買収後にリース契約や借入契約の問題が判明した場合の対応

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リース及び借入れの契約の問題に関するメインのページです。本ページは、M&Aで会社を譲り受けた後に金融に関する契約を点検する場面の要点をご説明します。不動産及び賃貸借契約は別のページをご参照ください。
不動産及び賃貸借契約の問題が判明した場面は買収後に対象会社の不動産や賃貸借契約の問題が判明した場合の対応を、売主の経営者保証が解除されない場面はM&Aの後に経営者保証が解除されない場合の弁護士対応を、それぞれ御覧ください。
買収の実行を終え、対象会社の通帳や契約書の綴りを自ら手に取るようになった頃に、金融に関する契約の問題が姿を現すことがあります。取引金融機関の担当者から「株主が変わったと伺いましたが、事前にご相談をいただいておりません」と連絡が入る、リース会社から「賃借人の支配権が異動した場合は当社の承諾が必要です」という書面が届く、経理の担当者から「この借入は数値の約束を満たしていません」と告げられる、といった形です。いずれの場合も、買主が直面するのは、来月以降も従前どおりの返済でよいのか、それとも一括の返済を求められる危険があるのか、という資金繰りに直結する問いです。
中小企業では、借入もリースも、創業者と金融機関の担当者との長年の関係の上に成り立っており、契約書の条項が意識されないまま更新を重ねている例が多くあります。そのため、契約書を読み直して初めて、支配権の異動が禁止されていた、財務についての約束を守れていなかった、売主個人の保証が付いたままであった、という事実が判明します。
本稿では、中小企業を買収した買主を念頭に、金融に関する契約をどのように一覧にし、期限の利益の喪失、財務に関する制限の条項、及び支配権の異動に関する条項をどう読み解き、保証及び担保の状況をどう確かめ、金融機関にどう対応するかを整理します。資金繰りへの影響を自ら評価できるようになることを目標とします。
金融に関する契約を一覧にする
最初に行うべきは、指摘を受けた一つの契約だけを見るのではなく、対象会社が当事者となっている金融に関する契約の全体を洗い出し、一覧にする作業です。金融に関する契約の条項は互いに連動しており、一つの契約で問題が生じると他の契約にも波及する仕組みが組み込まれていることが多いためです。個別に対処を重ねると、後から全体像が変わり、説明をやり直すことになります。
洗い出しの起点は決算書と通帳です
契約書の綴りから始めると、失効した契約が混じり、また綴られていない契約が漏れます。確実なのは、直近の決算書の貸借対照表と、法人の預金口座の入出金の記録から入る方法です。貸借対照表の短期借入金、長期借入金、リース債務、及び未払金の内訳明細を取り、金融機関別、リース会社別の残高を書き出します。あわせて、預金口座から毎月引き落とされている金額をすべて拾い、返済なのか、リース料なのか、割賦の代金なのかを区分します。決算書に現れない他社の債務の保証や手形の割引による偶発的な債務についても、注記や税務申告書の付表を確認します。
一覧に載せる項目を定めます
一覧表には、契約の相手方、契約の種類、当初の金額、現在の残高、金利又はリース料率、最終の返済期日、毎月の返済額、担保の有無と内容、保証人、及び特約の有無を並べます。この一覧が以降の検討の土台になります。最終の返済期日が近い順に並べると、資金繰りへの影響を把握しやすくなります。
契約書の原本を確保します
中小企業では、契約書の原本が創業者の自宅に保管されている例があり、買収後も会社に引き渡されていないことがあります。金銭消費貸借契約証書、銀行取引約定書、リース契約書、根抵当権の設定契約書、及び保証に関する書面については、原本の所在を確かめ、会社に引き渡してもらいます。見当たらない場合は、金融機関やリース会社に写しの交付を求めます。銀行取引約定書は個別の借入ごとには作られず、取引の全体を規律する基本の契約として一通だけ差し入れられていることが多く、これを読まないと期限の利益の喪失の条項の全体像がつかめません。
期限の利益の喪失に関する条項
期限の利益とは、返済の期日が来るまでは返さなくてよいという、債務者の側の利益を指します。分割で返済している借入では、この利益があるからこそ毎月の一定額の返済で済んでいます。期限の利益を失うと、残りの元本の全額を直ちに返済しなければならなくなります。この一括の返済は資金繰りを直ちに行き詰まらせますので、どのような場合に期限の利益を失うのかを正確に把握することが、買収後の最優先の作業になります。
当然に喪失する場合と請求により喪失する場合とがあります
銀行取引約定書では、期限の利益の喪失の事由は通常二つに分けて定められています。一つは、金融機関の請求を待たずに当然に期限の利益を失う場合で、支払の停止、破産手続開始等の申立て、手形交換所の取引停止処分といった重大な事由が挙げられます。もう一つは、金融機関の請求によって期限の利益を失う場合で、返済の遅滞、担保の目的物についての差押え、他の債務についての違反、及び金融機関の債権の保全を必要とする相当の事由が生じたとき、といった、より幅の広い事由が挙げられます。
後者の事由は文言が抽象的であるため、どこまで及ぶかは事案により異なります。買主として重要なのは、これらの事由の多くが、返済を怠っていなくても成立し得るという点です。返済さえ続けていれば安全であるという理解は誤りです。
法律が定める喪失の事由もあります
契約に定めがない場合でも、法律により期限の利益を失う場合があります。民法第137条は、債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき、及び債務者が担保を供する義務を負う場合においてこれを供しないときに、債務者が期限の利益を主張することができないと定めています。担保に入っている工場の設備を無断で処分するといった行為は、この規定に触れる余地があります。
一つの契約の問題が他の契約に波及します
複数の金融機関から借り入れている場合、ある契約の期限の利益の喪失が、他の契約の喪失の事由として定められていることがあります。他の債務について期限の利益を失ったこと自体を喪失の事由とする定めや、他の債務の履行を怠ったことを喪失の事由とする定めが置かれている例です。一覧表を作る際に、この種の定めの有無を契約ごとに確認し、波及の関係を線で結んでおくと、影響の範囲を見誤らずに済みます。
財務に関する制限の条項
金融に関する契約には、借主が守るべき財務上の約束が定められていることがあります。中小企業でも、複数の金融機関が協調して融資を行っている場合や、金額の大きい設備資金の融資を受けている場合には、こうした条項が置かれている例が見られます。買収後に決算を締めた段階で抵触が判明することが多く、放置すると期限の利益の喪失につながります。
数値の約束の内容を確かめます
典型的な定めは、各決算期の末日における純資産の額を一定の水準以上に維持すること、及び各決算期において経常損益又は営業損益を損失としないこと、という二つです。純資産については、直前の決算期の純資産の額の一定の割合を下回らないこと、という形で定められる例が多く見受けられます。損益については、2期連続して損失を計上しないこと、という緩やかな定めになっている例もあります。まず、この数値の定義が契約書のどの箇所にあるかを特定します。
行為についての制限も確認します
数値の約束のほかに、行為を制限する定めが置かれていることがあります。金融機関の事前の承諾なく他の借入を行わないこと、資産に担保権を設定しないこと、重要な資産を譲渡しないこと、及び一定額を超える配当を行わないこと、といった内容です。買主は、買収後に子会社への貸付けや、新たな設備投資のための借入れ、株主に対する配当を計画することが多く、これらの計画がそのまま制限に触れる場合があります。
抵触が判明した場合の対応
抵触が判明した場合、直ちに一括の返済を求められるとは限りません。実務上は、金融機関に事情を説明し、その期に限って条項の適用を見合わせてもらう合意を書面で取り交わす対応が広く行われています。重要なのは、決算書を提出する前に自ら申し出ることです。提出後に指摘を受けると、隠していたという印象を与え、交渉の余地が狭まります。決算の数値が固まる前に着地の見込みを試算し、抵触の可能性があれば早めに相談に赴く運用を定着させます。
支配権の異動に関する条項
買収後の金融に関する契約の問題のうち、資金繰りへの影響が最も大きくなり得るのが、支配権の異動に関する条項です。株式の過半数が移転したこと自体を、金融機関の承諾の対象とし、又は期限の利益の喪失の事由とする定めを指します。買主が最初に確認すべき条項といえます。
事前の承諾を要する定めが置かれていることがあります
契約書には、借主の株主の構成に重要な変更が生じる場合、又は経営権に実質的な異動が生じる場合には、あらかじめ金融機関に通知し、その承諾を得なければならない、といった定めが置かれていることがあります。リース契約でも、賃借人の支配権が異動した場合を解除の事由とし、又は貸主の承諾を要する事由とする定めが見られます。中小企業向けの借入では、支配権の異動を明示の喪失事由として掲げていない例も多いのですが、その場合でも、債権の保全を必要とする相当の事由が生じたときという包括的な条項によって捉えられる余地が残ります。
事前に伝えていなかった場合には一括の返済を求められる危険があります
ここが最も重要な点です。支配権の異動を事前に金融機関に伝えていなかった場合、契約の定めに従って期限の利益を失い、借入金の残額の全部について直ちに一括の返済を求められる危険があります。中小企業の借入の残高は数千万円から数億円に及ぶことがあり、これを直ちに返済することは通常困難です。リース契約についても、支配権の異動を理由に解除された場合、残りのリース料の全額に相当する額の支払を求められ、対象の設備の返還を求められる余地があります。生産設備や車両を引き揚げられれば、事業の継続そのものが危うくなります。
もっとも、条項に該当することと、金融機関が現実にその権利を行使することとは別の問題です。金融機関にとっても、事業が継続し、返済が続くことが望ましく、直ちに一括の返済を求める例が多いわけではありません。とはいえ、権利を行使され得る状態に置かれること自体が、以後の交渉における買主の立場を著しく弱くします。事後に発覚した場合は、放置せず、速やかに事情を説明し、承諾の書面を取得する方向で動きます。
買収の実行の前に理解を得ておくことが有効です
実務上、最も有効な対応は、買収の実行の前に、主要な取引金融機関に対して支配権の異動の予定を伝え、理解を得ておくことです。守秘の要請がありますので伝える時期と範囲は慎重に定める必要がありますが、少なくとも取引の残高が大きい金融機関については、最終の契約の締結の前後から実行の日までの間に、経営を担う者が自ら説明に赴く運用が広く行われています。取引を継続する意向であること、及び返済の条件を変更する意向がないことを伝えるだけでも、金融機関の受け止め方は大きく変わります。
保証及び担保の状況
金融に関する契約の確認では、借入の条件そのものと同じ程度に、誰が保証し、何が担保に入っているかが重要になります。中小企業の借入では、創業者個人が連帯して保証し、その自宅が担保に入っていることが通例であり、株主が入れ替わっても、これらの関係は当然には解消されないためです。
売主の個人保証が残っている場合の扱い
株式譲渡は会社の株主が入れ替わる取引であり、売主個人が金融機関との間で結んだ保証の契約は、これによって当然には終了しません。売主が保証人のまま残っていると、売主にとっては会社を手放したのに責任だけが残る状態となり、買主にとっては経営から離れた者が財務に強い関心を持ち続ける状態となります。いずれの側にとっても望ましくありませんので、株式譲渡契約において、買主が保証の解除に向けて金融機関と誠実に協議する義務を負う旨を定めておくことが一般的です。
もっとも、保証を解除できるかどうかを決めるのは金融機関であり、買主と売主の間の合意だけでは解除の効果は生じません。実務上は、買主又は買主の代表者が新たに保証人となることを条件として、売主の保証を解除する取扱いが多く行われています。買主が上場会社や規模の大きい会社である場合には、会社の信用力を理由として、新たな保証人を立てずに解除に至る例もあります。解除に至るまでの間について、買主が売主に対して補償する旨を定めておく方法もあります。
また、経営者の保証については、金融機関と中小企業の関係者が策定した自主的なルールとして、経営者保証に関するガイドラインが存在します。事業を承継する場面において、前の経営者と新しい経営者の双方から重ねて保証を求めることは原則として控えるべきであるという考え方が示されており、強制力はないものの、交渉の際の拠り所になり得ます。
物的な担保の内容を確かめます
担保については、不動産の登記事項証明書を取得し、抵当権又は根抵当権の設定の状況を確認します。根抵当権の場合は、極度額、債権の範囲、及び債務者の表示を確認します。中小企業では、創業者個人の所有する不動産が会社の借入の担保に入っている例が多く、この場合も株式の譲渡によって担保の関係は変わりません。売主が自宅を担保から外すことを望む場合には、代わりの担保を差し入れるか、借り換えるかの検討が必要です。
不動産以外にも、在庫や機械の全体を対象とする譲渡担保、売掛金に対する担保、及び定期預金に対する担保が設定されていることがあります。これらは登記事項証明書には現れませんので、契約書と金融機関への照会によって確認します。担保に入っている資産を無断で処分すると期限の利益の喪失につながりますので、買収後の資産の整理を計画する前に、担保の範囲を確定させておきます。
表明保証の条項との関係
買収後に金融に関する契約の問題が判明した場合、その損失を売主に負担させることができるかどうかは、株式譲渡契約の表明保証の条項の書きぶりによって決まります。表明保証とは、契約の当事者が、一定の事実が真実であることを相手方に対して表明し、その内容を保証するものを指します。表明した内容が真実でなかった場合には、契約に定めた範囲で補償を求め得ます。
何を表明保証の対象としていたかを確かめます
まず、株式譲渡契約を開き、金融に関する事項についてどの範囲の表明保証がされていたかを確認します。確認すべきは、借入及びリースの一覧が別紙として添付され、そこに記載されたもの以外に金融に関する債務が存在しないと表明されているか、各契約について期限の利益の喪失の事由が生じていないと表明されているか、支配権の異動によって相手方に解除権が生じる契約が別紙に掲げられているか、並びに保証及び担保の一覧が網羅的であると表明されているか、という点です。
別紙の一覧が不正確であった場合には、表明保証の違反として補償の請求を検討する余地があります。もっとも、契約には、一定の金額に達しない損害については請求できないという定めや、補償の請求ができる期間を実行の日から1年間や2年間に限る定めが置かれていることが通常です。まずこれらの制限を確認し、期間の満了が近ければ、金額の確定を待たずに、通知だけでも先に行うことを検討します。
買主が知っていた場合の扱い
調査の過程で問題を認識していた場合の扱いは、契約の定めによって異なります。買主が知っていた事実については補償を請求できないと定める例もあれば、知っていたかどうかにかかわらず補償を請求できると定める例もあります。中小企業のM&Aでは、後者の定めが置かれることも珍しくありません。契約書の文言を確認せずに、知っていたのだから請求できないと自ら判断してしまうことは避けます。
なお、補償の請求は売主との関係を悪化させます。金融機関との交渉に売主の協力が必要な場面は多く、まず協力を得て問題を収束させ、その上で金銭の負担の分担を協議するという順序が現実的なこともあります。
金融機関への対応
最後に、金融機関に対して実際にどう動くかを整理します。金融に関する契約の問題は、条項の解釈だけで解決するものではなく、金融機関との関係の作り直しによって解決していく性質のものです。買主が誰であり、どのような方針で事業を続けるのかが分からない状態が続くことが、金融機関の最大の不安です。
実行後は速やかに挨拶に赴きます
買収の実行の後は、できる限り早い時期に、新しい経営を担う者が自ら金融機関に挨拶に赴くことが有効です。書面の送付で済ませず、支店長又は融資の責任者と直接会う機会を作ります。買収の経緯、買主の会社の概要と財務の状況、事業を継続する意向、従業員の雇用と取引先との関係の維持についての方針、及び返済の条件を変更する予定がないことを伝えます。訪問は、取引の残高が大きい金融機関から順に、実行の日から2週間程度の間に一巡することを目安とします。
事業計画を数値で示します
挨拶の際には、口頭の説明にとどめず、事業計画を書面で示します。買収後3年間程度の損益の見通し、設備投資の予定、及び返済の計画を、根拠となる前提とともに記載します。買収の資金を借入によって調達した場合には、その返済の原資を明らかにします。数値を伴わない説明は、金融機関にとって評価の対象になりません。
是正すべき事項は自ら申し出ます
事前の通知を怠っていた場合、財務に関する制限の条項に抵触している場合、又は担保の目的物の状況に変更が生じている場合には、指摘を待たずに自ら申し出ます。その上で、承諾の書面の取得、条項の適用の見合わせについての合意、又は返済の条件の変更について、書面による確認を求めます。口頭の了解は担当者の交代によって前提が失われますので、必ず書面に残します。
資金繰り表で影響を評価します
並行して、最も厳しい場合を想定した資金繰り表を作成します。期限の利益を失う危険が最も高い契約について、その残高の全額を直ちに返済しなければならないと仮定し、手元の資金、当座貸越の未使用の枠、買主の側で調達し得る資金を並べ、どれだけの期間持ちこたえられるかを試算します。この試算があって初めて、交渉に費やせる時間の長さと条件の譲歩の限界とを判断できます。金融に関する契約の問題は、資金が尽きるまでの時間で帰趨が決まる場面が多いためです。
よくあるご質問
ここでは、買収後に金融に関する契約の問題が判明した買主から寄せられることの多い問いについて、考え方の筋道を示します。個別の結論は契約書の文言と金融機関との関係によって異なりますので、検討の出発点としてお読みください。
支配権の異動を金融機関に伝えていませんでした。今から伝えるべきでしょうか。
伝えるべきです。時間の経過とともに、隠していたという評価を受ける危険が高まり、交渉の余地が狭まります。伝える際には、通知を怠った事実を率直に認めた上で、事業を継続する意向、返済の条件を変更する予定がないこと、及び今後の報告の体制を説明します。多くの場合、金融機関は事後の承諾の書面の差入れ又は覚書の締結によって処理に応じます。伝える前に、契約書の該当の条項と直近の資金繰り表を手元に用意しておきます。
リース会社から支配権の異動を理由に解除すると通知されました。設備を引き揚げられてしまうのでしょうか。
直ちに引き揚げられるとは限りませんが、対応を急ぐ必要があります。ファイナンス・リースでは、中途の解約が認められておらず、解除された場合には残りのリース料の全額に相当する額の支払と物件の返還を求められる建て付けになっていることが通常です。まず、リース会社に対し、事業を継続すること、リース料の支払を滞らせていないこと、及び新しい経営の体制を説明し、契約の承継について協議を申し入れます。
売主の個人保証がそのまま残っています。放置しても問題はないでしょうか。
放置は避けるべきです。売主にとっては経営から離れたのに責任だけが残る状態であり、買主にとっては会社の財務に外部の者が関心を持ち続ける状態です。金融機関に対し、買主又はその代表者が保証人となることを含めた入替えを申し入れ、解除の可否を協議します。解除に時間を要する場合は、その間の負担について、買主が売主に補償する旨の書面を取り交わす方法もあります。
財務に関する制限の条項に抵触しそうです。決算の前にできることはありますか。
あります。決算の数値が固まる前に着地の見込みを試算し、抵触の可能性が判明した段階で、金融機関に自ら相談することです。相談の際には、抵触の原因、それが一時的なものか構造的なものか、及び翌期以降の回復の見通しを、数値を伴って説明します。その期に限って条項の適用を見合わせる旨の合意を書面で取り交わす対応が、実務では広く行われています。
複数の金融機関から借り入れています。一つの契約で問題が生じると、すべてに影響するのでしょうか。
契約の定め次第です。他の債務について期限の利益を失ったことや、他の債務の履行を怠ったことを、自らの契約の期限の利益の喪失の事由とする定めが置かれていることがあり、その場合には波及します。一覧表を作る段階で、この種の定めの有無を契約ごとに確認しておきます。波及の関係がある場合は、一つの金融機関とだけ交渉して済ませるのではなく、主要な金融機関に同じ内容の説明を同じ時期に行い、取扱いに差が生じないようにします。
買収の前にこうした問題を見つけるには、どこを見ればよいでしょうか。
買収の前の調査においては、貸借対照表の借入金及びリース債務の内訳明細から出発し、契約書の原本を金融機関別に確認します。とりわけ、銀行取引約定書、金銭消費貸借契約証書の特約の欄、リース契約書の解除の事由の欄、及び保証に関する書面の4点は、必ず現物を確認します。あわせて、不動産の登記事項証明書を取得し、他社の債務の保証の有無を売主に確認します。支配権の異動に関する条項が見つかった場合には、実行の前に金融機関の理解を得る段取りを日程に組み込んでおきます。
具体的な御相談をお考えの皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次の御案内のページに整理しています。あわせて御覧ください。


