M&A後も自宅の抵当権が外れないときの対応と抹消の手順

この記事の位置付け
自宅の抵当権の抹消に関するメインのページです。本ページは、M&Aの後に物上保証が残った場面で、解除の条件と金融機関との交渉の進め方をご説明します。経営者保証の解除は別のページをご参照ください。
人的な担保である経営者保証(個人保証)が解除されない場面についてはM&Aの後に経営者保証が解除されない場合の弁護士対応で別途述べておりますので、あわせてご覧ください。
会社の株式を譲り渡し、譲渡代金を受け取り、引継ぎも終えて、ようやく肩の荷が下りたはずでした。ところが、譲渡から半年ないし1年が経過したころ、何かの用事で自宅の登記事項証明書を取り寄せてみると、金融機関の抵当権が設定されたまま残っていることに気付きます。買主に問い合わせても、銀行と協議しています、もう少しお待ちくださいという返事が繰り返されるだけです。
これは、中小企業のM&Aが完了した後に少なからず生じている事態です。譲渡の交渉の段階では個人保証の解除が話題の中心となり、自宅に設定された担保は後回しにされがちです。株式譲渡契約書にも、買主は売主の個人保証及び担保提供の解除に向けて努力するものとする、という一文が置かれるのみで、期限も、達成できなかった場合の取扱いも定められていない例が目立ちます。
この場面で最も多い誤解は、株式を譲り渡した以上、自宅の担保も当然に外れるはずだという思い込みです。担保権は、株式の譲渡とは全く別の法律関係に基づいて存続しています。誰の、どの債務を、どの財産で担保しているのかを整理しない限り、買主に強く求めても事態は動きません。以下、二つの担保の違いから、解除の条件、金融機関との交渉、買主の義務、放置した場合の不利益、そして損害の回復と権利の保全の手段まで、順に述べてまいります。
個人保証と抵当権(物上保証)との違い
出発点として、二つの担保の仕組みを区別する必要があります。譲渡の当時、多くの経営者は、会社の借入について重ねて担保を求められています。一つは経営者本人が保証人となること、もう一つは自宅に抵当権を設定することです。両者は似て見えますが、法律上の性質も、解除に必要な手続も異なります。
個人保証は人に対する責任、物上保証は財産に対する責任
個人保証とは、会社が借入を返済できなくなったときに、経営者個人が会社に代わって支払う義務を負うことをいいます。中小企業の融資では連帯保証とされているのが通例であり、金融機関は会社に請求することなく保証人に全額を請求できます。責任は保証した債務の全額に及び、預貯金も自宅以外の不動産も含めた全財産が引当てとなります。
これに対して、自宅に抵当権を設定する行為は物上保証と呼ばれます。他人(この場合は会社)の債務を担保するために、自分の財産に担保権を設定することです。責任は当該不動産の価値の限度にとどまり、会社が返済できなくなれば自宅は競売にかけられ、売却代金から金融機関が優先的に回収します。もっとも、売却代金で足りなかった残額について、物上保証人が個人として支払義務を負うわけではありません。ここが、全財産が引当てとなる個人保証との決定的な違いです。
二つの担保は別々に解除しなければならない
個人保証が解除されたからといって、自宅の抵当権が自動的に消えることはありません。逆もまた同じです。保証解除の合意書を取り交わしても、それは保証契約を終了させただけであり、抵当権設定契約には何の影響も及ぼしません。譲渡の後は、必ずご自身で自宅の登記事項証明書を取得し、乙区に記載された担保権の種類、債権額又は極度額、債務者及び根抵当権者の欄を確認してください。費用は1通あたり600円程度です。
抵当権と根抵当権との違いを見誤らない
登記事項証明書には、「抵当権設定」と記載されている場合と、「根抵当権設定」と記載されている場合とがあります。中小企業の事業性の融資では根抵当権であることが圧倒的に多く、この二つは性質が大きく異なります。
抵当権は、特定の債権を担保するものです。ある年月日付けの証書貸付3000万円という、一つの具体的な借入を担保します。抵当権には付従性という性質があり、担保されている債権が弁済によって消滅すれば、抵当権も当然に消滅します。
これに対して根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を、極度額という上限額の限度でまとめて担保するものです。登記には「極度額5000万円、債権の範囲 銀行取引」といった記載がされます。最大の特徴は、元本が確定する前には付従性がないことです。たまたまその時点の借入残高がゼロになっても根抵当権は消滅せず、将来また借り入れれば、その新しい借入を当然に担保します。極度額という枠が設定されており、その枠自体は借入の増減にかかわらず存続し続けるのです。したがって、借入は完済しましたという買主の報告だけでは、自宅の担保は外れません。
抵当権が解除されるための条件
担保権を消滅させ、登記を抹消するために何が必要かを、担保権の種類ごとに整理します。
抵当権は被担保債権の消滅により当然に消滅する
普通の抵当権であれば、担保されている借入の完済によって、抵当権は法律上当然に消滅します。買主が会社の資金で返済を続ける、別の金融機関から資金を調達して借り換える、買主が会社に資金を貸し付けて返済させるといった方法があり、いずれでも当該借入が消滅すれば目的は達せられます。会社の財務内容の改善や代替担保の差入れを理由として金融機関が解除に応じることもありますが、これは金融機関の判断次第であり、権利として請求できるものではありません。
根抵当権は元本の確定が前提となる
根抵当権については、まず元本を確定させることが出発点です。元本の確定とは、その根抵当権が担保する債権を、その時点で存在するものに特定させることをいいます。確定によって、それ以後に生じる新たな債権は担保されなくなり、根抵当権は普通の抵当権に近い性質を帯びます。確定後は付従性が生じますので、確定した元本とその利息及び遅延損害金を弁済すれば、根抵当権は消滅します。
元本が確定する場面には、次のものがあります。第一に、登記に確定期日の定めがある場合の、その期日の到来です。第二に、確定期日の定めがない場合、根抵当権を設定した者は、設定の時から3年を経過したときに元本の確定を請求することができ、その請求の時から2週間を経過することによって元本が確定します(民法第398条の19第1項)。この請求は、自宅を提供した物上保証人である売主自身も行えます。第三に、根抵当権者である金融機関の側からは、いつでも確定を請求することができ、この場合は請求の時に確定します(同条第2項)。第四に、競売手続の開始、滞納処分による差押え、債務者又は設定者についての破産手続開始の決定など、法定の事由の発生です。
売主が自ら使える手段として重要なのは、設定から3年経過後の確定請求です。買主が交渉を先延ばしにしても、売主の意思で元本を確定させ、それ以後の新たな借入が自宅で担保されない状態を作れます。ただし、確定期日が定められている場合にはこの請求はできません。
極度額の減額を請求するという次善の策
元本が確定した後は、自宅を提供している設定者は、根抵当権者に対し、極度額を、現に存在する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務不履行による損害賠償の額とを加えた額まで減額するよう請求できます(民法第398条の22第1項)。極度額5000万円の枠に対して残債務が800万円であれば、枠を実態に合わせて縮小させられるということです。担保権自体は残りますが、自宅の担保余力が回復し、住宅ローンの借換え等の余地が生まれます。
解除と抹消登記とは別の手続である
見落とされやすいのが、担保権が実体として消滅することと、登記記録からその記載が消えることとは別だという点です。完済によって抵当権が消滅しても、登記は自動的には消えません。金融機関から解除証書、登記識別情報又は登記済証、資格証明書及び委任状の交付を受け、法務局に申請して、はじめて記載が消えます。登録免許税は不動産1個につき1000円です。書類は必ず売主自身が受領し、司法書士に依頼して速やかに申請してください。
金融機関との交渉をどのように進めるか
担保の解除は、最終的には金融機関の判断に委ねられます。買主に対する請求であると同時に、金融機関に対する説得の問題でもあります。
交渉の主体は買主であるが、売主も同席する
債務者は買主が取得した会社ですから、交渉の主体は買主です。しかし任せきりにすると進捗が見えなくなります。売主は物上保証人という当事者の立場にありますので、面談への同席を求めてください。支店長や融資担当者と直接に顔を合わせ、いつまでに、どのような条件が整えば解除に応じられるのかをその場で確認することが有効です。買主から伝え聞くだけでは、金融機関の本当の意向は分かりません。
金融機関に持参すべき資料
金融機関が見ているのは、担保を外しても回収に支障がないかという一点です。したがって、次の資料を整えて臨みます。
- 株式譲渡契約書のうち譲渡代金、譲渡日、買主の名称及び担保解除に関する条項の部分(守秘義務に配慮し、必要な範囲に限って開示します)
- 買主又は買主グループの直近3期分の決算書及び税務申告書
- 譲渡後の会社の資金繰り表、事業計画及び直近の試算表
- 新たな代表者が保証人となる意思を示す書面
- 代替として差し入れられる担保物件の資料
これらが揃わないまま担保を外してくださいと申し入れても、検討の対象にすらなりません。
経営者保証に関するガイドラインを踏まえた申入れ
経営者保証に関するガイドラインは、法人と経営者の資産及び経理が明確に分離されていること、法人のみの資産及び収益力で借入返済が可能と判断し得る財務基盤があること、並びに金融機関に対し適時適切に財務情報が開示されていることという趣旨の要素を掲げ、これらが満たされる場合には経営者保証を求めない可能性を検討すべきものとしています。事業承継の場面についての特則では、前の経営者と新しい経営者の双方から重ねて保証を徴求することを原則としないという考え方も示されています。強制力を持つものではありませんが、金融機関はこれを尊重する立場にあり、申入れの根拠として言及する意義があります。
融資の種類を区分し、回答は書面で求める
借入の一覧を作成し、それぞれが金融機関固有の融資であるか、信用保証協会の保証が付された融資であるかを区分してください。保証付融資について担保を解除するには信用保証協会の承諾も必要となり、手続に要する時間が異なります。一定の要件の下で経営者保証を不要とする信用保証の制度も設けられていますので、借換えによって担保及び保証の構成を組み替えられないか検討を求めることが有益です。そのうえで、いつまでに、どの借入について、どのような結論を出すのかを書面又は電子メールで回答するよう求め、面談の日付、出席者及び発言の要旨を記録に残してください。口頭のやり取りだけでは、後に義務違反を主張する際の証拠が残りません。
買主が契約上負う義務の内容
金融機関への説得と並行して、買主に契約上の義務の履行を求めます。何を請求できるかは、株式譲渡契約書の書きぶりによって大きく変わります。
契約書のどの条項を見るか
まず、クロージング後の誓約に関する条項を確認してください。多くの契約書では、買主はクロージング後速やかに売主の保証及び担保提供を解除させるものとする、といった趣旨の条項が置かれています。確認すべきは次の4点です。
- 対象が保証だけでなく担保提供(物上保証)を含んでいるかどうか
- 期限が定められているかどうか
- 「解除させる」という結果の義務か、「努力する」という行為の義務にとどまるか
- 解除されるまでの間に売主が負担を強いられた場合の補償が定められているかどうか
解除に向けて誠実に努力するものとする、という定め方の場合、買主が金融機関と協議した記録を示せば義務は果たしたと主張されることがあります。それでも、面談の申入れすらしていないという状況であれば、努力義務の違反を主張し得ます。買主に対し、協議の経過、申入れの内容及び回答の内容を書面で開示するよう求めてください。開示を拒む、説明が変遷するといった事実は、義務違反を基礎づける事情となります。
これから譲渡される方が定めておくべき条項
まだ契約の交渉中である方は、次の内容を織り込んでおくことをお勧めします。対象を「保証、物上保証その他一切の人的又は物的担保」と明記すること。クロージング日から6か月以内に解除させる、というように期限を明示すること。期限までに解除されない場合には、買主が当該借入を返済し、又は借り換えて解除を実現する義務を負うと定めること。解除されるまでの間に売主が保証債務の履行を求められ、又は自宅について競売の申立てを受けた場合には、買主が全額を補償し売主を免責すると定めること。そして、期限を経過した場合の違約金の額を定めておくことです。損害額の立証は容易ではありませんので、違約金の定めは実際的な意味を持ちます。
代金の一部留保という手段
実務上、最も効果があるのは、譲渡代金の一部を担保解除の完了まで支払わせないという設計です。代金のうち一定額を第三者に預託し、又は支払の時期を担保解除の完了時とすることで、買主に手続を進める動機を与えられます。既に代金を全額受領した後では、買主が動く経済的な理由は乏しくなります。
抹消されないまま放置された場合に生じる不利益
担保が残っていても当面は請求を受けないため、深刻さが実感されにくい面があります。しかし、放置すれば次のような不利益が現実のものとなり得ます。
自宅を処分することも、担保に入れることもできない
自宅を売却しようとしても、抵当権が付いたままの不動産を購入する方はまずいません。売却するには決済の場で担保を抹消する必要があり、そのためには借入の完済が前提となりますが、その借入は既に他人の会社の債務であり、自分の意思では消せません。担保余力がないため、新たな借入や住宅ローンの借換えも困難となり、老後の資金計画や住み替えの計画が事実上凍結されます。
買主の経営が悪化すれば競売の対象となる
最も重大な不利益がこれです。譲渡後に買主の経営が行き詰まり、会社が返済を怠って期限の利益を失えば、金融機関は担保権を実行することができます。自宅は担保不動産の競売の手続に付され、売却されれば居住を続けることはできません。売主は経営から完全に離れており、会社の資金繰りを知る立場にも、立て直す手立てもありません。他人の経営の巧拙に自宅の帰趨が委ねられているという状態です。
根抵当権であれば買主の新たな借入まで担保する
根抵当権が確定しないまま残っている場合、担保されるのは譲渡時点の残高にとどまりません。買主の新しい経営陣が譲渡後に新規の借入を行えば、その借入も同じ根抵当権によって極度額の限度で担保されます。譲渡時の残高が1000万円であっても、極度額が5000万円であれば、その後に借り増しされた分まで自宅が引当てとなり得ます。元本の確定を急ぐべき理由は、ここにあります。
相続の場面で家族に問題が引き継がれる
担保が付いたまま所有者が亡くなれば、その不動産は担保付きのまま相続人に承継されます。遺産分割の協議では、いつ競売にかけられるか分からない不動産を誰が取得するかで紛糾しやすく、配偶者の居住の安定も脅かされます。ご自身の代で解決しておかなければ、家族に難しい問題を残すことになりかねません。
損害の回復及び権利の保全のための手段
買主が動かず、金融機関も応じない場合に、売主が採り得る手段を整理します。事案により適否は異なりますが、選択肢を知っておくことには意味があります。
契約上の義務の履行を求め、損害賠償を請求する
株式譲渡契約書に担保の解除に関する義務が定められている場合、その履行を求めることができます。買主が期限までに解除を実現しなかったことによって売主に損害が生じたときは、債務不履行に基づく損害賠償を請求し得ます(民法第415条第1項)。損害としては、自宅を売却できなかったことによる損失、より有利な条件での借換えができなかったことによる金利の差額、違約金の定めがある場合にはその金額などが考えられます。もっとも、担保が残っていること自体から直ちに損害額が算定できるとは限らず、立証の方法が課題となります。訴訟に先立ち、内容証明郵便により期限を定めて履行を催告することが通例です。
保証債務を履行し、又は自宅を失った場合の求償権
万一、金融機関から保証債務の履行を求められて支払をした場合、保証人は主たる債務者である会社に対して求償権を有します(民法第459条等)。他人の債務を担保するために自分の不動産に抵当権を設定した者が、弁済をし、又は競売によって所有権を失った場合にも、保証人に関する規定に従って債務者に対する求償権が認められています(民法第372条により準用される同法第351条)。ただし、その時点で会社が支払能力を失っていることが通例であり、求償権が絵に描いた餅となる危険は小さくありません。
財産の保全と情報の把握
買主に対する損害賠償請求権や補償請求権があっても、判決を得るまでの間に買主が資産を処分してしまえば回収は困難です。そこで、買主の預金、不動産、売掛金等について仮差押えの手続を検討することがあります(民事保全法第20条第1項)。被保全権利の存在と保全の必要性の疎明が求められ、担保金の供託も必要となる手続ですので、慎重に判断することになります。
あわせて、会社の借入の状況を継続的に知ることが自衛の基本です。委託を受けて保証をした者から請求があったときは、債権者は、主たる債務の元本及び利息等についての不履行の有無、残額、並びにそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならないとされています(民法第458条の2)。保証人の地位が残っているのであれば、この制度を用いて金融機関に情報の提供を求めることができます。担保だけが残っている場合には、株式譲渡契約書において買主に対し、借入残高及び協議の経過を定期的に報告させる条項を設けておくことが有効です。
自力で解決する道も検討する
交渉が長期化し、自宅の処分の必要が切迫している場合には、自らの資金で当該借入を返済して担保を外し、その後に買主へ支払額の返還を求めるという順序も考えられます。負担は先行しますが、自宅を競売の危険から切り離すことができ、また支払った金額という明確な損害が生じるため、買主に対する請求の内容が具体化するという利点があります。返済に先立ち、金融機関から担保解除の可否及び必要書類について書面で確認を得ておいてください。どの手段を選ぶかは、残債務の額、買主の資力、自宅の価値及び売主の生活設計によって異なりますので、早い段階で弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
よくあるご質問
ご相談の際に実際に多くいただくお尋ねを、要点とともに整理いたします。
株式を譲渡すれば、自宅の抵当権は自動的に外れるのではありませんか
外れません。抵当権は、会社と金融機関との融資契約、及び売主と金融機関との抵当権設定契約に基づいて存続しています。株式の持ち主が変わったことは、これらの契約に何の影響も与えません。金融機関が解除に同意し、又は担保されている借入が消滅しない限り、担保権は残り続けます。
個人保証は解除されたのに、抵当権だけが残っています。なぜでしょうか
保証契約の解除と、抵当権設定契約の解除とは別の手続だからです。金融機関としては、保証を外しても不動産という物的な担保が残っていれば回収の目処が立つため、保証の解除には応じても担保の解除には応じないという判断をすることがあります。買主やM&A仲介会社が保証の解除だけを課題として認識していた例もあります。担保の解除を独立した課題として改めて申し入れる必要があります。
会社の借入は完済されたと聞いていますが、根抵当権が消えません
根抵当権は、元本が確定する前には、その時点の借入残高がゼロになっても消滅しません。一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度で担保し、将来の新たな借入を当然に担保するからです。残高がゼロであれば、まず金融機関に対し、根抵当権の解除と抹消登記への協力を申し入れてください。応じない場合には、設定から3年を経過していることを前提として、元本の確定を請求することが考えられます。
元本の確定とは何ですか。売主の側から求めることはできますか
元本の確定とは、根抵当権が担保する債権を、その時点で現に存在するものに特定させることをいいます。確定した後は、新たに生じる債権は担保されなくなり、確定した元本及びその利息等を弁済すれば根抵当権は消滅します。確定期日の定めがない場合、自宅を提供した設定者は、設定の時から3年を経過したときに確定を請求でき、請求から2週間の経過によって元本が確定します。確定期日が登記されている場合にはこの請求はできません。
契約書に「努力する」としか書かれていません。買主に請求できますか
努力義務であっても義務は義務ですので、買主が金融機関に対して何らの申入れもしていないような場合には、義務違反を主張し得ます。まずは、買主に対し、協議の経過、申入れの内容及び金融機関の回答について書面での開示を求めてください。開示に応じない、説明が変遷するという事実は、義務違反の主張を支える事情となります。もっとも、努力義務にとどまる条項では請求の内容が弱くなりますので、譲渡の交渉の段階で、期限及び未達成の場合の措置まで定めておくことが望まれます。
買主の会社が倒産した場合、自宅はどうなりますか
会社が返済を怠って期限の利益を失えば、金融機関は担保権を実行し、自宅は担保不動産の競売の手続に付され得ます。売却されれば、その代金から金融機関が優先的に回収し、売主は自宅の所有権を失います。物上保証にとどまる場合、不足した残額について個人として支払義務を負うことはありませんが、住まいを失うという結果は避けられません。この段階では採り得る手段が限られますので、競売の申立てを受ける前に具体的な行動を起こしておくことが何よりも重要です。
具体的なご相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。


