会社売却後の引継ぎ期間中に買主から役員を解任された場合

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引継ぎの期間中の役員の解任に関するメインのページです。本ページは、会社を売却した後に買主から解任された場面で、正当な理由と残る任期の報酬をご説明します。役員報酬の未払は別のページをご参照ください。
解任の後に役員報酬そのものが支払われない場面は会社売却後の役員報酬を買主から支払ってもらえない場合の対処を、旧役員としての責任を追及された場面は会社売却後に旧経営者が役員としての責任を追及された場合の対応を、それぞれご覧ください。
会社を売却し、株式譲渡の実行の日に代金を受け取った。買主からは「業務の引継ぎのため、当面は取締役として残っていただきたい」と言われ、契約書にもその旨が記された。ところが、実行から3か月ほど過ぎたある日、臨時株主総会の招集通知が届き、そこには「取締役の解任の件」と記されていた。あるいは、通知すらないまま、後日に登記事項証明書を取り寄せて初めて自らが解任されていたことを知った。中小企業のM&Aでは、このような相談が実際に寄せられます。
引継ぎのために残るという約束は、売主にとって単なる形式ではありません。売主の側は、従業員や取引先に対して自らが当面は残ることを説明し、その前提で理解を得ているのが通例です。それにもかかわらず途中で解任されますと、報酬が途絶えるだけでなく、周囲に対する説明がつかなくなり、長年築いてきた信用にも関わります。買主の側からは「引継ぎは実質的に終わった」「経営の方針が合わない」という理由付けがされますが、売主にとって納得のできるものではありません。
この場面を検討するにあたり、最初に区別しなければならないことがあります。株式譲渡契約に書かれた引継ぎに関する約束と、会社法上の役員の地位とは、別の次元の話です。前者に反する事情があっても、そのことによって後者の解任が無効になるわけではありません。逆に、解任が有効に成立することは、買主や会社が何の責任も負わないことを意味しません。本稿では、この二つを切り分けたうえで、残存する任期に相当する報酬と損害をどのように検討し、どの資料を集め、どのような順序で請求していくかを整理します。
引継ぎに関する約束と役員の任期とは別のものです
売主の方が最初に抱かれる疑問は、「契約で2年間は取締役として残ると決めたのに、なぜ勝手に解任できるのか」というものです。答えは、契約上の約束と会社法上の地位とが、それぞれ別の仕組みで成り立っているからです。株式譲渡契約は売主と買主との間の契約です。他方、役員の地位は会社と役員との間の関係であり、その選任及び解任は会社の機関である株主総会が決めます。契約の当事者と、解任を決める主体とが、そもそも一致していません。
二つの約束がどこに書かれているかを読む
具体的にどこに何が書かれているかを確認します。株式譲渡契約には「実行日から2年間、売主は対象会社の取締役として在任し、業務の引継ぎに協力する」といった条項が置かれていることがあります。これは売主が引継ぎに協力する義務を定めたものであって、会社や買主が売主を役員に留めておく義務を定めたものとは限りません。この違いが後の請求の可否を大きく左右しますので、条項の主語が誰であるかを一字ずつ読んでください。売主を主語として売主の義務のみを定めた条項であれば、買主に対して在任の確保を求める根拠としては弱くなります。
株主総会の議決権は買主が握っています
株式を譲渡した以上、議決権は買主のものです。したがって、株主総会の決議は買主の意思のとおりに成立します。売主が株式の一部を残している場合でも、過半数を失っていれば結論は変わりません。引継ぎのために残るという約束は、この議決権の帰属を変えるものではありません。もっとも、株主間契約において役員の選任及び解任について当事者が合意している場合には、その合意に反する議決権の行使それ自体が契約の違反となる余地があります。売主に一定の株式が残る取引では、株主間契約の有無と内容を必ず確認します。
残ると約束した地位の種類を確定する
次に、自らがどの地位で残る約束であったかを確定します。取締役として残るのか、監査役として残るのか、役員を退任したうえで顧問として残るのか、従業員として雇用契約を締結して残るのかによって、適用される規律が全く異なります。取締役及び監査役と会社との関係には委任に関する規定が適用され、解任については会社法の定めによります。顧問は多くの場合に委任又は準委任の契約であり、民法の規定と契約書の定めによります。雇用契約であれば労働契約法の解雇に関する規律が及びます。登記事項証明書、株主総会議事録、就任承諾書、顧問契約書、雇用契約書のうち、どの書面が現に存在するかを、まず机の上に並べてください。
解任そのものは有効に成立します
結論から申し上げますと、株主総会の決議によって役員を解任することは、いつでもできます。会社法第339条第1項は、役員及び会計監査人は、いつでも株主総会の決議によって解任することができると定めています。理由の有無は、解任の効力が生じるための要件ではありません。「引継ぎの途中である」「契約で在任を約束した」という事情があっても、決議が成立していれば、解任の効力それ自体は生じます。ここを争って役員の地位の回復を求めることは、実際上は容易ではありません。
決議の要件と実際の進み方
取締役の解任は、原則として株主総会の普通決議によります。監査役の解任は、その職務の独立性を確保する必要から、特別決議によることとされています。買主が全ての株式を取得している場合には、いずれの決議も買主の判断のみで成立します。手続としては、招集通知の発送、議案の記載、決議、議事録の作成、解任の登記という順に進みます。売主が株式を全く保有していない場合、そもそも株主総会に出席する権利はありませんので、招集通知が届かないまま解任され、登記によって初めて事実を知るという経過をたどることもあります。
手続に瑕疵がある場合の扱い
手続に問題がある場合には、決議の効力を争う余地があります。招集の手続が法令又は定款に違反する場合、決議の方法が著しく不公正である場合などです。ただし、これらを主張することができる者の範囲は法律上限られており、提訴についても期間の制限が設けられています。すでに解任された元役員が後になって決議を争うことは、立場としても期間としても難しい場面が多くあります。実務上は、決議の効力を争うことに時間を費やすよりも、次に述べる正当な理由の有無と損害の賠償の請求に力を注ぐほうが、現実的な解決に近づきます。
株主総会議事録は速やかに求めます
解任の事実を知った後、速やかに株主総会議事録の写しの交付を求めてください。議事録には、解任の理由や、審議の経過が記載されていることがあります。この記載は、後に正当な理由の有無を検討する際の重要な資料になります。会社が写しの交付に応じない場合であっても、登記事項証明書によって解任の年月日と、後任の役員の氏名は確認できます。買主に対して書面で説明を求め、その回答を書面で残しておくことも、同じ意味を持ちます。口頭での説明だけで済ませないことが大切です。
正当な理由があるかどうかが中心の争点になります
解任が有効であることと、会社が責任を負わないこととは、別の問題です。会社法第339条第2項は、解任された役員は、その解任について正当な理由がある場合を除き、会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができると定めています。つまり、正当な理由のない解任であれば、会社は損害を賠償しなければなりません。したがって、争点は「解任することができるか」ではなく「正当な理由があるか」に移ります。そして、この点は事案ごとの事情によって結論が大きく変わります。
正当な理由があるとされやすい事情
一般に、正当な理由があると評価されやすいのは、役員としての職務の執行に客観的な問題があった場合です。会社の資金を私的に用いていた、法令又は定款に違反する行為をした、健康上の理由により職務を継続することが困難な状態にあった、経営者としての能力の著しい不足が具体的な事実によって裏付けられている、といった事情です。重要なのは、これらが具体的な事実として示されているかどうかです。抽象的に「経営の方針が合わない」「信頼の関係が失われた」と述べられているだけでは、正当な理由の裏付けとして足りるとは限りません。
正当な理由が認められにくい事情
他方で、買主が経営の方針を転換したいという事情、買収の後に自らの人員を役員に充てたいという事情、売主の存在が従業員に対する影響力として煙たいという事情は、いずれも買主の側の都合です。これらは、売主の職務の執行に問題があったことを示すものではありません。引継ぎの期間の途中で、売主の側に具体的な非違の行為がないまま解任された場合には、正当な理由の存否が中心の争点になります。買主が挙げる理由を一つずつ書き出し、それが売主の行為に関するものか、買主の都合に関するものかを仕分けてください。
引継ぎの途中の解任に特有の問題
引継ぎの期間中の解任には、特有の事情があります。買主は「引継ぎはすでに完了したから、在任の必要がなくなった」と説明することが多くあります。しかし、引継ぎが完了したかどうかは、売主の職務の執行に問題があったかどうかとは別の話です。また、引継ぎの期間として当事者が合意した期間が経過していないのであれば、完了したという買主の評価それ自体を検証する必要があります。引継ぎの計画表、面談の記録、売主が対応した案件の一覧、取引先への同行の記録を時系列で整理しますと、解任の時点で実際に何が終わり、何が残っていたかが見えてきます。
残存する任期に相当する報酬を検討します
正当な理由のない解任であった場合に、賠償を求め得る損害として、まず考えられるのが、残存する任期の間に受け取るはずであった報酬に相当する額です。役員は任期の満了までその地位にあることを予定して就任していますので、任期の途中で解任されれば、その間の報酬を得る機会を失います。この失われた報酬相当額が、損害の中心となります。もっとも、金額を主張するためには、任期の終期と報酬の額とを、資料によって具体的に特定しなければなりません。
任期がいつまでであったかを確定する
出発点は任期です。取締役の任期は、原則として、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされています。ただし、株式の譲渡について会社の承認を要する旨を定款で定めている会社、すなわち非公開会社では、定款によって10年まで伸長することができます。監査役の任期は原則として4年であり、非公開会社では同じく10年まで伸長することができます。中小企業では任期を10年としている例が多くありますので、定款と、就任した株主総会の議事録とを併せて確認してください。任期が長いほど、残存する期間も長くなります。
報酬の額をどの資料で示すか
次に、報酬の額です。取締役の報酬は、定款にその額の定めがない場合には、株主総会の決議によって定めることとされています。実際には、総額の上限のみを株主総会で決議し、各人への配分は取締役会又は代表取締役に委ねている会社が大半です。したがって、資料としては、株主総会議事録、取締役会議事録、報酬の配分に関する決定の書面、役員報酬の支給の明細、源泉徴収票、確定申告書の控えを集めます。売却の前後で報酬の額が変更されている場合には、変更の後の額が基礎となるのが通例ですので、変更の経緯と、その根拠となる書面も確認します。
差し引かれ得るものを見込んでおく
請求することができる額が、残存する任期の報酬の総額そのままになるとは限りません。解任された後に他から収入を得ている場合には、その分が控除されるという考え方があります。また、役員退職慰労金についても、支給の内規や過去の支給の実例があり、支給されることが相当程度に確実であったと認められる場合には、損害として検討する余地があります。他方、任期が長期に及ぶ事案では、金額の相当性それ自体が争われます。いずれも事案により結論が異なりますので、資料に基づいて、請求の額と和解による解決の水準とを分けて組み立てることが実際的です。
株式譲渡契約の違反としての請求を組み立てます
会社に対する損害の賠償の請求とは別に、買主に対して、株式譲渡契約の違反を理由とする請求を検討します。会社法に基づく請求の相手方は対象会社であり、契約の違反に基づく請求の相手方は買主です。相手方が異なりますので、両者は併存し得ます。ただし、同じ損害を二重に回収することはできませんので、どちらを主軸に置き、どちらを予備的な主張とするかを、資料の状況を踏まえて決める必要があります。中小企業のM&Aでは買主が全ての株式を保有していますので、交渉の窓口は事実上一本化されますが、書面の上ではどちらに対する請求であるかを明示します。
契約の条項をどう読むか
検討の出発点は、株式譲渡契約の文言です。「買主は、実行日から2年間、売主が対象会社の取締役の地位にあるよう、必要な議決権を行使する」と定められていれば、買主は在任を確保する義務を負っていたことになり、解任に賛成する議決権の行使は義務の違反と評価される余地があります。他方、「売主は、実行日から2年間、対象会社の取締役として引継ぎに協力する」とのみ定められている場合には、売主の義務が定められているにとどまり、買主の義務としては読みにくくなります。条項の主語と義務の名宛人、そして違反の場合の効果に関する定めを確認してください。
顧問契約又は雇用契約として残っていた場合
役員としてではなく、顧問又は従業員として残る約束であった場合には、検討の枠組みが変わります。顧問契約が委任又は準委任の契約である場合、契約は当事者のいずれからも解除し得るのが原則ですが、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がある場合を除き、解除をした側が損害を賠償しなければならないとされています。期間の定めのある顧問契約であれば、期間の途中での一方的な終了について、契約上の根拠があるかを検討します。雇用契約であれば、解雇について客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要とされ、これを欠く解雇は無効とされます。期間の定めのある雇用契約では、やむを得ない事由がなければ期間の途中で解雇することができないとされています。同じ「残る約束」であっても、地位の性質によって、争い方も見込みも異なります。
役員の解任と同時に顧問契約も終了させられた場合
実際には、役員の解任と同時に、顧問契約の解除や、業務委託契約の終了が通知される例が多くあります。この場合には、それぞれの契約について、終了の根拠と手続を個別に確認します。顧問契約に「1か月前の予告により解約することができる」との条項があるにもかかわらず予告がされていないのであれば、その点だけでも主張の材料になります。また、報酬の支払が停止されている場合には、契約が有効に存続していることを前提とする未払の報酬の請求と、契約の終了を前提とする損害の賠償の請求とで、法律上の構成が異なりますので、どちらで進めるかを早い段階で決めます。
証拠を整理し、請求を進める手順
ここまで述べた検討は、いずれも資料がなければ進みません。解任の直後は、会社の設備や電子メールへの接続が遮断され、書類の持出しも制限されることが通例です。したがって、解任を知った時点で、手元にある資料を確保することを最優先とします。買主に対して抗議の連絡をする前に、まず紙と電子のデータを揃えてください。
直ちに確保する資料
優先して確保すべき資料は次のとおりです。株式譲渡契約書及びその別紙、基本合意書、株主間契約書、顧問契約書又は雇用契約書、就任承諾書、定款、登記事項証明書、株主総会及び取締役会の議事録、役員報酬の支給の明細と源泉徴収票、役員退職慰労金の内規、引継ぎの計画表と進捗の記録、買主との間で交わした電子メール及びメッセージ、解任を通知した書面、会社から交付された説明の文書です。これらのうち、自らの記録として保有しているものは、日付の順に整理し、控えを別に作成しておきます。
事実関係を一本の時系列にまとめる
資料が揃いましたら、実行日、就任の日、引継ぎに関する協議の日、買主から不満を伝えられた日、招集通知の日付、株主総会の日、解任の登記の日を、一本の表にまとめます。買主が「引継ぎは完了した」と主張するのであれば、その主張と矛盾する事実、例えば解任の直前まで売主が取引先を訪問していた事実や、社内から売主に対する問合せが続いていた事実を、同じ表の上に並べます。事実の時間的な並びそのものが、正当な理由の有無を判断するための材料になります。
請求の順序
請求は、通常、会社及び買主に対する書面の送付から始めます。書面では、解任の理由の説明を求め、株主総会議事録の写しの交付を求め、残存する任期に相当する報酬相当額の支払を求めます。相手方の回答によって、正当な理由としてどのような事実が主張されるかが明らかになりますので、この段階で争点が絞られます。交渉によって解決に至らない場合には、調停又は訴訟によることになります。会社法に基づく請求と株式譲渡契約に基づく請求とでは、相手方も、管轄に関する契約上の定めも異なることがありますので、手続の選択は資料の状況を踏まえて判断します。
避けるべき対応
一方で、してはならない対応もあります。感情に任せて従業員や取引先に解任の経緯を説明して回ることは、株式譲渡契約の秘密保持の条項や、信用の毀損に関する条項に触れる可能性があります。会社の資料を無断で持ち出すことも、後に不利な事情として持ち出されます。また、買主から示された退任に関する合意書や和解書に、内容を確認しないまま署名することは避けてください。この種の書面には、当事者間に一切の債権債務がないことを確認する条項が置かれていることが多く、署名の後では請求が著しく困難になります。
よくあるご質問
引継ぎの期間中に解任された売主の方から実際に多く頂戴するお尋ねを整理いたしました。いずれも一般的な考え方であり、具体的な結論は株式譲渡契約の文言、株主総会の議事録の記載及び解任に至る経緯によって異なりますので、個別のご事情を伺ったうえでご案内いたします。
解任の決議は無効であると主張して、取締役の地位に戻ることはできますか
決議の手続に法令又は定款の違反がある場合には、効力を争う余地はあります。しかし、争うことができる者の範囲と提訴の期間には制限があり、すでに解任された元役員の立場では難しい場面が多くあります。また、仮に決議の効力が否定されたとしても、買主が議決権を握っている以上、改めて解任の決議がされることが見込まれます。実際上は、地位の回復を目指すよりも、損害の賠償を求めるほうが、解決に結びつきやすいといえます。
招集通知が届かないまま解任されました。違法ではありませんか
招集通知は株主に対して発するものです。売主がすでに株式を全く保有していない場合には、通知が届かないこと自体は、直ちに違法とはいえません。解任の対象となる取締役に対して事前の予告をすることも、法律上当然に必要とされているわけではありません。もっとも、何らの説明もなく突然に解任されたという経過は、正当な理由の有無を検討する際の事情の一つとして意味を持ち得ます。経過を記録に残しておいてください。
買主から「引継ぎは終わったので不要になった」と言われました。正当な理由になりますか
引継ぎが終わったという評価は、買主の側の必要性に関する事情であって、売主の職務の執行に問題があったことを示すものではありません。したがって、この点のみで正当な理由が認められるとは限りません。ただし、契約において引継ぎの完了を在任の期間の終期と定めていた場合には、契約の解釈の問題として、別途の検討が必要になります。まず契約書の文言を確認し、引継ぎの完了をどのように定義していたかを確かめてください。
残っている任期が7年もあります。7年分の報酬を全て請求できますか
任期が長い場合であっても、直ちにその全期間分が認められるとは限りません。任期の長さのほか、就任の経緯、報酬の額、解任に至る事情、解任の後の収入の有無などが考慮されます。非公開会社で任期を10年としている例では、残存する期間が長期に及びますので、金額の相当性が主要な争点になりやすい傾向にあります。請求において主張する額と、和解による解決の水準とを分けて考えることが実際的です。
役員は解任されましたが、顧問契約は残っています。どう考えればよいですか
二つの契約は別のものですので、それぞれ独立に検討します。顧問契約が存続しているのであれば、顧問報酬の支払を求める根拠があります。他方で、顧問としての職務の内容が契約上定められていない場合、買主から「業務の実体がない」として解除を通知されることがあります。顧問契約書における職務の内容、報酬、期間、解約に関する条項を確認し、実際に行っている業務の内容と日時を記録として残しておいてください。
解任を理由に、株式譲渡代金の未払分の支払を止められることはありますか
代金が分割で支払われる約定である場合や、一定期間の在任を代金の一部の支払の条件としている場合があります。このような契約では、買主が「在任の義務が果たされていない」として支払を留保することがあります。しかし、在任しなくなった原因が買主の側による解任にあるのであれば、その主張には反論の余地があります。契約書における支払の条件の定めと、条件が成就しなかった原因とを、条項に即して整理してください。
会社に請求するのですか、それとも買主に請求するのですか
解任による損害の賠償は会社に対する請求であり、株式譲渡契約の違反に基づく請求は買主に対する請求です。相手方も、根拠となる規範も異なります。中小企業のM&Aでは、買主が対象会社の全ての株式を保有していますので、実際の交渉は買主との間で一本化されることが多くありますが、書面の上ではどちらに対する請求であるかを明示しておくことが、後の手続の選択のためにも大切です。
具体的なご相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。


