M&Aでの経営者保証や抵当権の扱い!

M&Aに伴う経営者の個人保証や抵当権の取り扱いについて

M&A会社売却された場合、経営者が対象会社の資金繰りのために提供している個人保証(連帯保証や経営者保証ともいう)また経営者が提供している抵当権・根抵当権(物上保証)はどのようになってしまうのでしょうか。

経営者としては、M&A会社売却後は、経営者ではなくなり、会社の経営に責任を持つわけではないため、経営者保証や抵当権は解除して欲しいと思うでしょう。経営者にとって、M&A会社売却に伴い辞任するとしても、そのまま継続して役員に在任するとしても、経営者保証や抵当権がどのようになってしまうかは、重大な関心事項と思われます。

この点、M&Aのスキームが株式譲渡であっても事業譲渡であったも、対象会社という法人は存続するわけですので、M&A会社売却したとしても、そのままでは、対象会社には、経営者保証が付いたままですし、抵当権もそのままとなってしまいます。買主企業が不適切な経営を行い、対象企業が経営不振に陥った場合、元経営者に対して、連帯保証の請求が行われたり、元経営者の抵当権が実行され自宅が処分されてしまうかもしれませんので、非常に問題が大きくなります。

経営者保証や抵当権は、M&A会社売却したとしても、そのままでは消滅しませんので、M&A会社売却に際して、買主候補企業に対して、状況を説明し、M&A会社売却後には速やかに解除して頂くことを確約してもらう必要があります。

なお、買主候補企業としても、元経営者が経営者保証をしたのは銀行や取引先などと思われますし、元経営者が抵当権を提供したのも銀行や取引先などと思われますので、買主候補企業が申し入れただけで、銀行や取引先のような第三者が直ぐに経営者保証や抵当権を解除してくれるかは明らかではありません。すくなくとも、買主候補企業が連帯保証するなり抵当権を提供するなりしなければ解除してくれないでしょうし、信用力の低い買主候補企業の場合は、解除に応じてもらえないかもしれません。そのような場合は、元経営者は、買主候補企業に対して、経営者保証や抵当権が解除されるまでにそれらが実行されてしまった場合は、買主候補企業が責任を負うことについて確約を取っておく必要があるものと思われます。

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