M&A買収後のトラブル!事例から見る対策!

M&Aで後継者不在の会社を買収して、経営者を変えたら、業績もアップして、かなり儲かったなど聞いてしまうと、多くの経営者の方々は、

「うちも、M&Aについて検討しようかな」と考えてしまいますよね。

でも、成功したM&A事例とともに、M&Aトラブルが発生したという事例も数多く存在するのも事実です。

例えば、

・買収した企業は、赤字企業で倒産寸前だった!

・買収後、買収された企業の従業員が大量に退職した!

・業績が伸びているということだったが、本当はお荷物事業だった!

などなど、聞いただけでも、経営者の皆様なら背筋が凍る事実ではないでしょうか。

M&Aの価格も非常に高いのに、さらにトラブルや借金を抱え込むようなものです。

このようなことにならないために、M&Aを検討した時点で、対策を立てていただきたいのです。

今回は、M&A買収後のトラブルについて、M&A弁護士だからお話しできる、その対策についてお話していきます!

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M&A買収に伴うトラブルは非常に多い!!

M&Aは、売主と買主候補者のそれぞれの人間性がよく出ます。

悲喜こもごも、M&Aの関係者間では、様々な人間模様が今日も繰り広げられています。

この項目では、実際にあったM&Aトラブル例をご紹介していきましょう。

買収したら粉飾決算で赤字企業だった!!

これは、よくある典型的なM&Aトラブルです。

大体、少し考えてみれば、社長が業績が良い事業を手放すわけがありません。

しかしながら中には、業績が良くても社長が後継者に恵まれずに、やむをえず事業承継を第三者へ譲渡することもあります。

そんな会社を見つけて、M&Aをすることができたら、非常に幸運なことです。

M&Aを繰り返して、利益を上げている経営者は、そのようなお会社を常にアンテナを張って探しています。あちこちのM&A仲介業者に声を掛けます。

本来は、3期の決算が赤字という企業というのは、M&Aの俎上に上がること自体不可能と言われています。

でも、もし、売主の社長が、粉飾決算などで会社を黒字に見せかけて高値での売却を目論んでいたとしたら、どうでしょう。

そして、買主候補者が、それに気づかず、その真っ赤な財務状況の事業を買収してしまう事態に陥ったら、どうでしょう。

なお、前提として、粉飾決算とまで言えるほど決算書を移送していることは多くはなく、通常は、中小企業に許される範囲の決算書の操作をしている程度です。しかし、それでも、M&Aの買い手の判断を間違えさせるには十分です。

しかし、そのような事態になっては誰も助けてはくれません。

なぜなら、裁判所としては、M&Aのような重要な取引をするのであれば、M&Aの買主候補者は、よほどしっかりその会社を調査してからM&Aを行うべきである、と考えているのです。

売主としては、買主候補者から聞かれないことまで、無理にすべてを説明する必要はないというのが、裁判所のスタンスなのです。

いわゆるデューデリジェンス(買収監査)です。デューデリジェンス(買収監査)を十分に行わなかった会社は、売主に損害賠償請求などできないのです。

露天商から、並んでいる桃の中からよく確認せずに、腐った桃を買った場合、特段、損失補填されないでしょう。会社には、業績の良い会社もあれば、業績の悪い会社もあり、またそれなりの多額の資金を投入して取引を行うわけですので、それなりの注意をしてM&Aをしていないのであれば、誰にも保護してもらえないのです。

他方、買主候補者が、しっかりデューデリジェンス(買収監査)を行ったのに、売主が嘘をついて買主候補者を騙したというような場合は事情は異なってきます。買主候補者はそれなりの注意をしてM&Aをしたのに、売主が詐欺を行ったのです。詐欺なのですから、買主は売主に対して、損害賠償請求などできてしまいます。

また、デューデリジェンス(買収監査)に非協力的な売主は、何か不都合なことを隠していると考えて相違ありません。

M&Aは相当な注意をもって行わなければいけない取引なのです。

では、次のトラブルをご紹介しましょう。

M&A後に従業員がほとんど退職?!

これもM&A買収後に起こる典型的なM&Aトラブルの代表例ですね。

報道などでよく目にする、大企業同士のM&Aでもわかることですが、買収する企業は、大手で、業績もアップしている企業が多く見受けられます。かたや買収された企業は、業績が振るわない事業を切り離そうとしていたり、中小企業であったりします。

企業間格差があるわけですね。

そのような、格差がある企業がいっしょになったら、買収された側の従業員の行く末はどのようなことになるのでしょうか。

大手企業だと、採用されている従業員も、学歴にしても、経歴にしても、また受けてきた社内研修に至っても、やはり中小企業の従業員とは差があるかもしれません。

人間は、学歴や経歴だけで判断されるものではありません。

ありませんが、人というのは、他人と自分を比べたがるものです。

マウンティングという言葉もありますが、上から目線で発言をされているように感じるのです。

買収側の従業員がそんなつもりで言ってなくても、買収された側の従業員は、何も遠慮する必要はないのですが、何となく卑屈な気分を味わうことがあります。

「もう、会社に行きたくなった」と思って、退職してしまう従業員が現れると、その風潮は伝染します。

もともとの売主の社長が採用した従業員であれば、M&Aで会社が売られてしまったら、いとも簡単に会社を辞めてしまいます。

中小企業ですから、やはり人も会社ではなく人につながっているのです。

「あの人が辞めるなら、私もいられない」と買収された企業の従業員がどんどんやめていくことになり、新しい事業を取り入れたにもかかわらず、対応してくれる従業員がいなくなり、ノウハウが無くなってしまった、事業運営ができなくなってしまった、事業自体がなくなってしまったという事例もあるのです。

買収された会社の従業員がそのような心境になるのはいわばやむを得ないことです。ここは、M&Aの買主の方で、相当に気を遣わなければいけない事項なのです。

このようなトラブルを回避する方法はあるのでしょうか。

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M&Aのさまざまなトラブルにどう対処すればいいのか?!

ここでは、M&Aトラブル対策について具体的にお話していきます。

とても重要な項目となります。

デューデリジェンス(買収監査)をしっかり実施する!!

見出し通りです。

本当に、M&A前のデューデリジェンス(買収監査)がとても大切なのです。

買主候補者や買主候補者の弁護士・公認会計士・税理士などの専門家が、買収先から会社資料を開示してもらったり、買収先へ出向いて会社の調査を行うことになりますから、手間と時間がかかりますが、デューデリジェンス(買収監査)を行わないというのは、まさにM&Aを行う上で、自殺行為なのです。

デューデリジェンスの3本柱

・財務会計税務デューデリジェンス

・ビジネス・デューデリジェンス

・法務デューデリジェンス

とデューデリジェンスには、上記に挙げた3つの大きな種類に分けられます。

財務会計税務デューデリジェンスでは、決算書や税務申告書やその裏付け資料や関連資料などを精査することになりますし、ビジネス・デューデリジェンスでは、ビジネスモデルや事業組織の状態を調査します。法務デューデリジェンスは、主に契約関係(事務所の賃貸借契約書から商品の商業登録、特許など)を調査しますし、従業員との雇用関係もこの法務デューデリジェンスに含まれることになります。

先ほど、1の項目で挙げた粉飾決算ですが、財務会計税務デューデリジェンスをきっちり行っていれば、発見することができ、未然にトラブルを防ぐことができます。決算書や税務申告書やその裏付け資料や関連資料などを、公認会計士や税理士が精査すれば、もし財務状況に関する虚偽の説明については、おおむね版権することができます。M&Aの財務会計税務デューデリジェンスの経験豊富な公認会計士や税理士に依頼しなければいけないことは言うまでもありません。

かならずつじつまが合わないところが出てきて、ほころびはすぐに露見します。

そして次に、買収した会社の従業員の離職の防ぎ方ですが、M&Aの買主の方で、相当に気を遣わなければいけないのは当然なのですが、ビジネス・デューデリジェンスにおいて、その会社の従業員の特性や組織の状況を調査し、M&Aに伴い発生する問題点として明確に指摘しておかなければいけない事情です。

そして、従業員とは、M&Aの前に、再度、雇用契約をきっちりと結んでおきます。

中小企業などは、この雇用契約をきっちりと結んでいない場合があります。給与など待遇も口約束などで終結していることもあるのです。

これらをすべて文書化して、買収後も雇用は継続され、M&Aに伴い待遇も見直すようにすれば、買収されたからと言って、離職していく従業員はそれほど多くはないでしょう。

そして新規事業を買収した場合ですが、買収した先のベテラン従業員は即戦力です。教わることが多いのは事実です。待遇もですが、協力して仕事ができる環境づくりをしっかり構築することです。

これは、経営者にしかできません。

従業員はその会社の人財です。財産なのです。大切に扱ってあげましょう。

トラブルに強いM&Aアドバイザーをさがしましょう!

以上のとおりであり、各分野に専門のアドバイザーを選定することで、M&A買収後のトラブルは防げるのです。

とくに、財務会計税務面、法律面に強いアドバイザー探しが必要です。

また、M&A自体に経験豊富な専門家のアドバイザーでなければ、そのトラブルは防げないでしょう。

弁護士や公認会計士や税理士にとっても、M&Aはめったに経験しないことであり、経験則に基づいたアドバイスが非常に困難なのです。

M&A仲介会社の担当者も、専門家ではなく営業マンですし、100件や200件もM&Aを経験していませんので、経験則に基づいたアドバイスが困難なのです。

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M&Aの経験豊富な財務会計税務及び法務の専門家に依頼することが必要です

この二つの面でアドバイスできるとなれば、公認会計士、税理士、弁護士という専門家に依頼することになります。

M&A仲介会社でも、社内に税理士、公認会計士が在籍しているところがありますが、ほとんどの場合、担当者は営業マンです。社内在籍の有資格者の専門家はほんの一握りで、あとは社外での提携の専門家が対応することになります。ですから担当者の営業マンが、財務会計税務や法務の問題にそもそも気づくかどうか、いささか疑問です。

やはり、M&Aに強く、M&Aの経験豊富な財務会計税務及び法務の専門家である弁護士法人M&A総合法律事務所に依頼することを強くお勧めいたします。

まとめ

今回は、M&A買収に伴う典型的なトラブルについてお話してきました。

とにかく、M&Aトラブル対策の鉄則は、事前準備につきます。

その準備とは、デューデリジェンス(買収監査)の実施と、M&Aの経験豊富な財務会計税務及び法務の専門家から綿密にアドバイスを受けることです。

このデューデリジェンス(買収監査)ですが、自分の会社のことだから、自分でやります!という経営者の方もいらっしゃるのですが、正直申し上げて、売り手側においては、かなり煩雑な作業であり、経験も多くはないわけですので、調査すべき項目に漏れが生じたりしますす、かつ通常事業に加えてデューデリジェンス(買収監査)までご自身で行うには荷が重いと思います。

また、デューデリジェンス(買収監査)を行うのみならず、それに基づいて、会社の本質を総合的に見極める眼力が必要となってくるのです。

これは、実際にM&Aの経験が豊富なアドバイザーの指名が不可欠となってきます。

デューデリジェンス(買収監査)において、先方が提出してきた会社資料を精査することは、M&Aに経験豊富な専門家でないと分析しきれませんし、M&Aに経験豊富な専門家であれば強力にサポートできます。

弁護士法人M&A総合法律事務所は、M&Aの経験豊富な財務会計税務及び法務の専門家が揃っていますので、M&Aなら弁護士法人M&A総合法律事務所にお任せください。

例えば、

・顧問弁護士もM&Aの経験はない(数件程度しかやったことがない)

・顧問税理士はいるのだけど、M&Aに関しては経験値が少ないのでは?と心配

などのお悩みがありましたら、ぜひご相談ください。M&Aの経験豊富な財務会計税務及び法務の専門家としてアドバイスをさせていただきます。