会社売却後に旧経営者が役員としての責任を追及された場合の対応

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会社を売却した後の旧役員の責任に関するメインのページです。本ページは、譲渡の後に会社法上の責任を追及された場面で、在任の期間と行為の特定をご説明します。税金及び旧債務の請求は別のページをご参照ください。
買主から表明保証の違反等を理由に契約上の補償を請求された場面はM&Aの買主から損害賠償を請求された場合の売主の対応で述べておりますので、あわせてご覧ください。
会社を譲渡し、代表取締役も退任して、ようやく肩の荷が下りたと感じていたところに、買主の代理人弁護士から書面が届く。そこには、在任していた当時の特定の取引や経費の支出を挙げたうえで、「取締役としての善管注意義務に違反するものであるから、会社に生じた損害を賠償されたい」と記されている。中小企業のM&Aの後で、このような通知が売主のもとに届く例は実際にあります。
この場面で最初に整理しなければならないのは、請求が売主に対する契約上の請求なのか、それとも元取締役に対する会社法上の請求なのかという点です。株式を譲渡した売主としての立場と、会社の取締役であった立場とは、法律上まったく別のものです。請求の根拠が違えば、請求できる人も、期間の制限も、金額の上限も、集めるべき資料も変わります。この区別をしないまま反論を始めますと、議論が噛み合わないまま不利な事実だけが積み上がっていきます。
そのうえで確認していただきたいのが、在任していた期間、問題とされている行為、及び会社に生じたとされる損害という3点です。この3点のいずれかが欠ければ、責任は成立しません。本稿では、この3点の確認の仕方を中心に、会社役員賠償責任保険の使い方、集めるべき証拠、及び交渉による解決の進め方までを順に整理します。
株式を売却した後も旧役員としての責任は残るのか
結論から申し上げますと、株式を譲渡し取締役を退任したことによって、在任していた期間中の行為に関する責任が自動的に消滅することはありません。退任によって免れるのは、将来に向けて会社の業務を執行し、他の取締役を監視する義務です。在任していた当時に義務違反があったとされる場合、その責任は退任後も残ります。買主が売却の1年後や2年後に責任を持ち出してくるのは、この仕組みによります。
株主としての立場と取締役としての立場は別のものです
株式譲渡契約に基づく表明保証違反の補償は、株式の売主としての責任です。売主が契約の中で「簿外の債務はありません」「重要な訴訟は係属していません」といった事実を保証し、その保証が事実と異なっていた場合に、契約の定めに従って買主に対して金銭を支払う義務を負うというものです。請求する人は買主であり、根拠は契約であり、多くの契約では請求できる期間と金額の上限とがあらかじめ定められています。
これに対して、取締役としての責任は、会社に対する責任です。会社と取締役との関係は委任に関する規定に従うものとされており、取締役は会社に対して善良な管理者の注意をもって職務を行う義務を負います。この義務に違反して会社に損害を与えた場合、その損害を会社に対して賠償する義務を負います。請求する人は会社であり、根拠は会社法であり、株式譲渡契約に定めた補償の上限や期間の制限は、原則としてこの責任には及びません。
買主が取締役としての責任を持ち出す理由
買主が契約上の補償ではなく取締役としての責任を持ち出してくる場面には、いくつかの典型があります。第一に、株式譲渡契約に定めた補償請求の期間が既に経過している場合です。第二に、補償の上限額を超える損害を主張したい場合です。第三に、表明保証の条項の文言に当てはめにくい事実が後から判明した場合です。第四に、譲渡代金の一部を実質的に取り戻す交渉の材料として用いる場合です。届いた書面がどの類型に当たるのかを見極めますと、相手方の目的と、落とし所の見当がつきやすくなります。
なお、責任を追及する主体は原則として会社ですが、株主が会社に代わって取締役の責任を追及する訴えを提起する制度もあります(会社法第847条)。公開会社でない株式会社では、株式を6か月前から引き続き保有していることは要件とされていません。買主が株式のすべてを取得している場合、会社が請求する形と、株主として請求する形の双方があり得ます。届いた書面の差出人が会社なのか買主なのかも、必ず確認してください。
会社法上の責任の内容
取締役の会社に対する責任は、役員等がその任務を怠ったときに、これによって生じた損害を賠償する責任として定められています(会社法第423条第1項)。実際に責任が認められるためには、任務を怠ったといえる行為があること、会社に損害が発生したこと、その行為と損害との間に因果関係があること、及び取締役に帰責事由があることが必要です。買主の書面が「経営がずさんであった」「判断が誤っていた」といった評価を並べているだけであれば、この要件を満たす主張には至っていません。
問題とされやすい行為の類型
中小企業の売却後に問題とされやすい行為には、一定の傾向があります。役員報酬や役員退職慰労金の額とその決定手続、社長個人や親族が関与する会社との取引、会社名義で購入した車両や不動産の私的な利用、交際費や旅費の使途、親族への給与の支払、会社から個人への貸付け、回収不能となった売掛金の放置、及び在庫や固定資産の評価などです。とりわけ、取締役自身又はその近親者と会社との間の取引は、利益相反取引として、取締役会又は株主総会の承認を要するものとされています(会社法第356条第1項、第365条第1項)。この承認手続を経ていない場合、任務を怠ったものと推定される場面があります。
もっとも、承認手続を経ていれば直ちに免責されるわけではありませんし、逆に議事録が残っていないからといって直ちに責任が生じるわけでもありません。中小企業では取締役会が現実には開催されず、書面のみで整えられていた例も多く見受けられます。当時の実態がどうであったかを、決裁の流れや関係者の関与から具体的に示していく作業が必要になります。
経営判断としての評価と第三者に対する責任
会社の経営に関する判断には、性質上、不確実な要素が伴います。裁判の実務では、判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがなく、その事実に基づく判断の過程及び内容が著しく不合理でない限り、取締役の責任は否定されるという考え方が定着しています。結果として損失が出たという事実だけでは、責任は基礎づけられません。したがって、防御の中心は、当時どのような情報を集め、誰に相談し、どのような理由でその判断に至ったかを再現することに置かれます。
また、役員等が職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うものとされています(会社法第429条第1項)。取引先や従業員から直接請求を受ける場合の根拠がこれに当たります。さらに、複数の役員が責任を負う場合、これらの者は連帯債務者となるものとされています(会社法第430条)。他の取締役や監査役が誰であったかは、負担の分け方を考えるうえで重要な情報です。
在任していた期間と問題とされる行為の特定
反論の内容を考える前に、事実の枠組みを確定します。確認するのは、在任していた期間、問題とされる行為、及び損害という3点です。
在任していた期間を書面で確定する
まず、法務局で会社の履歴事項全部証明書を取得し、ご自身の就任及び退任の年月日を確認します。取締役の変更が古い場合には閉鎖事項証明書も併せて取得します。役職についても、代表取締役であったのか、代表権のない取締役であったのか、監査役であったのかを確認します。任期の途中で再任されている場合、就任日が複数存在します。これらを一覧にしたうえで、買主が問題としている行為の日付を並べますと、そもそも在任期間外の行為が含まれていることが判明する例もあります。就任前の行為及び退任後の行為について、原則として責任を負うことはありません。
問題とされる行為を一つずつ切り分ける
次に、買主の書面に挙げられた事実を、行為ごとに分解します。一つの行為について、いつ、誰が、何を決め、誰が実行し、どの書面が作成されたかを整理します。「不適切な支出が長年にわたり継続していた」といった包括的な主張は、個々の支出に分解すると、性格の異なるものが混在していることが少なくありません。適法な役員報酬の一部、承認を受けた取引、既に返済が済んだ貸付け、及び税務上も損金として認められた費用などが、一括りにされている場合があります。
加えて、ご自身が当該行為に関与していたかどうかも切り分けます。他の取締役が行った行為について責任を問われる場合、根拠は監視義務の違反です。この場合には、その行為を知り得たか、知り得たとして是正する権限と機会があったかが問題になります。名目上の取締役であったとしても直ちに免責されるわけではありませんが、実際の関与の程度は責任の有無及び範囲に影響します。
損害の内容と額を検証する
3点目が損害です。会社に現実に損害が生じたのか、その額の計算根拠は何かを検証します。支出そのものを損害とする主張であっても、会社がその支出に見合う役務や物品を受け取っていれば、損害は減ります。既に回収された金額、保険金、税務上の効果が考慮されているかも確認します。また、同一の事実について株式譲渡契約に基づく補償請求も併せてされている場合、二重に請求されていないかを確かめる必要があります。譲渡代金の算定において当該事実が既に織り込まれていた場合、その点も反論の材料になります。
会社役員賠償責任保険及び責任の免除
請求を受けた段階で必ず確認していただきたいのが、会社役員賠償責任保険です。これは、役員がその職務に関して損害賠償請求を受けた場合に、賠償金及び争訟に要する費用を填補する保険です。中小企業でも、金融機関や保険代理店の勧めで加入していた例は珍しくありません。加入の有無は、退任前の会社の保険料の支払記録、経理担当者の記憶、及び付き合いのあった保険代理店への照会から確認します。
保険で確認する事項
保険証券及び約款で確認する点は次のとおりです。第一に、補償の対象となる行為の時期です。多くの契約では、遡及日以後の行為が対象とされます。第二に、請求がされた時期です。この種の保険は、保険期間中に請求がされたことを要件とする形式が一般的であり、退任し会社が保険契約を更新しなくなった後の請求は、対象から外れることがあります。M&Aの実行に際して、退任する役員のために継続的な補償を手当てする特約が付されていたかどうかを確認してください。第三に、請求を受けた場合の通知の期限です。通知が遅れたことを理由に保険金が支払われなくなる例がありますので、書面を受け取ったら速やかに通知します。第四に、保険会社の同意を得ずに和解した場合の扱いです。多くの約款では、無断で和解すると填補を受けられません。第五に、故意による行為、私的な利益の取得、及び犯罪行為が免責とされている点です。
会社法上の責任の免除
取締役の会社に対する責任は、総株主の同意があれば免除することができます(会社法第424条)。株式のすべてを買主に譲渡する取引では、実行の時点で株主は売主から買主へと交代しますので、実務では、株式譲渡契約の中に退任する役員の責任を追及しない旨の条項を設けたり、実行時の株主総会において在任中の責任を免除する決議を経たりする手当てが行われます。ご自身の案件でこの手当てがされていたかどうかを、契約書及び議事録で確認してください。
また、悪意又は重大な過失がない場合には、株主総会の決議によって責任の一部を免除する制度、定款の定めに基づいて免除する制度、及び業務執行に関与しない取締役等について責任の限度額をあらかじめ定めておく責任限定契約の制度があります(会社法第425条から第427条まで)。中小企業では責任限定契約が用いられている例は多くありませんが、定款に免除の定めが置かれている場合はありますので、定款も確認しておきます。なお、会社が役員の費用を負担する補償契約や、役員のために保険契約を締結する場合の手続についても、会社法に定めがあります。
もっとも、免除の条項があれば安心とは限りません。免除の対象が「本契約締結時に買主が認識していた事項」に限定されている例、故意又は重大な過失による行為が除外されている例、及び会社ではなく買主のみが不追及を約束している例があります。条項の文言を精読し、今回の請求がその範囲に入るかどうかを検討してください。
防御のために集める証拠
退任した元取締役が置かれている最も不利な状況は、会社の資料に手が届かないという点です。株式も手放しておりますので、株主として会計帳簿の閲覧及び謄写を請求することもできません。他方で、事実を知っているのはご自身です。手元に残っている資料と、外部の第三者が保有している資料とを組み合わせて、当時の状況を再現していく作業になります。
手元にある資料
まず、自宅や個人の記憶媒体に残っている資料を洗い出します。取締役会及び株主総会の議事録の控え、稟議書や決裁書の写し、当時使用していた電子メール、手帳やスケジュール表、日報、金融機関との面談記録、及び税務申告書の控えなどです。なお、退任後に会社のサーバーへ接続して資料を取得する行為は、別の紛争を招きますので行ってはなりません。
デュー・ディリジェンスの記録
次に重要なのが、売却の過程で買主に開示した資料の記録です。デュー・ディリジェンスの際に用意した資料の一覧、電子的な資料の保管場所の索引、買主から受けた質問とこれに対する回答の書面、及び株式譲渡契約に添付された開示別紙を集めます。買主が問題としている事実が、既に開示され、買主が承知したうえで代金額が決まっていたのであれば、その事実は反論の中核になります。契約に、買主が知っていた事項について請求を制限する定めが置かれているかどうかも確認します。これらの資料は、M&A仲介業者又はファイナンシャル・アドバイザーの手元に残っている場合があります。
第三者が保有する資料
顧問税理士及び会計事務所には、決算書の作成過程の資料、税務調査の記録、及び当時の相談の記録が残っていることがあります。社会保険労務士には労務関係の資料が、金融機関には融資の稟議に関する説明資料が残っている場合があります。問題とされている取引について外部の専門家に相談していた事実は、判断の過程が不合理でなかったことを示す有力な材料です。取引先との契約書や見積書も、取引条件が相場から外れていなかったことを示す資料になります。
集めた資料は、日付順の一覧表にまとめます。左に日付、中央に出来事、右に対応する資料の名称を並べる形式で足ります。この一覧表は、代理人との打合せにも、相手方への反論書面の骨格にもそのまま用いることができます。
交渉及び和解による解決
この種の紛争の多くは、訴訟に至る前の交渉で解決しています。会社の側にも、訴訟を提起すれば審理が公開されること、取引先や金融機関に知られること、及び長い時間と費用を要することという負担があるためです。交渉に入る順序を誤りますと、不利な立場から出発することになります。
交渉の入口で行うこと
第一に、請求の内容を書面で特定するよう求めます。どの行為について、どの根拠で、いくらを請求するのかを明示してもらいます。第二に、回答の期限については、資料の確認に要する期間を伝えたうえで、現実的な期日を設定します。第三に、電話や面談での説明は控えます。記憶に頼った説明は不正確になりがちであり、後に自認したものとして扱われる危険があります。第四に、事実関係の一部を認める場合であっても、法的な評価まで認めることのないよう、書面の表現に注意します。第五に、代理人を選任し、以後の連絡窓口を一本化します。
解決の枠組みの作り方
金銭で解決する場合、その原資の考え方には複数の選択肢があります。譲渡代金の一部を返還する形、代金の一部を留保する仕組みが設けられていた場合にはその留保分から充当する形、分割して支払う形、及び未払いの役員退職慰労金や顧問報酬がある場合にこれと相殺する形などです。買主の側の目的が金銭ではなく、引継ぎに関する協力や資料の提供にある場合もありますので、相手方が本当に求めているものを見極めることが肝要です。
和解書に定める事項
和解の内容が固まったら、書面の条項を慎重に確認します。最も重要なのは清算条項の範囲です。今回の請求のみを解決するのか、株式譲渡契約に基づく補償請求も含めて一切の債権債務がないことを確認するのかで、意味はまったく異なります。当事者の範囲も確認します。買主のみを相手方とする和解では、会社や子会社からの請求は残ります。会社を当事者に加え、必要に応じて総株主の同意による責任の免除を併せて取り付けておくことが望ましいといえます。
さらに、和解後に税務調査や労務に関する行政の調査が入り、追加の負担が生じた場合の取扱い、秘密保持、及び相互に相手方を非難しない旨の定めについても検討します。なお、解決までの間に相手方が財産の仮差押えを申し立てる可能性がある場合には、その点を織り込んで交渉の進め方を決める必要があります。事案により結論は異なりますが、早い段階で事実関係を固め、根拠のある反論を示すことができれば、請求額が大きく圧縮される余地は十分にあります。
よくあるご質問
会社を譲渡した後に役員としての責任を追及された元経営者の方から、実際にお受けすることの多いご質問を整理します。
退任してから何年経てば、責任を追及されなくなりますか
取締役の会社に対する損害賠償責任には消滅時効の定めが適用されますが、その起算点は退任の日ではなく、権利を行使することができる時、及び会社が権利を行使することができることを知った時を基準に判断されます。したがって、退任から一定の年数が経過すれば当然に安全になるという性質のものではありません。他方で、古い事実については、会社の側も証拠の確保が難しくなります。時効の主張は有力な防御となり得ますので、行為の日付と、会社がその事実を知った時期とを整理しておいてください。
株式譲渡契約に補償の上限額が定められていますが、この上限は取締役としての責任にも及びますか
原則として及びません。契約に定められた上限や請求期間の制限は、株式の売主としての補償責任について当事者が合意したものであり、会社法に基づく取締役の会社に対する責任は、これとは別個の責任だからです。買主が上限を超える請求をする際に取締役としての責任を持ち出すのは、この違いを利用しているためです。ただし、契約に、退任する役員の在任中の責任を追及しない旨の条項が置かれている場合には、その条項の解釈が問題となります。契約書の全文を確認する必要があります。
名前を貸していただけの取締役でも責任を負いますか
登記された取締役である以上、実際の職務への関与が乏しかったという事情のみで、当然に責任を免れるわけではありません。取締役は、他の取締役の職務の執行を監視する立場にあると解されているためです。もっとも、実際にどのような権限と情報を有していたか、是正する機会があったかは、責任の有無及び賠償の範囲を判断する際に考慮されます。就任の経緯、報酬の有無、取締役会への出席状況、及び日常の業務との関わりを、具体的な資料に基づいて説明できるよう準備してください。
デュー・ディリジェンスで開示していた事項について責任を問われています
買主が承知したうえで取引を実行した事実については、株式の売主としての補償責任を否定又は減縮する有力な事情となります。開示した資料の一覧、質問と回答の記録、及び契約に添付された開示別紙を提示してください。ただし、取締役としての責任は会社に対する責任ですので、買主が知っていたという事情が直ちに責任を消滅させるとは限りません。それでも、当該事実が譲渡代金の算定に織り込まれていたのであれば、会社に損害が生じていないという主張につながる場合があります。
会社役員賠償責任保険は、退任した後の請求にも使えますか
使える場合があります。この種の保険は、対象となる行為の時期と、請求がされた時期の双方によって適用範囲が決まります。在任中の行為を対象としつつ、退任後に請求がされた場合にも一定期間は補償するという内容の手当てがされていれば、利用できます。M&Aの実行に際して、退任する役員のためにこうした手当てがされていたかどうかを、契約書及び保険証券で確認してください。加入していた場合には、請求を受けた事実を速やかに保険会社へ通知し、保険会社の同意を得ないまま和解しないよう注意してください。
買主から、刑事告訴も検討していると告げられました
交渉の圧力として刑事手続に言及される例はありますが、これに動揺して事実関係を確認しないまま支払を約束することは避けてください。会社の資金の使途に関する事実は、民事上の責任の有無と、刑事上の評価とで判断の枠組みが異なります。まずは、指摘されている支出について、決裁の経緯、会社が受けた対価、及び会計処理の内容を資料で確認します。そのうえで、代理人を通じて事実に即した説明を行います。相手方の言動が度を越す場合には、その経過自体を記録に残しておいてください。
顧問として会社に残っていますが、責任追及との関係で注意することはありますか
顧問契約が継続している場合、報酬の支払を止めることを事実上の圧力として用いられることがあります。契約書における契約期間、中途解約の要件、及び報酬の定めを確認しておいてください。また、顧問として引き続き会社の情報に接することができる立場であっても、責任追及を見越して資料を持ち出す行為は避けるべきです。責任追及の交渉と顧問契約の処遇とは、切り分けて協議することが望ましいといえます。
具体的なご相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。


