M&A仲介業者とのトラブル!M&A仲介業者は本当に売主の味方なのか?

M&A仲介会社は、本当に売主の味方なのか?敵なのではないのか?買主の味方なのではないか?しかし、売主とも契約を結んでいる。しかし、本当に売主の味方なのか?単に売主から手数料をもらうだけの契約なのではないのか。考えれば考えるほどよくわからなくなります。

M&A市場の傾向として、基本的に、売り手市場となっています。

売り手が現れないことには、M&Aは成り立ちません。売り手が仕入れで、買い手が販売なのですから、仕入れがないと障害が成り立たないのです。

もちろん、M&A仲介会社にとって、買い手も必要ですが、買い手企業というのは、たいていすでに何度かM&Aを経験していて、常に良い条件の会社はないかと探している状態であり、M&Aのセミプロともいえる会社です。また、どのM&A仲介会社においても、一定数の買主候補者を抱えており、常に、それら買主候補者から仕入れは未だか!とのオーダーが常に入っており、買主候補者のために売主を探し続けている状態です。

このような状況下において、ほとんどM&Aの経験のない売り手企業にとって、M&A仲介会社は、本当に売り手企業の味方になってくるのでしょうか。M&A仲介として間に入ってくれるこのM&A仲介会社の選定を間違ってしまうと、M&Aを成功させられないどころか、よくわからないまま、不利な条件で、大切な会社を手放してしまうことになる危険性もあります。

ここでは、M&A仲介会社は本当に売主の味方なのか?ということを重点的に検証していきます。

M&A仲介会社が誰の味方なのか?売主か?買主候補者か?

M&A仲介会社のHPを見ていると、売り手側の立場に立ったサポートをします、売主に親身にアドバイスします、と謳っています。

しかし、このようなキャッチコピーにつられて相談したけど、買主候補者を探してくれない紹介してくれない、とにかくM&Aを成立させ手数料を請求することだけに興味があるようだ、売主の利益を考えたアドバイスをもらえなかった、M&Aをゲームのように考えている、売主を「物」のように考えている、こんなことならM&Aをしなければよかった、などなど。M&A仲介会社は本当に売主の味方なのでしょうか。

M&A仲介会社は双方代理である(売主とも買主とも契約している)

双方代理とは何かということを簡単にご説明するならば、不動産仲介を例にとればわかりやすいでしょう。

日本の不動産業者の営業方法をこの双方代理、つまり両手取引です。

不動産売買・賃貸において、不動産業者は、売主からも買主からも仲介手数料を受け取っています。

賃貸の場合は、借主と大家からの両方から手数料を受け取ります。

買主・売主双方に同じ不動産業者が契約をしている、不動産業者が売主と買主の間に入っているということです。

一見、双方の取引を公平に行えるように思いますが、それは違います。間に入るということは、不動産業者は裁判官のような立場にあるべきということです。

不動産業者が、売主か買主のどちらかに癒着してしまうと、途端に片方が不利になってきます。不動産会社が双方の有利な点と不利な点をすべて知っていますので、不利な点がある方には不利な点を妥協させて、有利な点がある方には流れやすくなるでしょう。

これは日本の不動産業界特有の営業手法で、世界各国ではこの両手営業は禁止されています。

売主か買主のどちらかに不利がことが生ずることが多いからです。

ただ、不動産取引は、やることがほとんど決まっておりますし、宅建業法などで事細かに義務が規定され、監督官庁も存在し、許認可制になっており、懲罰も存在し、悪質な業者を排除できるようになっていますので、まあ良しとされているのです。

しかし、M&Aにおいては、非常に個別具体性が大きく、やるべきことは案件によりさまざまであり、業法も存在せず、監督官庁も存在せず、許認可も存在せず、懲罰も存在しないのです。

売主との業務委託契約がほとんど着手金や成功報酬をもらうためだけのものだとしたら??

しかも、M&Aにおける買い手企業は、それまでに何度かM&Aを経験していて、資金力のある大企業が多いのです。

売り手は、後継者不足や経営資源不足により事業継続があらゆる理由で難しくなってきている会社です。

そして、M&A仲介会社にM&Aの業務委託をするのだ、その対価として巨額の成功報酬を支払うのだ、と思っているため、売主としては、M&A仲介会社に依頼をしているのだから、売主の味方をしてくれて当たり前だと思い込んでいるのです。

しかし、M&A仲介会社は、その巨額の成功報酬が欲しいだけだったらどうでしょう?

M&A仲介会社は、何か形の上で契約を締結しないと手数料や成功報酬が取れないので、M&A仲介契約を売主とも締結するのですが、そもそも、買主候補者は,売主と知り合う何年も前から、顧客なのであり、何年も、その顧客のために動いてきたのです。

会社を売りたいと相談に来る売主にとって、M&Aは一生に一度の大事件であり、見ること聞くこと目新しいことばかりです。

M&Aは、経営法律財務会計税務の総合格闘技と言われ、高度な人間力や交渉力が求められます。売主には、決定的にM&Aの経験が欠けているのですから、売主の味方に付いて、これらを補うアドバイザーが必要なのです。M&Aにおける、売主と買主の、情報量や経験量の差は歴然としています。

その事業が欲しい買主にとっては、売主の事業は宝の山であり、いくら払ってでも手に入れたいものでありつつも、その事業の主体である売主に対しては、情報量や経験量の差が歴然としており、赤子の手をひねるがごときなのです。

また、M&A仲介会社を経営するには、かなりの資金が必要です。

多数の広告をだして、立派なHPを作って、まめに更新をして、至便な場所のビルを借りて、そこで働くスタッフの給料も、近年上場会社のTOPを飾っているほどです。ですので、これらのコストを賄うためには、毎月、数件のM&Aを抱えて、次々と契約を成立させる必要があります。M&A仲介会社は、担当者やスタッフに、M&A案件成立のための厳しいノルマを課していると聞きます。

ビジネスの場つまりお金儲けの場で、冷静に考えてみて、M&A仲介会社は、どちらの味方になるとおもいますか?

資金力がある人につくのではないでしょうか。

売主とも契約を締結したのだから、売主の味方でもあるはずだと考えるのは、非常にナイーブで危険なのではないでしょうか。

M&A仲介業者は実は味方ではなかった!!

なぜこのようなことが生じるのかといいますと、根本的な点は、M&A仲介業者は「売主の味方ではない!!」ということが根底にあります。

M&A仲介業者は、売主のみならず、買主候補者とも契約をしますので、売主のみならず、買主候補者も顧客なのです。そして、売主は会社を売ってしまったらそれで終わりの「一見客」であるのに対して、買主候補者は、それいこうも継続して会社を買ってくれるかもしれない「継続客」なのです。そうであれば、M&A仲介業者が売主か買主候補者かいずれを大事にするか明らかだと思います。

また、契約上・法律上も、M&A仲介業者は、売主のみならず、買主候補者に対しても、業務を適切に遂行する、顧客の利益のために業務を遂行するという善管注意義務を負っています。買主候補者の利益のために業務を行うのであれば、売主の利益のために売主に対してアドバイスできないのです。もし、M&A仲介業者が売主に対してアドバイスをしたら、それは売主の利益のためのアドバイスでしょうから、買主候補者の利益に反する可能性があるわけですから、買主候補者との契約の善管注意義務に違反して、債務不履行となり、買主候補者から損害賠償請求をされて今うのです。ですので、M&A仲介業者は売主の利益のためにアドバイスすることは禁止されているのです。

売主は実は孤立無援だったのです。

M&A仲介会社が売主の味方になれない理由とは?

この項目では、M&A仲介会社が、なぜ売主の味方になれないのかをもうすこし深堀りしていきます。

かなりぶっちゃけた内容になっています。

M&A仲介会社は売り手企業を囲い込みたいだけ

M&A仲介会社が執筆している書籍を読むと、必ず出てくるのが、

「売れない会社はない」という文句と、「買い手企業からの依頼で始まるM&Aはない」ということです。

売り手至上主義を一生懸命訴えています。

確かに、冒頭でもお話していますが、売り手が現れないことには、M&Aは完了しません。これは事実です。

ただ、この甘い誘い文句に騙されてほしくないのです。

買い手は、M&A経験がありいつも買収できる企業を探しています。

例えば、このような企業です。

後継者がいなくて、独自の事業を展開していて、一定の収入が毎月あって・・・。

お金儲けが得意な自分なら、この会社はもっと成長させることができる!と思った企業を買いたいのです。

常に探しています。ですから買い手は自社内にもM&Aサポートチームを擁立していて、外部のM&A仲介会社とも連携して効率的なM&Aをつねに展開しようとしているのです。

一から事業を始めるよりも、このM&Aで新規事業を展開するほうがメリットはたくさんあるからです。

M&Aで会社を大きくしていったベンチャー企業は数多く存在します。

M&A仲介会社も顧客である買い手を失いたくありませんから、買い手に気に入ってもらえるような売り手企業を必死で探しています。

優良な売り手を多く集めたい一心から、売り手優位、売り手の立場に立ったサポートというキャッチコピーが出来上がるわけです。

しかしながら、このキャッチコピーの真意は、「売れる会社だけ相手になりますよ~」ということです。

相談に来て、カウンセリングした内容から、「この会社は売れない」と判断したら、「当社では難しいです」とその場ではっきり言うべきなのですが、「売れない会社はない」「売り手企業あったこそのM&A」と豪語しているわけですから、口が裂けても「お引き取りください」とは言えません。また、M&A仲介会社の担当者としては、厳しいノルマを課されていますので、契約だけでも締結して、着手金だけでも欲しいいというのが本音です。

そこで、何とかやってみましょうと言いながら、契約を締結し、着手金をもらうものの、そのまま放置してしまうわけです。

事業は鮮度が大切です。どんどん時間が経過してくると、事業価値が下がっていきます。

後継者が不在なのですから、新しい経営者が現れないなら、廃業か倒産の二者択一という末路が待っているのです。

最初の相談先を間違ってしまったばかりに、大切な会社を失ってしまう経営者が最近は急増しています。

完全成功報酬制に隠された罠

M&A仲介会社の料金体系は、ほとんどの場合が「完全成功報酬制」となっています。

良心的な料金体系にみえるのですが、これが実は曲者なのです。

要するに、会社が売却できて、その代金から手数料をもらうわけですから、会社が売れないことには話になりません。先ほどの項目でもお話しましたが、「売れる会社」だけの相手をしたいわけです。売れない会社を相手にしても、「完全成功報酬制」ですから、1円も入ってきませんから。

負債が多すぎたり、事業内容が独特すぎたり、事業資金がかかる製造業などは買い手からも人気がありませんので、極力相手にしたくないのです。適当に対応されて放置される可能性が高くなります。

しかし、もっと悪質なのは、着手金を徴収するM&A仲介会社です。

買い手企業の情報を渡すということで、着手金を徴収して、また中間金も必要なM&A仲介会社もあります。

買い手企業が、途中で買収を取りやめたとしても、着手金、中間金が戻ってこない場合もありますし、たいていそうなっています。

買い手企業を紹介するという業務は完了しているからです。

着手金、中間金が必要なM&A仲介会社との契約は、その内容を徹底的に確認しておいてください。また、契約を締結した以上は、M&A仲介会社としては何をすべきか事細かく指示をしてしっかり働かせることが必要です。そのためには、売主自身もM&Aに詳しくならないといけないのです。

売主の味方はいないのか?M&Aアドバイザーは?M&A弁護士は?

M&A仲介会社とは別に、M&Aアドバイザー会社というものも存在しています。

M&A仲介会社のように売主と買主の双方と契約するのではなく、売主か買主の片方のみを契約し、顧客の利益のために、M&Aをサポートするのです。

M&Aアドバイザー会社は、大企業同士のM&Aにおいて、活躍します。利益相反が多局面にわたり発生しますので、売主も買主も、自分の利益のために行動してくれるM&Aアドバイザーが必要なのです。

M&A弁護士も、売主と買主の双方と契約するのではなく、売主か買主の片方のみを契約し、顧客の利益のために、M&Aをサポートするのです。

弁護士というのは、職務上の義務として、依頼主の利益を守ることが義務付けられています。徹底的に顧客の味方になることが仕事です。

中小企業・中堅企業のM&Aにおいて、M&Aアドバイザーまで選任する必要はないでしょう。

売主としては、M&A仲介会社を選任し、かつ、M&A仲介会社が売主に利益にならないことをしないよう監視するため、かつ、M&A仲介会社は、買主の利益を慮って、売主に利益になることをアドバイスしないことも十分に考えられますので、というより、買主の利益に反するようなことは行わず、その結果、売主の利益を害することを平気でしますので、M&A仲介会社をチェックする役割としてM&A弁護士を指名することが適切なのです。

M&A弁護士とは?

弁護士法人M&A総合法律事務所でも、M&Aアドバイザリー業務を行っており、M&Aに関しては、会社の内情を確認させていただき、最良の買い手企業を探し、そして買い手との交渉、契約に関するサポートをさせていただきます。

M&A仲介業務も行っておりますが、こちらは、あくまで売主と買主のマッチングをする契約ですので、M&A総合アドバイザーズと役割分担をして対応押させていただいております。

また、M&A顧問契約やM&Aセカンド顧問契約のように、M&A仲介会社が付いたうえで、そのチェック機能を果たすサービスも計上的にご提供しておりますので、お気軽にお問合せ、ご用命いただけましたら幸いです。