとデューデリジェンス(買収監査)をおこなっていたならば、焦げ付いた売掛金くらいはすぐに発見できたはず。それを見過ごしたことは売主の責任ではありません。買う側がしっかりしなきゃだめでしょ?」

ということなのです。

先ほどからお話していますM&A取引では当然に行われるM&A仲介会社によるデューデリジェンス(買収監査)が、「重過失」に結びつくのか注目されたのですが、判決はまず企業買収におけるデューデリジェンス(買収監査)は、「買主の権利であって、義務でない」「M&Aでのデューデリジェンス(買収監査)は、売買交渉における価格決定のために、限られた期間で売主の提供する資料に基づき、資産の実在性とその評価、負債の網羅性という限られた範囲で行われる」としたうえで、本件で行われたデューデリジェンス(買収監査)によって買主に重過失は認められないとしたのです。

この判例では、表明保証条項違反による損害賠償責任が認められました。M&Aの買主が悪意であるか、あるいは重過失であるかというのは、事例独自の判断であり、一般化して表明することはなかなかに難しいのです。しかし、表明保証条項違反となれば、それが損害賠償義務に結びつくものであることは「認識しておいてもよい」ということになります。

M&Aにおいての表明保証条項違反を深堀りする!

表明保証条項を設定していても、後々違反が発覚するケースが実際に多く見受けられます。

表明保証条項違反があればどうすればいいのか。

先ほどからもお話していますが、M&A契約で定めた表明保証条項の違反は、債務不履行として考えます。

よって買い手側は、「損害賠償請求」、「M&A契約の解除」をすることができます。

この二つの権利についてもう少しご説明していきますと、

損害賠償請求

違反が生じた際、基本的には損害賠償を請求する流れとなります。

ただし損害賠償を請求する為には、契約書に違反時の対応について明確に定めておく必要があります。

契約書に明記されていなかったが故に、損害賠償請求が認められなかった裁判例もあります。

前項でもお話していますが、現実的には、表明保証条項違反は証明しにくいと考えたほうが良いでしょう。

契約書にて、具体的にどの様な行為が表明保証条項違反となるかを具体的に定めておく必要があります。

その上、違反があった場合は、どのような対応をとるかも具体的かつ明確に設定するようにしてください。

確実に損害賠償を請求する為に、具体的な条項を設定して違反された場合の対応もきっちりと設定しておいてください。

M&A契約の解除

表明保証条項違反をした場合は、M&A契約そのものを解除することもできます。

基本的には、損害賠償請求で対応する形となりますが、表明保証条項違反によって甚大な損失を被る場合、契約自体を解除するほうが得策です。

要するにM&Aにおいての表明保証条項とは!

ここで、今までお話してきたことを一旦まとめてみますと、

気を付けていただきたいのは、きっちりデューデリジェンスを行ったうえで、提出された財務データに虚偽、改ざんなどがあった場合、それを主張したとしても

「最初から知っていたのでは?」と言われてしまうこともあるということです。

先ほどの項目でご紹介した判例では、買主が善意であることが認められましたが、このような結果になることは珍しかったりするのです。

「本当に嘘のデータだとは見抜けなかった、知らなかったのです」と主張したところで、

「あなた経営者としてそれでいいの?」ということになるわけです。

表明保証をすることはとても重要です。

そして表明保証条項をM&A契約の内容に盛り込んでおくことも忘れてはいけません。

契約条件をきっちり決めておくと、表明保証条項違反があった場合に上記でご説明した二つの権利、損害賠償請求と契約解除が可能になってくるからです。

しかし、もっと重要なのは、買収する企業をきっちり理解すること、そしてM&Aアドバザーを選定することです。

後々裁判になることにならないように、M&Aを検討したときから法律に強い弁護士に依頼しておくと、M&A契約が依頼人の不利にならないよう徹底的に見直します。

デューデリジェンス(買収監査)においても後々もめないようにサポートしてくれます。

M&Aにおいて表明保証条項違反の責任追及の制限についておさらい

前項目でもお話しましたが、契約書に明記していないが故に、責任が認められなかったケースが存在します。

実はその他にも、責任追及できないケースが存在します。

この項目では、表明保証条項違反に対して、責任追及が認められないケースについて判例を元にご説明しましょう。

M&A表明保証違反の程度がごくわずかである

表明保証条項違反があっても、その結果特に損害を被らなければ、責任を追及できない可能性があります。

表明保証条項違反によりどんな損失等を受けたかということが問題なのです。その損失の程度が軽いのであれば、損害賠償等を請求できない恐れがあります。

実際に、軽微な表明保証条項違反であったが為に、責任追及が認められることがなかった判例もあります。

しかし、この損害程度が軽微どうかという点、かなり疑問がでてきます。

どこまでが軽微なのか?とうことです。

M&A契約完了後、いざ新しく経営を始めてみたけれと、思っていたようには進まない、聞いていた話とは違うということができてきて、精神的なダメージを受けたとなっても、この精神的なダメージというのがどこまで認識されるか、軽微と受け止められてしまっては、損害賠償請求できないということです。

表明保証条項違反の範囲を正確に設定する必要があるということです。

これは、経営者といえども専門家の知識と経験が必要です。

弁護士に相談することで、表明保証条項違反が起こった時を想定して契約条件を設定することができます。

M&Aデューデリジェンス(DD)不足

買い手側のデューデリジェンス不足だと判断された場合、責任を問えない可能性があります。

しっかり調査すれば分かったはずである為、見抜けなかった買い手側の責任と見なされます。

デューデリジェンス(買収監査)に関してかなり厳しく調査する必要があります。

このデューデリジェンス(買収監査)に関しては、専門家に対応してもらうことがお勧めです。

とにかくこのデューデリジェンスにおいて目的達成(M&Aを希望通り完了させること)するためには、経験と知識、素養が必要なのです。まず目的達成の可否を判断するための論点を抽出します。

そして、その論点に対する仮説をたてて、仮説ごとに検証方法を考えることが必要なのです。

重要なものから効率よく仮説検証を進めていくには、M&Aアドバイザーの力量が試される業務であり、経営者自身のスキルによってもデューデリジェンスの成果の質は大きく変わってきます。

しかも、デューデリジェンスの期間は通常スケジュールが短くなってしまいます。(1か月から3か月程度とみてください)

このことから、時間との勝負だということがお分かりいただけるでしょう。

M&Aを成功させるに、デューデリジェンスはM&Aアドバイザーに委託するのではなく、買収側がやるべきと主張する方もいらっしゃいます。

半分同意できますが、半分は買収企業だけでは難しいと考えられます。デューデリジェンスは信頼できるM&Aアドバイザーとつねに協議しながら、慎重かつ冷静に、正確に行うものです。

「高いお金を払って借金企業を買ってしまった」と後悔する経営者に限って、デューデリジェンスを疎かにしている場合が多く見受けられます。

高値で借金企業を買ってしまう原因でよくあるのが、対象企業の企業価値を高く見積ってしまうケースです。企業価値算定に関しては、ファイナスの基本として算定する方法もあります。

関連書籍も多く出版されていて、わかりやすく書かれていますから一度、研究されるのも良いと思いますが、多くの場合は、M&Aにおける企業価値は、基本的にこれらデューデリジェンスという「見極め作業」の結果を基に算定されています。

何度も申し上げますが、デューデリジェンスというのは、企業の価値を判断する材料ですからこれは真剣に、あらゆる知識と資料を集める必要があるわけです。

先述しています表明保証条項違反を確実に問う為にも、デューデリジェンスを正確に行うためにも専門家をM&Aアドバイザーに選定する必要があります。

弁護士法人M&A総合法律事務所ならば、法律だけでなく税務、財務の専門家が在籍しています。

一度自社の事業価値を算定してみたいと思ったら、ぜひご相談ください。

的確にアドバイスすることができます。

M&Aにおいて表明保証条項違反なくM&Aを完了させることはできるのか

今回は、M&Aにおける表明保証について深堀してきたのですが、

M&Aを完了するまでには、数々のリスクが付きまとうことがお分かりいただけたと思います。

【買い手にとってのリスクとは?】

特に大きなリスクといえるのが、簿外債務や偶発債務です。

この簿外債務、偶発債務を見抜くために行うのが、正確なデューデリジェンスということになります。

リスク回避の上では確かに重要といえます。

しかし、先述をしていますようにデューデリジェンスを行っても、100%リスクを回避できるとは限りません。そもそも売り手企業側が、売却価格を下げないために虚偽の情報を提供してくる可能性もあります。

その場合には、デューデリジェンスでリスクを発見するのは困難です。

さらに確実にリスクを回避する為には、表明保証条項を設定する必要があります。

表明保証条項は、M&Aの最終契約で設定します。

今までお話してきたのですが、これを設定する事で、万が一違反があった際には、責任を追及できます。

契約解除、損害賠償請求という権利が生じてくるわけです。

また表明保証条項を設定する事で、売り手側が嘘をつくインセンティブを抑制可能です。

虚偽のデータを提出して、その場をしのいだとしても契約成立後に露呈してしまっては表明保証条項違反となり損害賠償請求されるとなれば、当初から真実を申告するしかありません。

このことで買い手側も適正価格で会社を買収することができるという大きなメリットがでてきます。

しかし9の項目でもお話していますが、表明保証条項の違反があっても、責任を追及できないケースもあります。現にこれまで、責任追及が認められなかった裁判例もいくつか存在します。

  • 損害程度が軽微であった
  • デューデリジェンスをしっかりやってなかった

などの理由が挙げられました。

そして、表明保証条項違反を追及する為には、契約書に違反に対する対応等を明記するのが重要です。

また、デューデリジェンスを徹底的に実施するのも重要だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。さもないと、買い手側の過失となってしまうのです。

M&Aの表明保証条項を定める際は、契約関係を知り尽くした法律の専門家である弁護士に相談することが重要です。M&Aアドバイザーを弁護士に選定することがM&A成功させる大きなポイントなのです。

M&Aと表明保証について説明した項目をまとめてみると

今回ご説明してきたことを最後に簡単にまとめておきます。

  • M&A契約における表明保証条項→「全ての情報を虚偽なく開示した」旨を約束する条項
  • 表明保証条項を設定する時期→M&Aの最終契約書の締結時
  • 表明保証条項の目的と効果→リスク回避に対して効果あり、デューデリジェンスを行うだけでは契約内容を保証することができない。デューデリジェンスを行った内容を補完する効果もある。
  • 表明保証条項違反が発生した際、発生する権利とは→損害賠償の請求、M&A契約の解除
  • 表明保証条項違反で責任を問えないケースとは→表明保証条項違反の程度が軽い、デューデリジェンス不足
  • 表明保証条項違反を主張するためには→デューデリジェンスをしっかり行う、契約書に具体的に明記する

株式譲渡、事業売却、事業承継といった会社のM&Aには契約が必要となってきます。

M&Aにおいてこの契約を見直すことはとても煩雑な作業となってきます。

とくにM&Aに強く、中小企業のM&A実績が豊富な弁護士法人M&A総合法律事務所へご相談ください。

法律の専門家である弁護士が対応させていただきます。

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