買収後に商標権や著作権が対象会社に帰属していないと判明した場合の対応

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知的財産権の帰属の相違に関するメインのページです。本ページは、M&Aで会社を譲り受けた後に商標権や著作権の帰属が争われた場面の確認をご説明します。重要な設備の故障は別のページをご参照ください。
重要な設備の故障が判明した場面は買収後に重要な設備の故障が判明した場合の費用負担と売主への請求を、売上が説明と違っていた場面は買収した会社の売上が説明と違ったときの責任の範囲を、それぞれご覧ください。
買収の実行を終え、新しい体制で事業を動かし始めた頃に、知的財産権の帰属をめぐる問題が表面化することがあります。取引先から「この商標の権利者は御社ではないようだ」と指摘される、業務システムの改修を頼んだ外注先から「そのプログラムの著作権は当社にありますので、改修は当社を通していただきます」と言われる、退職した技術者から「あの装置の特許は私の発明です」と連絡が入る、といった形で発覚します。いずれの入口でも、買主が直面するのは、明日以降その名称や技術を使い続けてよいのかという、極めて実務的な問いです。
中小企業では、権利の管理が創業者個人の頭の中にあり、書面が残されていない例が多く、名義や契約書を確認して初めて、会社が権利を持っていなかったと分かることがあります。本稿では、中小企業のM&Aで会社を取得した買主を念頭に、権利の帰属をどのように確認し、使用許諾や従業員及び外注先との権利関係をどう整理し、事業を継続できるかをどう評価するかを、順を追って整理します。
権利が誰に帰属しているかを確認する
最初に行うべきは、指摘を受けた一つの権利だけを見るのではなく、その会社が現に事業で使っている知的財産の全体について、権利者が誰であるかを洗い出す作業です。一つの帰属の不備が見つかる会社では、他にも同種の不備が潜んでいることが多く、部分的な対処を重ねると説明をやり直すことになります。
現に使っているものの側から洗い出す
出発点は、権利の一覧表ではなく、事業の現場です。会社の看板、商品のパッケージ、ウェブサイト、業務システム、生産設備の制御プログラム、設計図面、金型、社名及び商品名、ドメイン名を列挙し、それぞれについて「これを使えなくなったら事業は回るか」を問い、回らないものに絞り込みます。中小企業では、真に生命線となっているものは10件から20件程度に収まるのが通常です。登録により発生する権利については、特許庁の情報検索の仕組みを用い、対象会社の商号、創業者の氏名及び旧商号を検索語として、名義、登録の番号、存続期間の満了日、及び登録料の納付の状況を一覧にします。
商標権が創業者個人の名義になっている例
中小企業で最も頻繁に見られるのが、会社の商号や主力商品の名称に係る商標権が、会社ではなく創業者個人の名義で登録されている例です。会社を設立する前に個人事業として出願していた、会社の資産と個人の資産とを区別する意識がなかった、といった経緯によるものが多く、悪意によるとは限りません。会社が長年使い続けていれば支障は生じませんので、誰も気付かないまま買収の対象になります。
この場合、株式をすべて取得しても、商標権は創業者個人に残ったままです。株式譲渡は会社の株主が入れ替わる取引であり、創業者個人の財産が移転するわけではないためです。買主は、譲渡代金とは別に、その商標権について譲渡の合意を書面にし、特許庁に対する移転登録の申請を行う必要があります。契約書に「事業に必要な一切の権利が移転する」といった一般的な文言があっても、それだけでは登録の名義は動きません。
ソフトウェアの著作権が外注先に残っている例
次に多いのが、業務システム、ウェブサイト、及び製品に組み込まれた制御プログラムの著作権が、開発を請け負った外注先に残っている例です。委託契約書に著作権の帰属を定める条項がなければ、創作をした外注先が著作権を有します。委託した側は代金を支払った以上は自社のものになったと考えがちですが、法律上はそうなりません。
帰属の条項がある場合でも、確認を要する点があります。著作権のうち、翻案の権利及び二次的著作物の利用に関する原著作者の権利は、譲渡の対象として契約書に特に掲げられていなければ、譲渡した者に留保されたものと推定されます。この点は著作権法第61条第2項に定めがあります。「著作権を譲渡する」とだけ書かれた契約書では、改修を行う権利が外注先に残っている可能性があります。
職務著作及び職務発明の規程がない例
三つ目に多いのが、従業員が職務上作成した著作物や、職務上行った発明の取扱いについて、社内の規程が整備されていない例です。従業員が職務上作成した著作物は、法人の発意に基づき、職務上作成され、法人の名義で公表されるものについて、勤務規則等に別段の定めがなければ法人が著作者となります。この点は著作権法第15条に定めがあります。図面や資料が個人の名義で外部に出ている場合は、この要件を満たすかが争いになり得ます。
職務発明については、扱いがさらに慎重を要します。従業者がした職務発明について、あらかじめ使用者に特許を受ける権利を取得させることを勤務規則その他の定めで規定しておけば、その権利は発生した時から使用者に帰属します。この点は特許法第35条に定めがあります。そうした規程がない会社では、権利は発明をした従業員個人に発生しており、会社は個別に譲渡を受けなければ権利者になれません。
登録された権利と著作権との違い
知的財産権と一括りに呼ばれるものの中には、性質の大きく異なるものが混在しています。この違いを踏まえないと、調べ方も対処の方法も見当違いのものになります。最も重要な分かれ目は、登録により発生する権利か、創作の時点で当然に発生する権利かという点です。
登録により発生する権利は名義で追える
特許権、実用新案権、意匠権及び商標権は、出願をして審査を経て、登録されることによって発生します。権利の内容と権利者の名義は登録簿に記載され、外部から確認できます。存続期間にも定めがあり、特許権は出願の日から20年、商標権は登録の日から10年で、商標権については更新の登録の申請により何度でも更新できます。年金又は登録料を納めなければ権利は消滅しますので、納付の状況の確認も欠かせません。反面、名義が違えばその事実が明確に残りますので、創業者個人の名義になっている商標権について会社が権利者であると主張することは困難です。
著作権は登録簿では追えない
これに対し、著作権は、著作物を創作した時点で何らの手続を要せずに発生します。登録の制度はありますが権利の発生の要件ではなく、中小企業の保有する著作物が登録されていることはほとんどありませんので、誰が権利者であるかを外部の登録簿で確かめる手段がありません。
そのため、著作権の帰属の確認は、契約書、発注書、納品書、開発の経緯を示す電子メールといった資料を積み上げて行うほかありません。買収後に問題が発覚した場合は、まず経理の帳簿から外注費の支払先を洗い出し、支払の相手方ごとに契約書の有無を確かめる方法が効率的です。写真やウェブサイトの文章についても、制作を委託した相手方を同じ方法で洗い出します。
使用許諾を受けている場合の確認事項
権利者が対象会社ではないと判明した場合であっても、権利者から使用の許諾を受けているのであれば、事業を継続できる余地があります。もっとも、許諾を受けているという説明を受けたときこそ、その内容を書面で確かめる必要があります。中小企業では、許諾の関係が口頭の了解にとどまっている例が少なくありません。
許諾の書面の有無と内容
まず、許諾の契約書が存在するかどうかを確かめます。存在する場合に確認すべき事項は、許諾の対象となる権利の特定、許諾された行為の範囲、地域、期間、対価の額及び支払の方法、独占的なものかどうか、再許諾が認められているかどうか、並びに解除の事由です。とりわけ期間の定めのない許諾は、権利者からの申入れによって将来に向けて終了させられる余地がありますので、事業の基盤としては不安定です。
契約書が存在しない場合は、対価の支払の記録、電子メールでのやり取り、及び権利者が使用を知りながら異議を述べていなかった事実を集め、黙示の許諾があったと構成できるかどうかを検討します。ただし、この構成は争いになれば結論が読みにくいものですので、改めて書面による許諾を取り付けるのが安全です。
支配権の変動に関する条項
許諾の契約書がある場合に必ず確認しなければならないのが、支配権の変動に関する条項です。許諾を受けた側の株主が変わった場合に、権利者が契約を解除できる、又は事前の承諾を要すると定められていることがあります。この条項がある契約について買収に際して承諾を得ていなければ、既に解除の事由が発生している状態にあります。事後の承諾を求める交渉では、権利者は解除の権利を握った状態で臨みますので、対価の増額を求められることが想定されます。代替の手段の有無も並行して検討しておきます。
権利者が創業者個人である場合
許諾の相手方が創業者個人である場合には、事情がさらに複雑になります。株式譲渡の実行までは、創業者は会社の所有者でしたので、自らの権利を会社に使わせることに何の障害もありませんでした。しかし、株式を譲渡した後は、創業者と会社とは他人の関係になります。これまで無償で使わせていた権利について、対価を求められる、あるいは使用の中止を求められる、という事態が生じ得ます。買収の交渉でこの点が議題に上らなかった案件では、実行後に初めて双方がこの構造に気付きます。
表明保証の条項との関係
権利の帰属に問題があると判明した場合、それを売主の責任として問えるかどうかは、株式譲渡契約における表明保証の条項の書き方によって決まります。表明保証とは、一定の事実が真実かつ正確であることを相手方に表明し、保証する条項です。実行の後にそれが真実でなかったと判明した場合、契約に定められた補償の請求の対象となり得ます。
知的財産権に関する典型的な条項
知的財産権に関する表明保証は、多くの場合、次の内容で構成されています。第一に、対象会社が事業の遂行に必要な知的財産権を適法に保有し、又は適法に使用する権原を有していること。第二に、別紙に記載された一覧が正確かつ完全であり、対象会社が権利者であること。第三に、対象会社の事業が第三者の権利を侵害していないこと。第四に、従業員及び外部の委託先との間で、職務上の成果物に係る権利の帰属について適切な定めがされていること。自らの契約書のこの部分を条項の番号とともに読み直し、判明した事実がどの表明保証に反するのかを、対応関係が分かる形で書き出します。
買主の認識が結論を左右する
争点となりやすいのが、買主がその事実を知っていたかどうかです。デュー・ディリジェンスの過程で、商標権の名義が創業者個人であることを示す登録の情報が資料として提供されていた場合、売主は、買主が承知のうえで契約したと主張します。他方、買主としては、表明保証の対象から除外すると明示的に合意されていない限り請求は妨げられないと主張することになります。結論は、開示された事項を表明保証の例外とする条項が置かれているかどうかで大きく変わりますので、受領した資料の一式と質問への回答の記録は、日付とともに保存しておきます。
請求の期間及び金額の制限
補償の請求には、通常、期間の制限と金額の制限が付されています。実行の日から1年、1年6か月、又は2年といった期間内に通知をしなければ請求できないと定められていることが一般的です。また、1件あたりの金額が一定額を下回る場合は請求できないとする定め、及び売主の負担の上限を譲渡代金の一定の割合とする定めが置かれていることも多くあります。判明した時点でまず期間の残りを確認し、満了が近い場合には、詳細が固まる前であっても、請求の意思を示す通知を先に発することを検討します。
使用を継続できるか
権利関係の確認と並行して進めなければならないのが、明日以降その名称や技術を使い続けてよいのかという判断です。この判断は、権利者が誰であるか、その権利者との関係、及び代替の手段の有無によって決まります。売主への請求に気を取られて後回しにすると、その間に権利者から使用の差止めを求められ、選択の余地を失うことがあります。
権利者が創業者個人である場合の進め方
商標権が創業者個人の名義であった場合、まず行うのは、創業者に対して、権利を会社に移転する手続への協力を求めることです。株式譲渡契約に、実行の後も必要な手続に協力する旨の条項が置かれていることが多く、これを根拠として求めます。あわせて、その商標を含む事業の価値を評価して代金の額を定めた経緯を資料とともに示します。
創業者が譲渡を拒む場合には、対応が分かれます。第一の道は、対価を支払って譲渡を受ける交渉です。譲渡代金とは別の支出となりますが、事業の継続を確保する費用として合理的な範囲であれば選択肢となります。第二の道は、長期の使用の許諾を有償で受ける方法です。第三の道は、表明保証違反として売主に請求を行い、その中で、売主に対して創業者からの権利の取得を求めることです。創業者と売主とが同一の人物である案件では、この請求と譲渡の交渉とが一体のものになります。第四の道は、名称そのものを変更する方法であり、取引先への周知の費用、看板やパッケージの作り替えの費用、及び顧客の離反の見込みを見積もったうえで、譲渡の対価と比較して判断します。
ソフトウェアの著作権が外注先にある場合の進め方
業務システムの著作権が外注先に残っている場合、直ちに使用を止めなければならないとは限りません。開発の委託と代金の支払という経緯からは、少なくとも業務のために使用することについて黙示の許諾があったと構成できる場合が多いためです。実務上の問題となるのは、使用よりも、改修、他の会社への保守の移管、及び複製の範囲です。外注先との間では、権利の譲渡を求めるか、改修及び保守を第三者に委託することを含む許諾を得るかの交渉を行い、あわせて他の仕組みへ移行する場合の費用も見積もっておきます。
職務発明及び職務著作に関する事後の整備
規程がなかった場合、既に生じた権利の帰属を後から一方的に変えることはできません。在職中の従業員については、個別に譲渡の合意を取り付ける作業を進めます。将来に向けては、職務発明について会社が権利を取得する旨と、相当の利益の内容及び決定の手続を定めた規程を整備し、従業員の意見を聴く手続を経て周知します。既に退職した者に関わる発明については、必要に応じて譲渡の交渉を行います。
損害額と権利の取得に要する費用
売主への請求を検討する段階では、被った損害の額を、根拠のある形で組み立てる必要があります。「価値のあるものが手に入らなかった」という抽象的な主張は通りません。実際に支出した費用と、支出が確実に見込まれる費用とを、資料とともに積み上げます。
積み上げるべき費目
典型的な費目は次のとおりです。第一に、権利の取得に要した費用として、創業者又は外注先に支払った譲渡の対価、移転登録の費用、及び代理人の報酬。第二に、使用の許諾を受けるために支払った対価及び今後支払うことが見込まれる対価。第三に、代替の手段に移行するための費用として、名称の変更に伴う看板、パッケージ、印刷物、ウェブサイトの作り替え、取引先への周知、及び新たな仕組みの構築の費用。第四に、権利者との紛争に要した弁護士の費用及び調査の費用。第五に、使用の中止を余儀なくされた期間の売上の減少。売上の減少は立証が最も難しい費目ですので、中止の前後の月別の売上と前年の同月の売上を並べ、他の要因による変動を控除した算定の考え方を書面で説明できるように整えます。
買収の価格の前提が崩れたことによる損害
もう一つの考え方が、権利が対象会社に帰属していることを前提として価格を定めたのに、その前提が事実に反していたのであるから、正しい前提の下での企業の価値と実際に支払った代金との差額が損害である、という組み立てです。買収の際に企業の価値の評価の書面を作成しており、その中でブランドの価値や技術の優位性を評価の要素として明示している場合には、この主張は説得力を持ちます。もっとも、評価の前提の置き方によって金額が大きく振れますので、実務上は、実費の積み上げを基礎に据えたうえで、この差額を補完的に主張する構成が多く採られます。
証拠として残しておくべき資料
損害の主張を支えるのは、その時々の資料です。支払を証する領収書及び振込みの記録、譲渡の契約書、代理人との委任契約書及び請求書、名称の変更に係る発注書及び納品書、取引先への通知と発送の記録、並びに売上の推移を示す帳簿を、費目ごとに整理して保管します。判明した日、権利者から通知を受けた日、売主に通知した日も、時系列の一覧にまとめておきます。
売主への請求
事業の継続の見通しが立ち、損害の額の骨格が固まった段階で、売主に対する請求に移ります。順序は、通知、協議、協議が整わない場合の法的な手続という流れです。期間の制限がある以上、通知だけは早く出し、金額の詳細は後から補充する進め方が現実的です。
通知の書面に記載する事項
売主に対する通知の書面には、次の事項を記載します。第一に、株式譲渡契約のどの条項に基づく請求であるかを、条項の番号を挙げて特定すること。第二に、判明した事実の内容と、それを知った日。第三に、その事実がどの表明保証に反するかの対応関係。第四に、現時点で判明している損害の額と、今後増加する見込みがあること。第五に、契約に定められた協議の申入れ。書面は到達の日付を証明できる方法で発し、契約に通知の宛先や方法の定めがある場合はそれに従います。
協議の場で求める内容
協議においては、金銭の支払だけを求めるとは限りません。売主が創業者と同一の人物である案件では、権利そのものを会社に移転することを求めるほうが実質的な解決になります。この場合、移転登録の手続への協力、必要な書類への押印、及び外注先や退職者との交渉への協力を、期限を定めて求めます。譲渡代金の一部が留保されている場合、又は分割の払いで未払の部分が残っている場合には、その部分と相殺する形での解決も検討できますので、契約の支払の条項を確認します。
協議が整わない場合の手続
協議が整わない場合は、契約に定められた紛争の解決の方法に従います。訴訟による場合には管轄の裁判所の定めを、仲裁による場合には仲裁の機関及び場所の定めを確認します。売主が個人であり、譲渡代金を既に費消している疑いがある場合には、判決を得ても回収できない事態を避けるため、財産の保全の手続を先に検討します。保全の手続には担保金の供託を要しますので、その資金の手当ても含めて判断します。売主が事実を知りながら告げなかったといえる場合には、別の構成による請求の余地もありますが、認められるかどうかは事案により異なります。
よくあるご質問
ここでは、買収の後に権利の帰属の問題が判明した買主の方から寄せられることの多い質問を取り上げます。個別の結論は契約書の文言と事実関係により異なります。
株式を100パーセント取得すれば、商標権も当然に移るのではありませんか
移りません。株式譲渡は会社の株主が入れ替わる取引であり、会社が保有する財産は会社に残りますが、創業者個人が保有する財産は移転しません。会社に権利を移すには、創業者との間で譲渡の合意をし、特許庁に対する移転登録の申請を行う必要があり、株式の譲渡代金とは別の手当てが要ります。
創業者が商標権の譲渡に応じない場合、使用を止めなければなりませんか
直ちに止めなければならないとは限りません。会社が長年その商標を使い続けており、創業者もそれを知りながら異議を述べていなかったのであれば、これまでの使用については黙示の許諾があったと構成できる余地があります。もっとも、将来に向けて中止を求められた場合の結論は事案により異なります。実務上は、対価を支払って譲渡を受ける、有償の使用許諾を受ける、売主に権利の取得を求める、又は名称を変更する、という道を比較します。
外注先に開発を委託して代金も支払っています。それでも著作権は先方にあるのですか
契約書に著作権の帰属を定める条項がなければ、原則として、創作をした外注先に著作権があります。代金の支払は開発という仕事に対する対価であり、それによって著作権が当然に移転するわけではありません。もっとも、業務のために使用することについては黙示の許諾があると考えられる場合が多く、日々の使用が直ちに問題となるとは限りません。支障となるのは改修、保守の移管、及び複製の範囲ですので、これらを確保するため、譲渡又は明確な許諾の交渉を行います。
職務発明の規程がありませんでした。今から作れば過去の発明も会社のものになりますか
なりません。あらかじめ規程を定めておくことによって権利を使用者に帰属させる仕組みですので、後から作った規程を過去の発明に及ぼすことはできません。既に生じている発明については、発明をした従業員又は退職者から個別に権利の譲渡を受ける必要があり、相応の対価の支払を伴うのが通常です。将来に向けては、規程を整備し、従業員の意見を聴く手続を経て周知します。
デュー・ディリジェンスの資料に登録の情報が含まれていました。もう請求できませんか
直ちに請求できなくなるわけではありません。結論は、株式譲渡契約に、開示された事項を表明保証の対象から除外する条項が置かれているかどうかによって変わります。開示の別紙に明示的に記載されていた事項と、大量の資料の中に紛れていた記載とでは扱いが異なり得ます。まず契約書の当該条項を確認し、受領した資料と質問への回答の記録を日付とともに整理してください。
売主への請求は、いつまでに行う必要がありますか
株式譲渡契約に定められた期間の制限によります。実行の日から1年、1年6か月、又は2年といった期間内に通知を要すると定められていることが多く、これを過ぎると請求できなくなります。損害の額が固まっていない段階でも、請求の意思と判明した事実を記載した通知を先に発することができますので、期間の残りが少ない場合は通知を優先してください。
具体的なご相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。


