M&A仲介契約及びフィナンシャル・アドバイザー契約の注意事項

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M&A仲介契約の締結の際の注意事項に関するメインのページです。本ページは、M&Aトラブルを防ぐため、専任、双方代理及び着手金に関する条項をご説明します。仲介契約の問題点の全体は別のページをご参照ください。

既に締結した契約に置かれた問題のある条項の点検については、M&A仲介契約の問題点!で扱っています。あわせてご覧ください。

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M&A仲介会社との間で業務委託契約(FA契約)を締結しようとしている経営者の方の中には、契約書のどこに注意して確認すればよいのか分からず悩んでおられる方が少なくありません。

FA契約の注意点を理解しないまま署名すると、双方代理の問題や専任条項の範囲について、後になって不利な立場に置かれる危険があります。

本記事では、M&A仲介会社との業務委託契約(FA契約)の注意事項について説明いたします。

M&A仲介会社との業務委託契約(FA契約)の注意事項

「双方代理」の問題点-通常は「双方代理」ではありません

M&AのM&A仲介会社の多くは、売主と会社売却に関するM&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)を締結し、かつ、買主候補会社とも会社買収に関するM&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)を締結し、双方から成功報酬5%ずつの合計10%の成功報酬を取ります。

しかし、売主は対象会社を高く売却したいところ、買主候補会社は対象会社を安く買収したいのであり、売主と買主候補会社の利害は真っ向から衝突します。事業承継M&Aではたいてい売主のオーナー経営者がご高齢で会社売却を急がれていることが多いのですが、M&AのM&A仲介会社が「オーナー経営者が会社売却を急いでいる」ことを知りつつ、売主と買主候補会社とどちらに負けさせたほうがM&Aが成立しやすくなるかのみを考え、売主のオーナー経営者の利益を害してもかまわないと考え、兎に角、M&Aを成立させようとして、売主のオーナー経営者に金額で妥協させようとする姿を目にします。

すなわち、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)において「双方代理」とされていると、売主のオーナー経営者の利益が守られないのです。本当は、適正な金額で会社売却ができたにもかかわらず、本来の価格より安い金額でしか、会社が売却できないということとなります。

大手のM&AのM&A仲介会社やその他のM&AのM&A仲介会社の多くは、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)において「双方代理」を採用しており、その結果、トラブルが頻発していると聞いています。当法律事務所には、このような、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)に関する相談が多く寄せられています。

地方銀行もM&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)においてこのような「双方代理」を採用しているところもあると聞きますが、大多数の銀行はこのような「双方代理」は採用していないようで、やはりここでも、M&AのM&A仲介会社にM&Aの仲介を任せることの問題点が多そうです。

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「専任」の問題点-通常は「専任」ではありません

また、多くのM&AのM&A仲介会社は、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)について「専任契約」にすることを迫ってきます。

M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)が「専任契約」となると、その他のM&AのM&A仲介会社やM&Aの会社や銀行などにM&Aを依頼することができません。M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)で「専任契約」などしてしまうと、本当にしっかり当社のために働いてくれるのかどうかわからないM&AのM&A仲介会社に対してのみ相談をすることができ、他には相談することができなくなってしまいます。また、他のM&Aの業者にM&Aを相談すると、「損害賠償請求」が行われてしまうのです。

M&AのM&A仲介会社が1社だけだと、いつまで待っても適切なM&Aを紹介されることもなく、かつM&Aが成功することもなく、ズルズルと時間ばかりが経過することもあります。

M&AのM&A仲介会社としては、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)で「専任契約」を締結した以上、もう邪魔は入りません、ゆっくりとその会社を料理してゆけば良いのです。オーナー経営者としては、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)に「専任契約」がある以上、他の買主候補企業の様子を見ることができませんので、自分の会社の会社売却価格が適切かどうかわからないまま、M&Aを実行せざるを得なくなります。

「着手金」の問題点-着手金を払ったのにまともな会社を紹介してもらえない

また、多額の着手金を支払ったのにまともな会社を紹介してもらえないと言うことも多く生じます。M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)を締結し、多額の着手金を支払ったのにM&Aを全くできないというご相談も多く頂きます。

着手金を払ったからと言ってM&Aが容易になるとかM&Aにしっかり取り組んで頂けるということはありません。着手金さえ支払ってもらえばよい、月次報酬(リテイナーフィー)さえもらえればOK、というM&Aの業者も多く存在します。

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「専任」条項を排除し、「双方代理」を禁止し、「着手金」を取り戻す必要があります

当法律事務所では、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)に「専任契約」「双方代理」とされているような場合、M&AのM&A仲介会社を交渉し、「専任」条項を外し、「双方代理」を禁止し、「着手金」を取り戻します。

M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)を締結済みであっても、可能な場合があります。

多額の着手金や月次報酬(リテイナーフィー)を支払ったのにまともな会社を紹介してもらえないということは、M&AのM&A仲介会社の債務不履行ですので、当然に、返還請求が可能です。

また、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)に「専任」条項が存在すると、他のM&AのアドバイザーやM&Aの弁護士に相談できなくなりますが、それではオーナー経営者が自分の身を守ることすらできません。そのような状況が不当であることに変わりはありません。

また、M&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)において「双方代理」とされている場合、オーナー経営者の立場に立ったM&Aが実施されるはずがありません。「双方代理」ですと、まともな代理が行われないのですから、着手金や成功報酬は非常に少額でないと不適切です。

このような問題は、M&AのM&A仲介会社もよく認識しており、M&AのM&A仲介会社にクレームを入れることにより解消されることも多いようです。

締結の前に確認する条項

M&A仲介会社又はフィナンシャル・アドバイザーとの業務委託契約は、書式が各社ごとに異なり、条項の名称も統一されていません。もっとも、経営者に不利益をもたらす条項は、おおむね次の6つに整理することができます。締結の前に、この6点を順に確認してください。

専任の義務の範囲

専任の義務とは、契約の期間中、他のM&A仲介会社又はフィナンシャル・アドバイザーに同一の案件を依頼しない義務です。確認すべき点は3つあります。

第1に、専任の対象が「M&Aの仲介の依頼」に限られているか、それとも「M&Aに関する一切の助言」にまで及んでいるかです。後者の書き方であると、弁護士、公認会計士又は税理士に助言を求めることまで制約されるおそれがあります。

第2に、自ら見つけてきた相手方との交渉が制限されていないかです。従前から取引のある会社や、取引先の紹介による相手方との交渉まで禁ずる条項は、経営者の選択の幅を著しく狭めます。

第3に、他の専門家に第二の意見を求めることが許容されているかです。中小M&Aガイドラインは、秘密を保持する義務を課すことを前提に、これを許容すべき旨を示しています。

契約の期間及び中途での解約

期間の定めと、中途で解約することができるかどうかを確認します。自動的に更新される旨の定めがある場合には、更新を拒む通知の期限を確認してください。

業務委託契約は、法律上は委任又は準委任の性質を有します。民法第651条第1項は、委任は各当事者がいつでもその解除をすることができる旨を定めており、この規定は準委任にも準用されます(民法第656条)。もっとも、相手方に不利な時期に解除をした場合や、受任者の利益をも目的とする委任を解除した場合には、やむを得ない事由があるときを除き、損害を賠償しなければなりません(同条第2項)。契約書に解約の禁止や高額の違約金を定める条項が置かれている場合には、その効力が争点となります。

手数料の体系

手数料は、着手金、月額の報酬、中間金、成功報酬の4つに分かれます。それぞれについて、金額、支払の時期、及び返還の有無を確認してください。

とりわけ重要なのは、着手金及び中間金が、成約に至らなかった場合に返還されるかどうかです。返還されない定めであることが通例ですので、支払の前に、その金額に見合う業務が現実に行われるかどうかを見極める必要があります。あわせて、最低の報酬額の定めを確認してください。譲渡の代金が小さい案件では、算定の基礎にかかわらず、この最低の報酬額が実際の負担となります。

成功報酬の算定の基礎

成功報酬は、一定の金額に段階的な率を乗じて算出する方法によることが一般的です。段階の設定は各社によって異なりますが、5億円以下の部分について5%、5億円を超え10億円以下の部分について4%、10億円を超え50億円以下の部分について3%といった形が広く用いられています。

問題となるのは、率を乗ずる対象となる「一定の金額」が何かという点です。実務上、次の3つの定め方があります。第1に、株式の譲渡の代金の額とする方法。第2に、株式の譲渡の代金に有利子負債の額を加えた額とする方法。第3に、対象会社の資産の総額とする方法です。第2及び第3の方法によると、負債の大きい会社ほど報酬が高くなります。

契約書に「移動する総資産」「企業価値」といった語が用いられている場合には、その語の定義の条項を必ず確認してください。定義が置かれていない場合には、締結の前に書面で確認を求めるべきです。

報酬の対象となる期間を延長する条項

契約が終了した後、一定の期間内に成約に至った場合にも成功報酬を支払う旨の条項が置かれることがあります。確認すべきは、期間の長さと、対象となる相手方の範囲です。

中小M&Aガイドラインは、この期間について最長でも3年以内を目安とすること、及び対象となる相手方を当該M&A仲介会社等が関与し又は紹介した者に限定することを示しています。期間の定めがない条項や、当該M&A仲介会社が全く関与していない相手方との取引まで対象とする条項は、この目安から外れます。

直接交渉の制限

経営者が相手方と直接に交渉することを禁ずる条項です。交渉の秩序を保つという合理性はありますが、範囲が広すぎると、経営者は自らの会社の将来について直接に語る機会を失います。契約の終了の後も禁ずる定めがある場合には、その期間を確認してください。

数値による例示 算定の基礎による報酬の相違

算定の基礎の違いが報酬の額にどれほどの差をもたらすかを、具体的な数値で示します。

対象会社の株式の譲渡の代金を3億円、有利子負債を含む負債の総額を7億円と仮定します。段階的な率は、5億円以下の部分について5%、5億円を超え10億円以下の部分について4%とします。

株式の譲渡の代金を算定の基礎とする場合、3億円に5%を乗じ、成功報酬は1,500万円となります。

これに対して、株式の譲渡の代金に負債の総額を加えた10億円を算定の基礎とする場合、5億円までの部分について5%を乗じた2,500万円と、5億円を超える5億円の部分について4%を乗じた2,000万円との合計となり、成功報酬は4,500万円となります。

同一の取引でありながら、算定の基礎の定め方によって、報酬の額は3,000万円、割合にして3倍の差が生じます。経営者が手にする金額は、株式の譲渡の代金から成功報酬及び税負担を控除した額ですので、この差は手取りの額に直接に響きます。契約書の1行の文言が、この差を生みます。

中小M&Aガイドラインが求める事項

中小企業庁は、中小企業のM&Aを支援する者の行動の指針として、中小M&Aガイドラインを策定しており、令和6年8月30日に第3版が公表されています。法令そのものではありませんが、支援を行う者の行動の基準として広く参照されています。

同ガイドラインが支援を行う者に求めている事項のうち、業務委託契約に関わる主なものは、次のとおりです。

第1に、自らの業務の形態、すなわち仲介者として双方に関与するのか、一方のみの助言を行うフィナンシャル・アドバイザーとして関与するのかを明示することです。仲介者として双方から手数料を受領する場合には、その旨と、利益が相反するおそれがあることを明示的に説明することが求められています。

第2に、手数料の体系及び算定の基礎を明示し、契約の締結の前に依頼者が理解することができるように説明することです。

第3に、専任の義務を課す場合には、その期間を3箇月から6箇月以内を目安とし、かつ、他の支援を行う者に第二の意見を求めることを許容することです。

第4に、報酬の対象となる期間を延長する条項について、期間を最長でも3年以内を目安とし、対象となる相手方を自らが関与し又は紹介した者に限定することです。

契約書がこれらの内容から大きく外れている場合には、締結の前に修正を求めることが可能ですし、既に締結している場合には、後述する交渉の材料となります。

M&A支援機関登録制度

中小企業庁は、中小M&Aガイドラインの遵守を宣言したM&A支援機関を登録し、その一覧を公表する制度を設けています。事業の承継及び引継ぎに関する補助金のうち専門家の活用に関するものについては、登録を受けた支援機関による支援が補助の対象とされています。

締結の前には、相手方が登録を受けているかどうかを確認してください。登録を受けていること自体が業務の質を保証するものではありませんが、ガイドラインの遵守を宣言している以上、これに反する条項の修正を求める根拠となります。

締結してしまった後に採り得る手段

委任の解除による将来に向けた終了

前に述べたとおり、業務委託契約は委任又は準委任の性質を有しますので、民法第651条第1項により、いつでも解除をすることができるのが原則です。契約書に解約を禁ずる条項が置かれていても、この規定を全面的に排除する趣旨とまで解されるかは争いのあるところです。

もっとも、解除の時期によっては損害の賠償の問題が残ります(民法第651条第2項)。解除の通知の前に、既に行われた業務の内容と、相手方が支出した費用の有無を把握してください。

説明の義務の違反を理由とする主張

手数料の算定の基礎について誤解を与える説明がされた場合、専任の義務の範囲について事実と異なる説明がされた場合、又は利益が相反するおそれについて説明がされなかった場合には、説明の義務の違反を理由として、報酬の請求に対する減額の主張や、損害の賠償の請求を検討することができます。

この主張においては、勧誘の際に交付された資料、電子メールの往復、及び面談の記録が中心的な証拠となります。締結に至る過程の資料を保全してください。

公序良俗又は権利の濫用を理由とする主張

現実に行われた業務の内容に照らして報酬の額が著しく過大である場合、又は報酬の対象となる期間を延長する条項が、当該M&A仲介会社が全く関与していない取引にまで及ぶ場合には、当該条項が公の秩序又は善良の風俗に反して無効である(民法第90条)との主張や、権利の濫用に当たる(民法第1条第3項)との主張を検討することができます。

なお、消費者契約法は、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合を除く個人を消費者としています(同法第2条第1項)。会社の代表者が自ら保有する株式の譲渡のために締結する業務委託契約については、事業のためのものと評価される場合が多く、同法による救済を当然に期待することはできません。

よくあるご質問

専任の条項があると弁護士に相談することもできないのですか

条項の文言によります。専任の対象が仲介の依頼に限られているのであれば、法律上の助言を求めることは制約されません。「M&Aに関する一切の助言」といった広い書き方となっている場合には、締結の前に対象の限定を求めるべきです。

着手金を支払った後に解約した場合、返還を受けられますか

契約書に返還しない旨の定めが置かれていることが通例です。もっとも、現実に業務が全く行われていない場合や、勧誘の際の説明と異なる対応がされた場合には、返還を求める交渉の余地があります。支払の時期と、その後に受けた業務の内容とを時系列で整理してください。

契約が終了した後に成約した場合でも成功報酬を支払う必要がありますか

報酬の対象となる期間を延長する条項の有無と、その内容によります。当該M&A仲介会社が紹介した相手方との成約であれば、支払の義務が認められる可能性が高いところです。これに対して、当該会社が全く関与していない相手方との成約についてまで請求を受けている場合には、条項の適用の範囲を争う余地があります。

まとめ

M&A仲介会社又はフィナンシャル・アドバイザーとの業務委託契約においては、専任の義務の範囲、契約の期間及び中途での解約、手数料の体系、成功報酬の算定の基礎、報酬の対象となる期間を延長する条項、並びに直接交渉の制限の6点を、締結の前に必ず確認してください。

とりわけ成功報酬の算定の基礎は、負債の額を加えるかどうかによって報酬の額が数倍に変わります。前に示した例では、同一の取引について1,500万円と4,500万円との差が生じました。

中小M&Aガイドライン第3版は、専任の期間、報酬の対象となる期間を延長する条項の期間及び対象、並びに手数料の明示について、具体的な目安を示しています。契約書がこの目安から外れている場合には、締結の前に修正を求めることができますし、既に締結している場合にも交渉の材料となります。

既に締結してしまった場合であっても、委任の解除、説明の義務の違反、条項の効力を争う主張という手段があります。請求書を受領した段階で契約書と突き合わせた検算を行うと、計算の誤りが見つかることも少なくありません。

M&A仲介会社との契約に置かれた問題のある条項の点検についてはM&A仲介契約の問題点に関する解説で、M&A仲介の業務に免許を要するかどうかについてはM&A仲介業者の免許に関する解説で、支払済みの手数料の返還については手数料の返還の請求に関する解説で、それぞれ扱っています。あわせてご覧ください。

弁護士法人M&A総合法律事務所では、M&AのM&A仲介会社のM&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)の問題に取り組んでおります。M&AのM&A仲介会社のM&Aの業務委託契約書(仲介契約書、FA契約書、アドバイザリー契約書など)の問題につきましては、M&Aの弁護士である弁護士法人M&A総合法律事務所にいつでもお問い合わせください。

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