M&Aトラブル事例:M&Aで買収した会社が第三者の知的財産権を侵害していた場合!

M&Aと知的財産権侵害

M&Aで会社を買収したところ、後日、その会社に、第三者から、「著作権を侵害している」などと通知がきた場合に、どのような対処をするべきか、例えば、その結果、その第三者に対して、損害賠償を支払わなければならなくなった場合に、売主に対して損害賠償を請求できるのか、という点が気になるところです。

前提として、売主との関係では、「売主側が第三者の権利を侵害していないこと」を表明保証していることが必要となりますから、まず株式譲渡契約書にこの表明保証条項が存在しているかを確認してください。

実際に著作権侵害があると通知を受けた場合には、著作権が本当に侵害されているのかという点がまず問題になるでしょう。

漫然と調査をせず、相手方の主張のとおりに損害賠償をしたとしても、実際に著作権の侵害がないとなれば、売主に対して賠償の請求をすることはできません。

また、デューデリジェンス(DD)の過程に問題があり、それが買主側の過失により生じたものである場合には、売主に請求ができないということが生じる場合もあるでしょう。

そこで、著作権侵害の通知がきた場合には、相手方に対して根拠となる資料等を求めるなどして、著作権侵害の事実があるかにつき慎重に調査を行う必要があります。

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M&Aと知的財産権侵害と表明保証条項違反による損害賠償請求

次に、実際に著作権侵害があったことが判明した場合に、売主に対して損害賠償相当額を請求できるかということになります。

この点について、裁判例はまだないようですが、その他の表明保証条項違反に関する裁判例からすれば、デューディリジェンス(DD)において、わずかな注意をすれば発見できた表明保証条項違反については、請求ができない場合がある旨が判示されていることからすると、著作権侵害についても同様の判断がされるものと思われます。

すなわち、実際に対象会社において著作権侵害があり、それにより損害を被った場合は、売主に対して、株式譲渡契約書の表明保証の規定に基づいた補償責任を求めることができます。

他方、M&Aに際して、デューデリジェンス(DD)を漫然と怠り、注意を怠り調査しなかったような場合は、いくら表明保証の規定が存在していても、その規定に基づいて救済されないこととなりますので、やはり、M&Aにおいては、しっかり、デューデリジェンス(DD)を行っておかなければならないということは言うまでもありません。

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