会社売却後に税金・社会保険料・旧債務の請求が届いた場合の対応

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会社を売却した後に届く旧債務の請求に関するメインのページです。本ページは、譲渡の後に税金、社会保険料及び保証の請求を受けた場面の区分をご説明します。旧役員としての責任は別のページをご参照ください。
買主から表明保証の違反等を理由に請求を受けた場面はM&Aの買主から損害賠償を請求された場合の売主の対応を、対象会社が倒産に至った場合は会社を売却した後にその会社が倒産した場合の旧経営者の責任を、それぞれご覧ください。
株式を譲渡し、引継ぎも済ませ、ようやく肩の荷が下りたと思っていた。ところが半年ほど経ったころ、自宅に税務署から書面が届いた。あるいは年金事務所から保険料に関する封書が来た。さらに、在任中に取引のあった仕入先から、未払の代金を支払ってほしいという手紙が個人宛てに届いた。中小企業のM&Aの後に、このような場面でご相談をいただくことは少なくありません。
このとき多くの方が抱かれるのは、会社はもう自分のものではないのに、なぜ自分に請求が来るのか、という疑問です。しかし、届いた書面のすべてが元経営者個人に支払義務を生じさせるものとは限りません。会社宛ての書面が旧住所に届いただけという例も、督促ではなく事実関係の照会にすぎないという例も見受けられます。
大切なのは、慌てて支払うことでも、無視することでもありません。誰が、誰に対し、いつ発生した、どのような性質の債務を請求しているのかを分解することです。本稿では、請求主体ごとの切り分け、会社の債務と個人の債務との区別、税金及び社会保険料に固有の論点、保証債務の扱い、株式譲渡契約における負担の定め、支払った後の求償と交渉の順に整理します。
誰から何を請求されているのかを分ける
最初に行うべきは、法律論の検討ではなく、届いた書面そのものの読み分けです。売却後に届く書面は差出人も性質も様々であり、一括りに捉えますと対応を誤ります。書面を並べ、次の3点を書面ごとに書き出してください。
差出人と名宛人を書面の記載どおりに確認します
封筒ではなく、中の書面の記載を確認します。名宛人が会社名になっているのか個人名になっているのかで、意味が大きく変わります。名宛人が会社であるにもかかわらず自宅に届いている場合、多くは会社の本店所在地又は届出住所が旧経営者の自宅のままという送達先の問題にすぎず、支払義務を負うのは会社です。
もっとも、放置してよいわけではありません。会社宛ての書面を滞留させますと、会社が期限内に対応できず不利益が生じます。買主又は現在の代表者に速やかに転送して記録に残し、本店所在地の変更登記及び住所変更届が済んでいるかを確認してください。
請求されている債務が発生した時期を特定します
次に、その債務がいつの期間に発生したものかを見ます。決算期、対象事業年度、賦課期日、納期限、取引の日付が記載されているはずです。株式譲渡の実行日を境に、実行日より前に原因のある債務か、実行日より後に生じた債務かを分けます。この線引きが、株式譲渡契約上の補償を請求できるかどうかを左右します。実行日をまたぐ債務については、契約に日割りの基準が定められているかを併せて確認してください。
請求の種類を4つに仕分けます
書面を、おおむね次の4種類に仕分けます。第一に課税庁からの税に関するもの、第二に年金事務所、健康保険組合、労働局等からの社会保険料及び労働保険料に関するもの、第三に金融機関からの保証債務に関するもの、第四に取引先や元従業員からの請求です。根拠となる制度も、時効の期間も、争う手続も異なります。次の項目を控えておきます。
- 書面の表題(決定通知書、督促状、催告書、照会、通知等)
- 差出人の部署名、担当者名及び連絡先
- 納期限、回答期限又は支払期限の日付
- 記載された金額の内訳(本税、加算税、延滞税等の区分)
- 受領した日付。封筒も併せて保管します
会社の債務と個人の債務との違い
ここが本稿の中核です。株式会社は株主とは別個の法人格を持つ主体であり、会社が負った債務は会社の債務です。株式を譲渡した事実は、会社の債務を消滅させるものでも、元株主に移転させるものでもありません。
株式を譲渡しても会社の債務は会社に残ります
株式譲渡は、株主が入れ替わるだけの取引です。会社が締結していた契約、会社が負っていた借入金、会社が滞納していた税金は、いずれも会社に残ります。取引先が会社に未払代金を請求すること自体は当然ですが、それが元経営者個人に対する請求権を生じさせるものではありません。
請求書に「貴殿」といった記載があっても、それだけで個人の債務になるわけではありません。相手方が元経営者を今も代表者であると誤解しているだけという例が多く見受けられます。回答は、株式を譲渡し役員を退任した事実、現在の代表者及び会社の連絡先を示し、会社に請求されたい旨を伝える内容とし、事実のみを述べた簡潔な書面とします。
元経営者個人が責任を負い得る類型は限られます
もっとも、例外が存在しないわけではありません。元経営者が個人として責任を負い得るのは、おおむね次の場合です。いずれも株主であったこと自体から生じるものではなく、別個の原因があることに注意してください。
- 金融機関の借入れ等について、個人として連帯保証又は保証をしていた場合
- 会社の債務について、個人の不動産等に担保を設定していた場合
- 在任中の職務執行に悪意又は重大な過失があり、第三者に損害を与えた場合の役員としての責任
- 取引先との間で、個人としても支払う旨の念書、確認書等を差し入れていた場合
- 会社財産を私的に費消する等、会社に対する任務を怠ったことによる会社への賠償責任
- 税に関する法令上、第二次納税義務の要件を満たす場合
会社法第429条第1項は、役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、第三者に生じた損害を賠償する責任を負う旨を定めています。問われるのは在任中の職務執行であり、会社が支払えないというだけでこの責任が生じるものではありません。
退任の登記が済んでいるかを必ず確認します
見落とされやすいのが、役員退任の登記です。実行日に辞任届を出していても、登記が申請されていなければ登記簿上は取締役のままであり、取引先や官公署は元経営者を現役員として扱います。履歴事項全部証明書を取得し、退任が登記されているかを確認してください。未了であれば、買主又は現在の代表者に対し、辞任届の写しを添えて速やかな登記申請を書面で求めます。応じない場合には、辞任の意思表示が到達している証拠を保全した上で、司法書士又は弁護士にご相談ください。
税金及び社会保険料に固有の問題
税金と社会保険料は、私人間の債務と異なる仕組みを持っています。裁判を経ずに滞納処分として差押えができること、時効の考え方が異なること、一定の場合に本来の納税義務者以外の者に納付を求める制度があることです。この点を理解しておくと、書面の重みを正しく評価できます。
会社の滞納した税金を代表者個人が当然に負うわけではありません
まず、はっきりと申し上げます。法人が納めるべき法人税、消費税、法人住民税、法人事業税等について、代表者であった個人が、代表者であったという理由だけで納付義務を負うことはありません。納税義務者は法人であり、会社が滞納しているという事実は、代表者個人の財産に対する差押えを正当化するものではありません。
したがって、個人宛ての書面が届いた場合には、誰を納税義務者として記載しているのかを確認することが第一です。会社を納税義務者とする書面が個人の住所に送られているだけであれば、送達先の問題です。個人を名宛人として納付を求める処分がされているのであれば、次に述べる第二次納税義務等の根拠が付されているはずですので、その記載を確認します。
第二次納税義務という例外的な制度があります
他方で、会社の財産では滞納税金を賄えない場合に、一定の関係にある者に補充的に納付を求める制度が存在します。これを第二次納税義務といいます。例外的な制度であり、要件を満たす場合に限り、税務署長等が納付通知書を送付して告知することによって成立します。何の手続もなく個人に義務が生じるものではありません。
典型的な場面としては、次のようなものが挙げられます。
- 会社の財産を無償又は著しく低い対価で譲り受けた者が、受けた利益の限度で責任を問われる場合
- 清算の際に残余財産の分配を受けた者や清算に関与した者が、その額等の限度で責任を問われる場合
- 同族会社の株式について、会社の滞納に関し株主の権利等が徴収の対象とされる場合
- 事業を譲り受けた特殊な関係のある者が、譲り受けた財産の価額の限度で責任を問われる場合
焦点は、代表者であったかどうかではなく、会社から財産的な利益を受け取ったかどうか、その受取りが対価を伴わないものであったかどうかにあります。株式を適正な対価で譲渡し代金を受け取ったにすぎない場合には、直ちにこの制度の対象になるものではありません。もっとも、譲渡の前後に役員退職慰労金の支給、貸付金の回収、資産の買取り等が行われていた場合には、その対価の相当性が検討の対象となり得ますので、株主総会の議事録、評価資料、送金記録を揃えておくことが有用です。
社会保険料についても考え方は同じです
健康保険及び厚生年金保険の保険料は、事業主である法人が納付義務を負います。代表者であった個人が、代表者であったという理由だけで納付義務を負うものではなく、労働保険料も同様です。ただし、社会保険料の徴収については、滞納処分を国税の徴収の例により行う旨が定められており、差押えに至る流れは税金と類似しています。税に関する第二次納税義務に相当する取扱いが及び得る場面もありますので、個人宛ての納付通知が届いた場合には根拠の記載を確認してください。
なお、社会保険料の徴収権には比較的短い時効期間が定められており、消滅時効の完成が実質的な争点になることもあります。督促は時効の進行に影響しますので、いつ、どの期間の保険料について、どのような書面が送られたのかを時系列で整理してください。
売却後に届く税務調査の連絡及び更正処分
売却の翌年以降に、在任中の事業年度を対象とする税務調査の連絡が入ることもあります。調査の相手方は会社ですが、当時の事情を知るのは元経営者だけであることが多く、事実上、説明を求められます。協力と負担の引受けとは別問題ですので、株式譲渡契約に定められた協力義務の範囲を確認してください。
更正処分に不服がある場合には、処分を受けた会社が、期間内に再調査の請求又は審査請求を行い、訴訟によって争う道があります。期間の制限が厳格ですので、会社が争わずに納付しますと後から覆すことは困難です。補償を負担し得る売主としては、買主に対し、安易に修正申告や納付を行わず争うかどうかを協議するよう、早期に書面で申し入れてください。
保証及び連帯保証が残っている場合
元経営者が個人として現実に支払を求められる場面のうち、最も多いのが保証債務です。会社の債務と個人の債務が重なる領域であり、対応を誤ると自宅の不動産にまで影響が及びます。
経営者保証は株式譲渡によって自動的には外れません
金融機関からの借入れについて元経営者が連帯保証をしていた場合、株式を譲渡して役員を退任しても、保証契約は当然には終了しません。保証契約は元経営者と金融機関との契約であり、株主が変わったことは当事者関係に影響しないためです。買主から保証を外すと口頭で言われていたとしても、金融機関が同意し免責の手続が完了していなければ、責任は残ります。
確認すべきは、保証債務の免除又は保証人の変更を承諾する旨の書面を金融機関から受領しているかどうかです。受領していなければ、保証は継続しているものとして扱わざるを得ません。金融機関ごとに、保証の対象となる契約、極度額の有無、根保証か特定の債務の保証かを一覧にしてください。
解除に向けた交渉の手順
買主に対しては、株式譲渡契約に保証解除の努力義務等が定められていないかを確認し、定めがあれば履行を求めます。金融機関に対しては、後継者による保証への差替え、担保の追加、財務指標の改善等を材料に協議します。事業承継の場面で前経営者と後継者の双方から二重に保証を求めることを避けるべきであるという考え方が金融の実務指針として共有されており、交渉の根拠となる余地がありますが、結果は個別の財務内容により異なります。
保証債務の履行を求められたときの初動
履行を求める通知が届いた場合、まず主たる債務者である会社の状況を確認します。期限の利益を失っているのか、一時的な延滞にとどまるのかで対応は大きく変わります。次に、元本、利息、遅延損害金の区分と計算根拠の提示を求めます。そして、支払う前に弁護士に相談し、保証契約の有効性、根保証における元本確定の有無、消滅時効の完成を検討してください。安易に一部を支払ったり支払う旨の書面に署名したりしますと、債務の承認と評価され、時効の主張の余地を失うことがあります。
株式譲渡契約における負担の定め
売却後に届いた請求の最終的な負担が誰に帰属するかは、多くの場合、株式譲渡契約の条項で決まります。書面が届いた時点で契約書の該当箇所を洗い出してください。契約書本体だけでなく、別紙の開示事項一覧、覚書、クロージング時に交わした確認書もすべて集めます。
表明保証と補償の条項を読む順序
表明保証とは、売主が買主に対し、会社に関する一定の事実が真実かつ正確であることを保証する条項です。税務申告が適正であること、社会保険への加入及び保険料の納付が適正であること、開示した以外に簿外債務がないこと、といった項目が置かれるのが通例です。補償とは、表明保証に違反があった場合等に、売主が買主に生じた損害を金銭で塡補する定めです。
読む順序は、第一に該当する表明保証の項目、第二に開示事項一覧への記載の有無、第三に補償条項の要件と限度、第四に通知の手続と期限、という順が実務的です。開示事項一覧に記載されていた事項は、買主が了解の上で取引したものとして補償の対象から外れる定めになっている例が多く見受けられます。
補償の期間、上限及び下限を確認します
補償には、通常、時間的及び金額的な制限が付されています。請求できる期間は実行日から1年又は2年とされる例が多い一方、税務及び社会保険に関する事項は、更正の期間制限や徴収権の時効期間に合わせて、より長い期間が定められることもあります。金額については、1件当たりの下限額、累積額が一定額に達するまでは請求できないという定め、及び総額の上限が置かれるのが通例です。これらは売主にとって防御の材料になりますので、買主から補償を求められた場合には、請求が期間内に所定の方式でされているか、下限額を超えているか、上限額に達していないかを順に確認してください。
税務及び社会保険に固有の特別の補償
中小企業のM&Aでは、デュー・ディリジェンスの過程で、役員報酬の扱い、家族への給与、私的な支出の経費計上、社会保険の未加入又は標準報酬月額の届出漏れといった論点が見付かることがあります。この場合、価格を減額するのではなく、実際に課税庁又は年金事務所から指摘があったときに売主が負担するという特別の補償条項が置かれることがあります。この条項があるときは、一般的な期間制限や上限額の適用が除外されていることも多く、注意を要します。表題は様々ですので、名称ではなく内容から判断してください。
買主の協力義務と防御の主導権
第三者からの請求について売主が補償を負い得る場合、買主が独断で和解したり課税庁の指摘をそのまま受け入れたりしますと、売主は反論の機会を失います。そのため、株式譲渡契約には、買主が請求を受けた場合の通知義務、売主が防御に関与し又は防御を引き取ることができる権利、売主の同意なく和解しない義務が定められるのが通例です。これらの定めがあるかを確認し、あるのであれば履行を書面で求めてください。
支払った場合の求償及び交渉
やむを得ず支払をした場合であっても、そこで終わりではありません。支払った金額を誰に請求できるのか、支払の時期や方法をどう交渉できるのかを検討します。
会社に対する求償
保証人として会社の債務を弁済した場合、その保証人は、主たる債務者である会社に対して求償することができます。民法は、委託を受けた保証人が弁済をしたときは、支出した額について主たる債務者に求償できる旨を定めています。求償権は、後に会社が清算や倒産の手続に入った場合の届出の前提になりますので、弁済の日付、金額、振込先を示す資料を必ず保管してください。もっとも、会社に支払能力がなければ、求償は実際の回収に結び付きません。
買主に対する補償請求の手順
当該債務が売主の負担とされる類型に当たらない場合には、逆に買主に負担を求め得る場面もあります。実行日後に生じた事由であるのに売主に請求が向けられている場合や、会社が負担すべき債務を売主が立て替えた場合です。手順は次のとおりです。
- 請求の根拠となる契約条項を特定し、条項番号を明示する
- 債務の発生時期が実行日の前後いずれであるかを資料で示す
- 支払った金額及び支払の事実を示す資料を添付する
- 契約に定められた方式と期限を守って通知する
- 回答期限を設定し、協議の場を求める
協議が調わない場合には、契約に定められた紛争解決の方法に従い、訴訟又は仲裁を検討します。いずれの場合も、通知の期限を徒過しないことが最優先です。
課税庁及び年金事務所との交渉
納付義務を争えない場合でも、支払の時期については交渉の余地があります。国税については、一定の要件の下で、納付を猶予し、又は財産の換価を猶予する制度が設けられています。分割納付を認め、その間の延滞税の一部が軽減される取扱いもあります。社会保険料についても、分割納付の相談に応じる運用が行われています。申請では収入、支出、資産及び負債の状況を示す資料が求められますので、預貯金の残高、不動産の評価、生活費の内訳、他の債務の返済予定を整理してください。
時効及び証拠の管理
私人からの請求については、消滅時効が完成している可能性を必ず検討します。時効の利益を受けるには、完成した時効を相手方に主張する必要があり、これを援用といいます。援用は内容証明郵便により行い、記録を残すのが通例です。反対に、こちらが求償権や補償請求権を持つ場合にも期間の制限がありますので、通知の日付と内容を管理してください。関係資料は、株式譲渡契約書、別紙一式、デュー・ディリジェンスで提出した資料の控え、実行日直前の試算表及び残高証明、退任時の引継書までを一つにまとめて保管します。
よくあるご質問
以下は、売却後に税金、社会保険料又は従前の債務の請求を受けた売主の方から多く頂くご質問です。
会社が税金を滞納しているようです。元代表者である私の自宅が差し押さえられることはありますか
会社の滞納を理由に、元代表者個人の財産が当然に差し押さえられることはありません。納税義務者は会社であり、差押えの対象は原則として会社の財産です。個人の財産に及び得るのは、個人が連帯保証をしている場合や第二次納税義務の告知がされた場合など、個人自身に納付義務が生じる別の原因があるときに限られます。個人を名宛人とする納付通知等が届いた場合には、根拠の記載を確認し、早期にご相談ください。
年金事務所から自宅に督促状が届きました。私が払わなければならないのでしょうか
まず、書面の名宛人が会社であるか個人であるかを確認します。名宛人が会社であれば、会社の届出住所が旧自宅のままのために届いた可能性が高く、支払義務を負うのはご本人ではありません。買主又は現在の代表者に転送し、住所の変更届を求めます。名宛人が個人である場合には根拠の確認を要しますので、書面をお持ちの上でご相談ください。
取引先から在任中の未払代金を個人宛てに請求されました。応じるべきでしょうか
会社の取引により生じた債務は会社の債務ですので、元経営者が個人として当然に支払う立場にはありません。ただし、個人として支払う旨の念書や保証書を差し入れていないかを確認します。そのような書面がなければ、株式を譲渡し役員を退任した事実と現在の会社の連絡先を示し、会社に請求されたい旨を書面で回答するのが通例の対応です。
買主から、売却前の期間の追徴税額を負担するよう求められています
株式譲渡契約の補償条項の確認が出発点になります。確認すべきは、該当する表明保証の項目、開示事項一覧への記載の有無、補償を請求できる期間が経過していないか、下限額を超えているか、上限額に達していないか、契約所定の方式による通知がされているかです。その追徴が避け難いものであったのかも検討の対象となり、負担の要否は事案により異なります。
買主が保証を外すと言っていたのに、いまだに外れていません
保証契約は金融機関との契約ですので、その承諾がない限り解除されません。まず、株式譲渡契約に保証解除の努力義務や、解除が実現しない場合の取扱いが定められていないかを確認し、定めがあれば履行を書面で求めます。並行して、金融機関に、後継者による保証への差替えを含めた協議を申し入れます。結果は財務内容により異なりますが、交渉の記録を残すことが後の主張につながります。
元従業員から未払残業代を請求されました。会社ではなく私に請求が来ています
労働契約の当事者は会社ですので、賃金の支払義務を負うのも会社です。もっとも、賃金の未払について、取締役の職務執行に悪意又は重大な過失があったとして役員個人の責任が問われる余地は否定できません。請求されている期間、金額の計算根拠、在任中の労務管理の実態を確認した上で、会社に対する請求と個人に対する請求とを切り分けて対応します。
売却からかなりの年数が経っています。今さら請求されても応じる必要はありますか
債務の種類ごとに、権利が消滅するまでの期間が定められています。取引先の債権、税金、社会保険料のいずれにも制限があり、その経過によって支払を免れる余地があります。ただし、期間の起点は債務の種類によって異なり、督促や請求、あるいはご自身が支払や承認をしたことによって期間の進行に影響が生じている場合もあります。ご自身の判断で一部を支払う前に、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談ください。
具体的なご相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。


