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M&A仲介会社を介さず別の会社を介して成立した株式譲渡と成約報酬―東京地方裁判所令和5年1月30日判決

公開 2023年1月30日更新 2026年10月30日

▶ M&A仲介会社の善管注意義務が問題となる場面

M&A仲介会社に会社の売却を依頼した売主が、仲介会社から紹介された買主候補と、仲介会社を介さずに別の会社を介して株式譲渡契約を結んだ。この場合でも、売主は仲介会社に着手金や成約報酬を支払わなければならないのでしょうか。売主が、自分が望んでいたのは事業の承継を前提とするM&Aであり、仲介会社が紹介したのは目的の異なる不動産目当てのM&Aの候補先にすぎないと争った場合はどうでしょうか。

東京地方裁判所令和5年1月30日判決は、仲介契約に「本契約期間中又は本契約終了後2年以内に、本契約期間中に受託者が探索し、本契約に基づく業務を行った提携候補先との間で」M&Aを成立させた場合には「第三者の関与の有無にかかわらず」成約報酬を請求できるとの条項があった事案で、売主側が実行した株式譲渡は、仲介会社が提案していた不動産を活用したM&Aの手法と実質的に同じであり、この条項の「本件提携」に当たると判断しました。そのうえで、着手金及び成約報酬の合計4,278万7,360円(税込み)とその遅延損害金の支払を売主に命じ、仲介会社の請求を全部認めています。

本判決は、M&Aの手法が何であったかを、当事者の呼び方ではなく、株式譲渡契約の条項から事業を誰が引き継いだのかという実質で判断しました。また、売主の主張の前提となる事実(一貫して事業の承継を前提とするM&Aを望んでいたこと)を、面談やメールの記録に基づいて否定しています。仲介会社として報酬を請求する立場の方にも、仲介会社との契約を残したまま別の経路で売却を進めようとする売主の立場の方にも参考になる判決です。

Contents
  1. 裁判例の基本情報
  2. 当事者の表記
  3. 事案の概要―仲介会社が紹介した買主候補に、別の会社を介して株式を譲渡した
    1. 仲介会社は、当初から不動産を活用したM&Aを提案していた
    2. 経理部長は事業M&Aを望み、代表取締役は不動産M&Aを望んだ
    3. 仲介会社は、マンションデベロッパーBLDを候補先として紹介した
    4. 売主は、仲介会社を介さず、別の会社を介してBLDと株式譲渡契約を結んだ
    5. 仲介会社は、着手金と成約報酬を請求した
  4. 事案の経緯の時系列
  5. 判断の前提となった契約条項
    1. 本件仲介契約1条―目的
    2. 本件仲介契約2条―企業提携の定義
    3. 本件仲介契約3条1項―業務の範囲
    4. 本件仲介契約9条1項―着手金
    5. 本件仲介契約9条2項―成約報酬
    6. 本件仲介契約9条5項―仲介会社を介さずに成立した場合の成約報酬
  6. 原告の請求と当事者の主な主張
    1. NVSの請求
    2. NVSの主な主張
    3. OKM氏の主な主張
  7. 結論を左右した争点
  8. 裁判所が認定した重要な事実と判断の枠組み
    1. 重視された事実
    2. 判断の枠組み
  9. 各主張を採用し又は排斥した理由
    1. 本件譲渡契約は、仲介会社が提案した不動産M&Aと何ら異ならない
    2. 従業員の雇用の承継があっても、不動産M&Aであることは変わらない
    3. BLDは、仲介会社が探索し、業務を行った候補先である
    4. 売主の主張は、前提となる事実が誤っている
    5. 権利濫用その他の主張も採用しない
    6. 着手金と成約報酬の全額が認められた
  10. 主文及び結論
  11. 判断の射程―参考となる点と一般化できない点
    1. 参考となる点
    2. 一般化できない点
    3. 契約や交渉で確認しておきたいこと
  12. よくあるご質問
    1. 仲介会社が紹介した買主候補と、別の会社を介して契約した場合でも、仲介会社に報酬を支払う必要がありますか。
    2. 仲介会社が提案した方法と少し違う方法で売却すれば、報酬の対象から外れますか。
    3. 買主が従業員の雇用を引き継げば、事業の承継を目的とするM&Aといえますか。
    4. 会社の担当役員が仲介会社のメールを見ていなかった場合でも、紹介を受けたことになりますか。
    5. 売主が、事業の承継を前提とするM&Aを希望していたと主張すれば、報酬を免れますか。
  13. 関連する記事と相談のご案内

裁判例の基本情報

裁判所 東京地方裁判所民事第26部
裁判日 令和5年1月30日
事件番号 令和3年(ワ)第31921号
裁判の形式 判決
審級 第一審
結論 原告(M&A仲介会社)の請求を全部認容。被告(売主である株主兼代表取締役)に着手金及び成約報酬の合計4,278万7,360円と、令和3年7月1日から年3%の遅延損害金の支払を命じる(訴訟費用は被告の負担、仮執行宣言付き)
上訴の状況 上訴の有無及び確定は確認できていません

この表は、判決本文の冒頭、主文及び末尾の記載に基づいて当事務所が作成したものです。

当事者の表記

判決に出てくる会社名・氏名は、本記事独自のイニシャルに置き換えています。判決が用いている符号も、そのままは使わずに次の表記へ置き換えています。

本記事の表記 立場
M&A仲介会社NVS(以下「NVS」) 原告。企業の合併等の組織再編行為、資本提携、業務提携の仲介や、事業譲渡及び事業用資産の売買の仲介等を目的とする会社で、本件仲介契約の受託者です
NVSの担当者SGW氏 NVSの担当者として、売主側との面談、提案、候補先の探索と紹介を行いました
売主である株主兼代表取締役OKM氏(以下「OKM氏」) 被告。対象会社WKSの株主兼代表取締役であった個人で、対象会社WKSとともに本件仲介契約の委託者となり、その後、対象会社WKSの株式全部を譲渡しました
木工機械販売会社WKS(以下「対象会社WKS」) 木工機械、各種機械及び工具の販売等を目的とする会社で、木材加工機械及び関連装置等の卸売業を営んでいました。売却の対象となった会社であり、本件仲介契約の委託者でもあります
対象会社の取締役経理部長MTB氏 対象会社WKSの取締役経理部長で、SGW氏との面談やメール、電話でのやり取りに当たっていました
マンションデベロッパーBLD(以下「BLD」) 土地の開発、造成に関する業務等を目的とする会社で、判決のいう「いわゆるマンションデベロッパー」です。NVSが不動産M&Aの候補先として紹介し、最終的に対象会社WKSの株式全部を買い受けました
別の会社EGT OKM氏が、NVSを介さずにBLDとの取引を進める際に介した会社です。判決本文は、この会社の業種や、どのような役割を果たしたかの詳細を記載していません
別の候補先FRN OKM氏が、NVSから実質的に推薦されたのはこの会社だけであったと主張した、不動産M&Aの別の候補先です
既存の会社GYU 既存の有限会社で、本件譲渡契約に基づき、対象会社WKSの事業と受発注済みの契約上の地位を引き継ぎました

判決本文を引用する部分では、当事者の呼称を上記の表記に置き換え、置き換えた箇所を〔 〕で示しています。判決本文の数字は全角の算用数字で、「M&A」も全角で記載されているため、引用部分では判決本文の表記のままとしています。

事案の概要―仲介会社が紹介した買主候補に、別の会社を介して株式を譲渡した

仲介会社は、当初から不動産を活用したM&Aを提案していた

判決が認定した事実によれば、NVSの担当者SGW氏は、令和2年10月29日、OKM氏及び対象会社の取締役経理部長MTB氏と面談しました。その際、SGW氏は、「不動産を活用したM&Aのご提案」と題する書面を見せながら、OKM氏のM&Aの利潤の最大化という観点から、事業の廃止を前提に、対象会社WKSが営んでいる事業、それに関連する資産・負債及び従業員等を会社分割によって設立した新会社に移転し、その他の不動産、関連資産及び負債、金融資産を対象会社WKSに残して、その株式を譲渡する方法による「不動産M&A」を提案しました。

判決の認定によれば、この提案書面には、おおむね次の内容が記載されていました。

  • 対象会社WKSの事業価値は約1,000万円と算出される。
  • 本社近隣エリアでは賃貸マンションの需要が旺盛であり、土地に建築される賃貸マンションの想定収益価格から、対象会社WKSの不動産の時価は合計約2億1,700万円と算出される。対象会社WKSの資産は主に現預金、有価証券、不動産で構成され、時価純資産は不動産の時価を含めて合計約7億2,300万円と算出される。
  • 事業M&Aの場合、株式評価額は約5億円強と算出され、時価純資産を下回る。株主利潤の最大化とM&Aの成約には、事業M&A以外の手法の検討が必要である。
  • 不動産M&Aの場合、短期間であればM&A後も本社を継続利用できる可能性があるが、買主は不動産開発に着手するため、譲渡の一定期間後の退去は必須条件である。

つまり、事業の承継を前提とする事業M&Aでは株式の評価額が時価純資産を下回るため、事業を別会社に切り出したうえで、不動産と金融資産が残った対象会社WKSの株式を、不動産の開発を目的とする買主に譲渡するという手法です。

経理部長は事業M&Aを望み、代表取締役は不動産M&Aを望んだ

MTB氏は、面談の翌日である10月30日、11月4日及び11月5日に、SGW氏に対し、不動産M&Aではなく事業譲渡を検討するように求めるなど、事業M&Aをしたい旨の希望を述べました。その後の令和2年11月26日、対象会社WKS及びOKM氏は、NVSとの間で、対象会社WKSの売却による企業提携(M&A)の仲介業務に関する契約(以下、判決にならい「本件仲介契約」といいます)を締結しました。

他方、OKM氏自身は、令和2年12月9日の面談で、事業の承継にはこだわらないなどと述べ、令和3年1月14日の面談では、事業承継目的のM&Aは難しいのではないかとの思いが日々強まっていること、不動産M&Aの方が良いと考えていることなどを述べました。

令和3年2月16日、SGW氏がOKM氏と面談し、事業M&Aの候補先の探索が難航していることを伝えたところ、OKM氏は「なぜ不動産M&Aで進めていないのか。」と苦情を述べました。SGW氏が、MTB氏から事業M&Aを優先して検討するよう指示があり、事業M&Aの候補先を探していたと伝えると、OKM氏は、MTB氏から何も報告を受けていないと述べ、不動産M&Aの候補先を優先して探してほしいと求めました。SGW氏が同日、メールと電話でMTB氏にこれを伝えると、MTB氏は「従業員のことを全く考えていないですね」などと述べたものの、手続には応じると答えました。

仲介会社は、マンションデベロッパーBLDを候補先として紹介した

その後、SGW氏は、MTB氏から対象会社WKSが保有する不動産関連の資料の提供を受けるなどし、不動産M&Aを前提とした企業概要書を作成して、不動産M&Aの候補先と交渉を行いました。企業概要書には、事業に関する資産負債や従業員などを新設分割したうえで廃業すること、対象会社WKSには金融資産及び不動産を残してその株式を譲渡すること、退去条件は今後買主と協議して決定することが記載されていました。

SGW氏は、令和3年3月19日、MTB氏に対し、不動産M&Aの候補先としてBLDを紹介するメールを送りました。このメールには、BLDが雇用の承継も併せて検討できること、事業は廃業前提となることなどが記載されていました。NVSは、4月15日、BLDから、不動産M&Aによる株式の譲渡価格について買収希望価格を7億6,142万3,675円とする意向表明書を取得し、SGW氏は、4月20日、OKM氏に対し、BLDを含む9社から買収価格等が記載された意向証明書を取得したことなどを報告しました。

売主は、仲介会社を介さず、別の会社を介してBLDと株式譲渡契約を結んだ

ところが、OKM氏は、NVSを介さず、別の会社EGTを介して、BLDとの間で独占交渉権の付与の合意をした後、令和3年6月30日、対象会社WKSの株式全部を譲渡する旨の株式譲渡契約(以下、判決にならい「本件譲渡契約」といいます)を締結しました。判決が認定した本件譲渡契約の主な内容は、次のとおりです。

  • OKM氏は、BLDに対し、譲渡日(令和3年7月20日)に、OKM氏が所有する対象会社WKSの発行済み株式合計6万株を7億7,244万円で譲渡する(2条から4条まで)。
  • OKM氏は、対象会社WKSの従業員全員に、BLD又はそのグループ企業への転籍について説明を行い、譲渡日までに対象会社WKSを退職させ、転籍に関する承諾の希望を確認する(10条9項)。BLDは、転籍を希望する者について、対象会社WKSの正社員としての雇用条件を維持したうえで、BLD又はそのグループ企業の契約社員として雇用を維持し、譲渡日時点の労働条件を実質的に下回らせないことを保証する(15条)。転籍を希望しない従業員については、譲渡価額に所定の金額を加算する(4条4項)。
  • 売主は、契約の別紙の受注済残高一覧に記載された取引のほかに、対象会社WKSが営む一切の事業に関する契約が存在しないことを表明し、保証する(8条2項10号)。
  • OKM氏は、譲渡日までに、対象会社WKSが受注者又は発注者となっている契約のうち、履行が完了していない全ての契約(受発注済み契約)の契約上の地位を、既存の会社GYUに移転する(2条5項、10条8項)。
  • OKM氏が契約上の地位の移転に関する業務や受発注業務の対応、明渡しに向けた物品整理を行うため、本社を令和3年12月20日までの間、支社を同年9月20日まで無償で、それぞれ利用することに合意する(16条2項)。

対象会社WKSが行っていた木材加工機械及び関連装置等の卸売業は、本件譲渡契約に基づいて既存の会社GYUが承継し、その事業に係る残務整理のみを行っています。判決は、本社及び支社の土地上の建物がBLDにより取り壊されて更地にされており、今後マンションが建てられる予定であることも認定しています。

仲介会社は、着手金と成約報酬を請求した

NVSは、OKM氏に対し、本件仲介契約に基づき、着手金及び成約報酬等の合計4,278万7,360円と、M&A契約が成立した日の翌日である令和3年7月1日からの遅延損害金の支払を求めて訴えを提起しました。OKM氏が本件仲介契約9条1項の着手金及び同条2項の成約報酬の支払義務を負う場合に、その合計額が4,278万7,360円(税込み)であることは、当事者間で争いがありませんでした。したがって、本件の勝敗は、もっぱら支払義務の有無によって決まることになりました。

事案の経緯の時系列

日付 出来事(判決本文の前提事実及び認定事実による)
令和2年10月29日 SGW氏がOKM氏及びMTB氏と面談し、「不動産を活用したM&Aのご提案」と題する書面を示して不動産M&Aを提案
令和2年10月30日、11月4日、11月5日 MTB氏がSGW氏に、事業譲渡を検討するよう求めるなど、事業M&Aの希望を述べる
令和2年11月26日 対象会社WKS及びOKM氏とNVSが本件仲介契約を締結
令和2年12月9日 面談。OKM氏が事業の承継にはこだわらないなどと述べる
令和3年1月14日 面談。OKM氏が不動産M&Aの方が良いと考えていることなどを述べる
令和3年2月16日 OKM氏が、なぜ不動産M&Aで進めていないのかと苦情を述べ、不動産M&Aの候補先を優先して探すよう求める。同日、SGW氏がMTB氏に伝え、MTB氏は手続に応じると回答
その後 SGW氏が不動産関連の資料の提供を受け、不動産M&Aを前提とした企業概要書を作成して候補先と交渉
令和3年3月19日 SGW氏がMTB氏にメールで、BLDを不動産M&Aの候補先として紹介(雇用の承継も検討できること、事業は廃業前提となることなどを記載)
令和3年4月15日 NVSがBLDから買収希望価格7億6,142万3,675円の意向表明書を取得
令和3年4月20日 SGW氏がOKM氏に、BLDを含む9社から意向証明書を取得したことなどを報告
時期は判決本文に記載なし OKM氏が、NVSを介さず別の会社EGTを介して、BLDとの間で独占交渉権の付与を合意
令和3年6月30日 OKM氏とBLDが本件譲渡契約(対象会社WKSの株式6万株を7億7,244万円で譲渡)を締結
令和3年7月1日 遅延損害金の起算日(M&A契約が成立した日の翌日)
令和3年7月20日 本件譲渡契約上の株式の譲渡日
令和5年1月30日 東京地方裁判所がNVSの請求を全部認容する判決

判断の前提となった契約条項

判決本文は、本件仲介契約の規定を「 」で括って掲げています。以下は、その記載を判決本文のとおりに引用したものです。判決本文の中の注記の当事者の呼称は本記事の表記に置き換え、〔 〕で示しています。

本件仲介契約1条―目的

委託者(判決注:〔対象会社WKS〕及び〔OKM氏〕をいう。)は、受託者(判決注:〔NVS〕をいう。)に対し、委託者が企図する企業提携(以下「本件提携」という)の提携候補先(以下「提携侯補先」という)の探索とその実現を目的に、本契約に定める業務を委託し、受託者はこれを受託する。

2つ目の「提携侯補先」の「侯」は、判決本文の表記のままとしています。

本件仲介契約2条―企業提携の定義

本契約において企業提携とは、次の各号に定めるものとする。
(1) 法人の合併、譲渡その他の方法による株式の移転
(2) 事業の譲渡その他の資産等の譲渡
(3) 第三者割当増資による資本の受入れ、技術提携・販売提携等業務一般に関する提携
(4) 上記の他、提携候補先による経営権取得又は事業取得を目的としたもの

本件仲介契約3条1項―業務の範囲

受託者は、本契約に基づき次の業務を行う。
(1) 本件提携に必要な資料の入手及び作成
(2) 本件提携の提携候補先の探索
(3) 本件提携に関する契約条件の調整
(4) 本件提携に関するスケジュールの調整及び立会い等
(5) 本件提携に必要な契約書等の草案作成のサポート
(6) 上記の他、本件提携に付随する業務として、委託者が受託者に助言を求めた業務

本件仲介契約9条1項―着手金

委託者は、受託者に対し、委託者と提携候補先との間の基本合意締結時(名称のいかんに関わらず、委託者が候補先に対して、独占的に交渉する地位を付与する旨の規定が含まれるものをいう)に、着手金として、100万円(消費税別)を支払う。なお、着手金は本件提携の不成立を含むいかなる事由があっても返還されないものとする。

本件仲介契約9条2項―成約報酬

委託者のうち本件提携に基づく対価を受領する者は、受託者に対し、本件提携にかかる最終契約締結時に、成約報酬として、以下の成約報酬料金表に基づき算出される金額(消費税別)を支払う。なお、成約報酬の最低金額は、1,000万円(消費税別)とし、着手金は成約報酬に含まれない(内金として取り扱わない)ものとする。

成約報酬料金表は、判決本文では「表(省略)」とされており、内容は分かりません。判決本文によれば、料金表の注記として、表中の「資産・株式等の譲渡金額」には、会社の全株主の譲渡金額総額のほか、会社から役員に支払う退職金額、役員借入金の返済額(株主からの借入金、役員又は株主の親族からの借入金を含む)、配当金、会社による自己株式の取得金額等が含まれるとされていました。

本件仲介契約9条5項―仲介会社を介さずに成立した場合の成約報酬

本契約期間中又は本契約終了後2年以内に、本契約期間中に受託者が探索し、本契約に基づく業務を行った提携候補先との間で、委託者が本件提携(本件提携と同一の方法に限らず、本件提携で企図した目的と同一又は類似の効果が生じる方法を含む)を成立させた場合には、第三者の関与の有無にかかわらず、受託者は委託者に対し本条に定める成約報酬を請求でき、委託者は連帯してこれを直ちに支払う。

本件の争点は、この9条5項の「本件提携」に、OKM氏とBLDとの間の本件譲渡契約が当たるかどうかでした。

原告の請求と当事者の主な主張

NVSの請求

NVSは、OKM氏に対し、本件仲介契約に基づき、着手金及び成約報酬等の合計4,278万7,360円と、これに対するM&A契約が成立した日の翌日である令和3年7月1日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めました。訴えの相手方は、委託者のうちOKM氏個人だけであり、対象会社WKSは被告とされていません。

NVSの主な主張

NVSは、まず、OKM氏が令和3年2月16日にSGW氏に対して不動産M&Aを優先的に進めることを求め、SGW氏がその意向に沿って、不動産M&Aの候補先としてBLDを紹介したと主張しました。

そのうえで、M&Aは、売主と買主との交渉によって、方法、譲渡価格、条件等の様々な要素が変化する性質のものであり、株式譲渡を企図して依頼した売主が、交渉やデュー・ディリジェンス、社会情勢の変化等をきっかけとして、事業譲渡や業務提携といった方法でM&Aを成立させることは多々あるため、本件仲介契約2条は、想定し得る企業提携の形式を包含できるよう広範な定義を設けていると主張しました。また、9条5項は「本件提携と同一の方法に限らず、本件提携で企図した目的と同一又は類似の効果が生じる方法を含む」と定めているから、企業提携の方法や相手方の業種など委託者が想定していた細かな要素を問題とするものではなく、M&Aの成立という結果が生じたことのみを要件としていると主張しました。したがって、仮に本件譲渡契約がOKM氏の主張するとおり事業M&Aであったとしても、9条5項の「本件提携」に当たるというのがNVSの主張です。

OKM氏の主な主張

OKM氏は、本件譲渡契約は9条5項の「本件提携」に当たらないとして、次の2点を主張しました。

  • OKM氏は、従業員及び事業の承継を前提とした事業M&Aを一貫して希望し、その旨をNVSに伝えてきた。それにもかかわらず、NVSからは不動産M&Aの候補先としてBLDを紹介された。これは、OKM氏の企図する事業M&Aとまったく異なる目的・条件で探索し、紹介されたものであるから、本件仲介契約の「提携候補先」に当たらない。
  • MTB氏は、令和3年3月19日のメールを見ていない。また、OKM氏は、4月20日の報告の際、実質的には、BLDではなく別の候補先FRNだけを不動産M&Aの候補先として紹介、推薦された。したがって、実質的にみて、OKM氏はBLDをM&Aの候補先として紹介されていない。

判決本文によれば、OKM氏は、このほかにも、NVSの請求が権利濫用に当たるなどの様々な主張をしていました。

お手元の資料と経緯をお聞きし、進め方の順序をお示しします。

結論を左右した争点

判決が整理した争点は、本件譲渡契約が本件仲介契約9条5項の「本件提携」に当たるか、という1点です。着手金と成約報酬の金額には争いがなかったため、この争点の判断がそのまま結論を決めました。

この争点の中で実際に問題となったのは、次の2つの点です。

  1. 本件譲渡契約によるM&Aは、NVSが提案していた不動産M&Aなのか、それともOKM氏の主張する事業M&Aなのか。
  2. BLDは、本件仲介契約の期間中にNVSが探索し、本件仲介契約に基づく業務を行った候補先といえるか。

裁判所が認定した重要な事実と判断の枠組み

重視された事実

判決は、事案の概要で述べた経緯を、当事者間に争いがない事実、証拠、弁論の全趣旨及びSGW氏の証言により認定しました。結論との関係では、特に次の事実が重視されています(判決本文の認定事実の要約です)。

  • NVSは、本件仲介契約の締結前の面談から、事業を別会社に移し、不動産と金融資産を残した対象会社WKSの株式を譲渡する不動産M&Aを提案していたこと。
  • 事業M&Aの希望を述べていたのはMTB氏であり、OKM氏自身は、事業の承継にはこだわらない、不動産M&Aの方が良いと述べ、令和3年2月16日には不動産M&Aの候補先を優先して探すよう求めていたこと。
  • SGW氏は、不動産M&Aを前提とした企業概要書を作成して候補先と交渉し、BLDを不動産M&Aの候補先として紹介し、BLDから意向表明書を取得して、OKM氏に報告していたこと。
  • 本件譲渡契約では、対象会社WKSの事業と受発注済みの契約上の地位が既存の会社GYUに移され、BLDは事業を承継せず、本社及び支社の建物は取り壊されてマンションが建てられる予定であること。

判断の枠組み

裁判所は、9条5項の文言を一般的に解釈して基準を立てるのではなく、本件譲渡契約によって実際にどのような手法のM&Aが行われたかを認定し、それをNVSが提案していた不動産M&Aの手法と比べるという方法で判断しました。そのうえで、9条5項の文言に沿って、本件仲介契約の期間中に、NVSが探索し、本件仲介契約に基づく業務を行った候補先との間で、委託者が企業提携を成立させたかどうかを確認しています。

本件譲渡契約による手法について、判決は次のとおり認定しました。

「本件譲渡契約によるM&Aの手法は、既存の〔GYU〕に〔対象会社WKS〕の事業及び関連する資産と負債を移転させた上で、〔対象会社WKS〕に不動産(と関連資産負債)及び金融資産のみ残した後、同社の株式を〔BLD〕に譲渡し、同社の事業については〔GYU〕において清算するというものであったことが認められる。」

各主張を採用し又は排斥した理由

本件譲渡契約は、仲介会社が提案した不動産M&Aと何ら異ならない

裁判所は、上記の認定を前提に、NVSの提案との違いは事業の移転先だけであるとしました。

「本件譲渡契約によるM&Aの手法は、〔対象会社WKS〕の事業及び関連する資産負債を新会社に移転させるか、既存の会社に移転させるかの点で異なる他は、〔NVS〕が〔OKM氏〕に提案した不動産M&Aの手法と何ら異なるものではない。」

そして、事業M&Aであるとの主張については、買主が事業を承継していないことを理由に、次のとおり退けました。

「〔BLD〕は、〔対象会社WKS〕の事業を承継しないのであるから、本件譲渡契約によるM&Aが不動産M&Aではなく、事業M&Aであるとする〔OKM氏〕の主張は採用できない。」

従業員の雇用の承継があっても、不動産M&Aであることは変わらない

本件譲渡契約には、BLDが対象会社WKSの従業員の雇用を承継する旨の規定がありました。この点について、裁判所は、NVSの主張するとおり、M&Aの具体的方法、譲渡価格、条件等は売主と買主との交渉により定められるものであるとしたうえで、SGW氏が令和3年3月19日のメールで、BLDが雇用の承継を検討できるとしたうえで不動産M&Aの候補先として紹介していたことを挙げ、次のように述べました。

「このことからも明らかなとおり、不動産M&Aの場合にも、買主が売主の従業員の雇用を承継することは十分あり得ることである。」

従業員が買主側に転籍するという条件は、事業を承継するM&Aであることの決め手にはならず、事業そのものを誰が引き継いだのかが重視されたといえます。

BLDは、仲介会社が探索し、業務を行った候補先である

以上を踏まえ、裁判所は、9条5項の要件に沿って次のとおり判断しました。

「〔OKM氏〕は、本件仲介契約期間中に、受託者である〔NVS〕が探索し、本件仲介契約に基づく業務を行った不動産M&Aの提携候補先である〔BLD〕との間で、本件譲渡契約を締結し、株式の移転による企業提携(不動産M&A)を成立させたと認められる。」

「そうすると、本件譲渡契約は、本件仲介契約9条5項の「本件提携」に当たる。」

本件譲渡契約は本件仲介契約の期間中に締結されたと認められたため、9条5項のうち「本契約終了後2年以内」の部分は問題となっていません。また、判決は、OKM氏が別の会社EGTを介してBLDとの取引を進めたことについて、独立した検討を示していません。9条5項が「第三者の関与の有無にかかわらず」と定めていることからすると、別の会社が関与したことは結論に影響しないことが前提とされていると読むことができますが、これは当事務所の理解であり、判決がこの文言を明示的に解釈したものではありません。

売主の主張は、前提となる事実が誤っている

裁判所は、OKM氏の主張を、〈1〉NVSに対して不動産M&Aではなく事業M&Aを求めていたところ、〈2〉NVSが不動産M&Aの候補先としてBLDを紹介したものの、〈3〉OKM氏はBLDとの間で事業M&Aを行ったから、着手金及び成約報酬の支払義務を負わない、というものと整理しました。そのうえで、次のとおり判断しています。

「仮に〔OKM氏〕の主張する上記〈1〉から〈3〉までの事実を前提とした場合に、本件仲介契約の解釈として、〔OKM氏〕が本件仲介契約に基づく着手金及び成約報酬の支払義務を免れるかはさておき、前記(1)で認定したところによれば、〔OKM氏〕の前記主張は前提となる事実が誤っているから、採用できない。」

判決は、どの認定事実がどの前提と食い違うのかを項目ごとには述べていません。もっとも、認定事実によれば、OKM氏自身が事業の承継にはこだわらない、不動産M&Aの方が良いと述べ、不動産M&Aの候補先を優先して探すよう求めていたこと(〈1〉の前提と食い違います)、本件譲渡契約ではBLDが事業を承継していないこと(〈3〉の前提と食い違います)が、判断の基礎になっていると読むことができます。

なお、MTB氏が令和3年3月19日のメールを見ていない、実質的には別の候補先FRNだけを推薦された、というOKM氏の主張について、判決は個別の説示をしていません。判決は、SGW氏がMTB氏に宛ててBLDを紹介するメールを送信したこと、BLDから意向表明書を取得したこと、BLDを含む9社から意向証明書を取得したことをOKM氏に報告したことを認定したうえで、BLDを「受託者である〔NVS〕が探索し、本件仲介契約に基づく業務を行った」候補先であると認めています。

権利濫用その他の主張も採用しない

OKM氏は、NVSの請求が権利濫用に当たるなどの様々な主張もしていました。裁判所は、これらについて、次のとおりまとめて退けています。

「いずれの主張も、独自の見解であって失当な主張であるか又は前提となる事実が誤っているから、採用できない。」

判決本文には、これらの主張の具体的な内容は記載されていません。

着手金と成約報酬の全額が認められた

本件では、OKM氏が9条1項の着手金と同条2項の成約報酬の支払義務を負う場合の合計額が4,278万7,360円(税込み)であることに争いがなかったため、裁判所は、9条5項の「本件提携」に当たるとの判断から、請求の全額を認めました。着手金を定める9条1項は、委託者が候補先に独占的に交渉する地位を付与する旨の規定を含む基本合意の締結時を支払時期としており、判決の前提事実では、OKM氏が別の会社EGTを介してBLDとの間で独占交渉権の付与の合意をしたことが認定されています。もっとも、判決は、着手金の支払義務の発生について、成約報酬と区別した独立の説示はしていません。

主文及び結論

判決の主文は、次のとおりです(ここでの「原告」はNVS、「被告」はOKM氏を指します)。

  1. 「被告は、原告に対し、4278万7360円及びこれに対する令和3年7月1日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。」
  2. 「訴訟費用は、被告の負担とする。」
  3. 「この判決は、仮に執行することができる。」

仲介会社NVSの請求は全部認められ、売主であるOKM氏に、着手金及び成約報酬の合計4,278万7,360円と、令和3年7月1日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払が命じられました。

判断の射程―参考となる点と一般化できない点

以下は、判決の内容を踏まえた当事務所の評価です。裁判所が示した判断そのものとは区別してお読みください。

参考となる点

第1に、仲介会社を介さず、別の会社を介して取引を成立させても、仲介契約に、仲介会社が探索し業務を行った候補先との間で「第三者の関与の有無にかかわらず」M&Aが成立した場合には成約報酬を請求できるとの条項があれば、売主は成約報酬の支払義務を免れない場合があることです。本件では、売主が別の会社を介して独占交渉権を付与し、株式譲渡契約を締結していましたが、着手金と成約報酬の全額の支払が命じられました。

第2に、M&Aの手法が何であるかは、当事者がどう呼んでいたかではなく、最終契約の条項の実質から判断されたことです。本判決は、事業と受発注済みの契約上の地位を既存の会社に移し、不動産と金融資産を残した会社の株式を買主に譲渡した取引を、仲介会社が提案した不動産M&Aの手法と「何ら異なるものではない」と評価しました。事業の移転先が新設会社か既存の会社かという違いや、従業員が買主側に転籍するという条件があることは、結論を変えませんでした。

第3に、売主側の内部で意見が分かれていた場合に、誰がどのような意向を示していたかが、面談やメールの記録によって認定され、売主の主張の前提が否定されたことです。本件では、経理部長は事業M&Aを望んでいましたが、契約の当事者である代表取締役自身が不動産M&Aを優先するよう求めていたことが認定され、一貫して事業M&Aを希望していたという売主の主張は採用されませんでした。仲介会社の側からみれば、依頼者の意向が変化した経過や、候補先の紹介と報告の記録を残しておくことが、報酬請求の基礎になったといえます。

一般化できない点

本判決は、売主の主張の前提となる事実が誤っているとして主張を退けたものであり、売主が本当に事業M&Aだけを求めていた場合に、仲介会社が紹介した目的の異なる候補先との取引にも成約報酬の条項が及ぶかどうかについては、「さておき」として判断していません。NVSは、9条5項はM&Aの成立という結果が生じたことのみを要件としていると主張しましたが、判決はこの主張をそのまま採用したわけではなく、本件譲渡契約が仲介会社の提案した不動産M&Aそのものであったという事実認定を基礎にしています。仲介会社が紹介した候補先との間で何らかの取引が成立すれば常に報酬が発生する、という一般論を本判決から導くことはできません。

また、本判決は、9条5項のように仲介会社を介さずに成立した取引にも報酬を認める条項の有効性や、その範囲を限定的に解釈すべきかどうかについて、正面から論じてはいません。権利濫用などの主張も、内容が判決本文に記載されないまま、独自の見解であるか前提となる事実が誤っているとして退けられています。売主が別の会社にも報酬を支払っている場合に二重の負担となる点や、着手金の支払義務の発生時期についても、判決は独立した検討を示していません。本件は、仲介契約の期間中に、仲介会社が紹介し、意向表明書まで取得していた候補先と、仲介会社が提案したとおりの手法で取引が成立した事案です。仲介契約の終了後に取引が成立した場合や、仲介会社の関与が紹介の段階にとどまっていた場合には、事情が異なります。上訴の有無及び確定は確認できていないため、その点にも留意が必要です。

契約や交渉で確認しておきたいこと

売主の側では、仲介会社との契約を残したまま別の会社に相談したり、仲介会社から紹介を受けた候補先と直接又は別の経路で交渉したりする前に、仲介契約の報酬条項、特に、契約期間中や契約終了後一定期間内に紹介先と取引が成立した場合の報酬の定めと、その対象となる取引の範囲を確認することが重要です。本件の条項のように、取引の方法が当初の想定と異なっていても、目的と同一又は類似の効果が生じる方法を含むと定められている場合には、取引の形を変えても報酬の対象となる可能性があります。社内で売却の方針について意見が分かれている場合には、仲介会社に伝える意向を統一し、方針を変更したときはその旨を書面で伝えておくことも考えられます。

仲介会社の側では、提案した手法、依頼者の意向の変化、候補先の紹介と意向表明書の取得、依頼者への報告を、メールや面談の記録として残しておくことが、依頼者が別の経路で取引を成立させた場合の報酬請求の基礎になります。これらは本判決を踏まえた当事務所の着眼点であり、本判決が特定の条項例の有効性を判断したものではありません。

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よくあるご質問

仲介会社が紹介した買主候補と、別の会社を介して契約した場合でも、仲介会社に報酬を支払う必要がありますか。

仲介契約の条項によります。本判決では、仲介会社が探索し業務を行った候補先との間でM&Aを成立させた場合には「第三者の関与の有無にかかわらず」成約報酬を請求できるとの条項があり、売主が別の会社を介して株式譲渡契約を締結した事案で、着手金及び成約報酬の合計4,278万7,360円(税込み)の支払が命じられました。

仲介会社が提案した方法と少し違う方法で売却すれば、報酬の対象から外れますか。

本判決では、事業の移転先が新設会社ではなく既存の会社であったという違いがあっても、仲介会社が提案した不動産M&Aの手法と「何ら異なるものではない」とされました。本件の条項は、同一の方法に限らず、目的と同一又は類似の効果が生じる方法を含むと定めていました。方法の細部を変えただけで報酬の対象から外れるとは限りません。

買主が従業員の雇用を引き継げば、事業の承継を目的とするM&Aといえますか。

本判決では、買主が従業員の雇用を承継する規定があっても、買主が事業そのものを承継していないことから、事業M&Aではなく不動産M&Aであると判断されました。判決は、不動産M&Aの場合にも、買主が売主の従業員の雇用を承継することは十分あり得るとしています。

会社の担当役員が仲介会社のメールを見ていなかった場合でも、紹介を受けたことになりますか。

本件で売主はそのように主張しましたが、判決は、この主張について個別の説示をしていません。仲介会社が担当役員に候補先を紹介するメールを送信し、候補先から意向表明書を取得し、候補先を含む9社から意向証明書を取得したことを売主本人に報告していたことを認定したうえで、その候補先を仲介会社が探索し業務を行った候補先と認めています。

売主が、事業の承継を前提とするM&Aを希望していたと主張すれば、報酬を免れますか。

本判決では、売主自身が面談で事業の承継にはこだわらない、不動産M&Aの方が良いと述べ、不動産M&Aの候補先を優先して探すよう求めていたことが認定され、主張の前提となる事実が誤っているとして退けられました。他方、売主が本当に事業M&Aだけを求めていた場合に報酬を免れるかどうかについては、判決は判断していません。

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執筆者

弁護士法人M&A総合法律事務所 代表弁護士 土屋勝裕(東京弁護士会所属 登録番号26775)

長島・大野・常松法律事務所に在籍した後、慶應義塾大学ビジネス・スクール及びペンシルベニア大学ウォートン校に留学し、ファイナンス理論並びにM&A及び不動産を専攻しました。不動産投資信託(J-REIT)の上場案件に関与し、2024年(令和6年)10月には最高裁判所において株式買取請求権に関する逆転判決を得ました。現在は弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士を務めています。

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著書

非上場会社における少数株主対策の手法と実務
『非上場会社における少数株主対策の手法と実務』(日本法令)
中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策
『中堅・中小企業のためのM&Aトラブル事例と実務対策』(清文社)
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